米国株は、先進国のなかでも株価の上昇率が高く有望な投資先として投資家から人気があります。NISAであれば国内で発生する20.315%(復興特別所得税を含む)の税金が非課税になるので、米国株投資を始めたい場合はNISAを積極的に活用しましょう。
ただし2025年2月時点の米国株は最高値圏にあり、為替も35年ぶりの円安米ドル高水準にあるため、相応のリスクは伴います。今が本当に高値なのかは、将来の株価を見なければわかりませんが、一時的な下落や暴落リスクも想定したうえで投資を始めたほうがいいでしょう。
この記事では、NISAで始める米国株投資の魅力やデメリット、買い方やおすすめ銘柄を解説します。
NISAで始める米国株投資の魅力
NISAで始める米国株投資には、主に3つの魅力があります。
ほかの先進国と比べてパフォーマンスが良好
米国の株価指数とほかの先進国を比べると米国のパフォーマンスが良好なことがわかります。長期的に見ても米国株は、ほかの先進国より上昇率が高く有望な投資先といえるでしょう。
【主な先進国(米国、日本、イギリス、ドイツ)の株価の動き(直近30年)】

先進国は、日本に限らず低成長に苦しんでいます。しかし米国の予想経済成長率は、先進国の平均よりも高い傾向です。
【主な先進国の予想経済成長率(GDP成長率)】
2025年 | 2026年 | |
---|---|---|
先進国・ 地域平均 |
1.9% | 1.8% |
米国 | 2.7% | 2.1% |
日本 | 1.1% | 0.8% |
ドイツ | 0.3% | 1.1% |
イギリス | 1.6% | 1.5% |
大手ネット証券なら取引手数料無料(または実質無料)で売買できる
大手ネット証券のNISAであれば取引手数料無料(マネックス証券のみ実質無料)で米国株を売買できます。
米ドルで米国株を買う外貨決済に限られますが、SBI証券、楽天証券、松井証券の場合は為替手数料も無料です。日本円から米ドルへの両替は各ネット証券で簡単にでき、取引コストを徹底的に抑えられます。
米国株投資では、取引手数料や為替手数料が利益を上回る「手数料負け」を気にする人がいますが、大手ネット証券のNISAであれば、ほぼ起きないでしょう。
米国株投資で手数料が安い証券会社を詳しく知りたい人はこちら
米国株で手数料負けしない証券会社はどこ?徹底比較でおすすめを紹介
1株から買える
米国株は、日本株と異なり1株から証券取引所で売買できます。近年は、日本株でも「S株(SBI証券)」「かぶミニ(楽天証券)」など1株から売買できる証券会社が増えていますが、市場に注文を出してリアルタイム取引を行うには最低100株必要です。
米国株であれば1株から市場に注文が出せてリアルタイムで売買できるので、1株投資がしやすいでしょう。
NISAで米国株に投資する場合のデメリット
一方で米国株投資をNISAで始める場合の主なデメリットは、以下の3つです。
配当金は10%課税される
NISAは、国内の税金20.315%を非課税にする制度にすぎず、米国で発生する税金は非課税になりません。米国株の配当金は、米国で10%課税されたあと日本で20.315%課税されるため、NISAでも10%課税されます。
「NISA=すべて非課税」というイメージがありますが、外国で発生する税金は非課税になりませんので覚えておきましょう。
為替変動リスクがある
米国株は、米ドルで売買されるため、為替変動リスクがあります。株価の上昇以上に円高が進んだ場合、円換算では損失(含み損)です。
直近10年の米ドル/円の動きを見ると2025年2月時点の為替は円安米ドル高水準にあるため、これから米国株投資を始める人は円高による損失リスクを考慮しておくべきでしょう。
【米ドル/円の直近10年間の値動き】

日本株と比べて情報収集はしづらい
米国株は、決算資料などが英語で開示されるため、日本株と比べて情報収集がしづらいです。大手ネット証券では、米国株でも日本語である程度の情報開示はしていますが、日本株と比べて情報量は物足りないといわざるを得ません。
また翻訳などの都合で情報が入るタイミングも日本株と比べて遅くなります。有名企業の場合、米国株でもそこまで不都合はありませんが、英語が読めない人は知名度の低い銘柄への投資は控えたほうがいいでしょう。
NISAで米国株投資を始める場合のおすすめ銘柄
NISAで米国株投資を始める場合のおすすめは、以下の9銘柄です。
2025年2月時点の株価はかなり高いため、エヌビディアやメタ(旧Facebook)など人気のある銘柄は一時的な急落リスクを考慮して除外しています。
- アルトリア・グループ< MO>
- ベライゾン・コミュニケーションズ< VZ>
- キーコープ< KEY>
- アドバンスト・マイクロ・デバイシズ< AMD>
- ウォルト・ディズニー< DIS>
- ドキュサイン< DOCU>
- バンガード・トータルストックマーケットETF< VTI>
- バンガード・S&P500ETF< VOO>
- インベスコ QQQトラストシリーズ1< QQQ>
おすすめ銘柄について詳しくはこちら
【2025年最新】米国株投資におすすめの銘柄や証券会社を紹介
米国株に投資する投資信託を選ぶのも選択肢の一つ
銘柄選びに自信がない人や分散投資を検討している人は、プロに運用をおまかせする投資信託も選択肢の一つでしょう。米国の主要な株価指数に連動した運用を目指す投資信託(インデックスファンド)であれば低コストで保有できます。
例えば国内の投資信託で最も人気のある「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は購入手数料無料、主な保有コスト(信託報酬)は年率0.0814%です。
このほかにも低コストで保有できる投資信託が複数あります。つみたて投資枠対象銘柄を含め投資信託は、月100円から積立投資ができるので少額でも始めやすいでしょう。
【米国株に投資する主な投資信託(つみたて投資枠対象銘柄)】
銘柄名 | 信託報酬(年率) | 購入手数料 |
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) |
0.0814%以内 | 無料 |
楽天・全米株式 インデックス ・ファンド |
0.162%程度 | 無料 |
iFreeNEXT NASDAQ100 インデックス |
0.495% | 無料 |
iFree NY ダウ・インデックス |
0.2475% | 無料 |
投資信託について詳しくはこちら
投資信託と株はどう違う?メリット・デメリットや選び方を完全比較
米国株の買い方
米国株は、日本株と同様に証券会社で簡単に買えます。証券会社によって具体的な操作方法が異なるため、ここでは大まかな流れを紹介します。
主なネット証券の具体的な操作方法はこちら
SBI証券の米国株はおすすめ?買い方や注意点も紹介
楽天証券の米国株はおすすめ?買い方も紹介
証券会社に口座を開設する
まずは、証券会社に口座を開設しましょう。証券口座とNISA口座は、同時に開設できます。NISAは、すべての金融機関のなかで1人1口座しか持てないので、できるだけ取引手数料の安い証券会社を選びましょう。
NISAであれば米国株の取引手数料が無料または実質無料になる大手ネット証券がおすすめです。
【大手ネット証券の米国株】
SBI証券 | 楽天証券 | 松井証券 | マネックス 証券 |
三菱UFJ eスマート証券 |
|
取扱銘柄数 | 5,374 | 5,104 | 4,791 | 5,032 | 1,994 |
取引手数料 (NISA) |
無料 | 無料 | 無料 | 実質無料 | 無料 |
為替手数料(※) | 無料 | 無料 | 無料 | 購入時無料 売却時25銭 |
20銭 |
(2025年2月13日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)
口座開設は、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類とマイナンバー(通知)カードがあればネットで完結し、最短2営業日で完了します。
NISAの開設は、本来1~2週間程度かかる傾向です。しかしSBI証券や楽天証券などでは、税務署の審査が終わるまで仮開設とし、口座開設と同時にNISAでの取引もできるようになります。
おすすめ証券会社について詳しくはこちら
米国株(アメリカ株)と米国ETFが買える証券会社をおすすめ順に紹介
証券口座に入金する
口座が開設できたあとは、証券口座に入金しましょう。証券会社で米ドルへ両替できるため、入金は日本円で問題ありません。大手ネット証券の場合、メガバンクやゆうちょ銀行など主要行のインターネットバンキングから手数料無料で入金できます。
(外貨決済の場合のみ)米ドルに両替する
外貨決済で米国株を買う場合は、米ドルへの両替が必要です。円貨決済であれば両替不要で米国株を買えますが、SBI証券や楽天証券、松井証券では為替手数料が1米ドルあたり25銭かかります(外貨決済なら無料)。
各証券会社の外国為替から米ドルを選択して購入すれば、米ドルに両替できます。少々手間はかかりますが、米国株購入前に両替しましょう。
円貨決済、外貨決済について詳しくはこちら
米国株(アメリカ株)の買い方や円貨と外貨のどちらがいいのか解説
銘柄を選んで購入する
両替できたあとは、外貨決済で米国株を購入しましょう。米国株取引に対応したスマホアプリで「検索」から会社名を入力すると買いたい銘柄が表示されます。
各銘柄の買付(購入)ボタンを押して株数や価格を入力すれば買い注文が出せます。
株の注文には、大きく分けて値段を指定する「指値(さしね)」と指定しない「成行(なりゆき)」の2種類ありますが、購入価格にこだわらないのであれば「成行」を選びましょう。
米国株投資を始めるうえで覚えておいたほうがいいこと
米国株に限りませんが、何の知識もない状態で株式投資を始めてもうまくいきません。米国株投資を始めるうえで最低限覚えておいたほうがいいことを3つにまとめたので、米国株を買う前に必ずチェックしましょう。
日本株との違い
米国株と日本株は、異なる部分が複数あります。
【米国株と日本株の違い】
米国株 | 日本株 | |
---|---|---|
売買単位 | 1株 | 100株 (ETFなどを除く) |
取引時間 (日本時間) |
23:30~翌6:00(※) | 9:00~11:30 12:30~15:30 |
値幅制限 | なし | あり |
配当 | 年4回が多い | 年1回または2回が多い |
(2025年2月10日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)
米国は、サマータイム制度(夏時間制度)を採用しているため、夏と冬で取引時間が1時間ずれます。サマータイムの取引時間は、22:30~翌5:00です。
日本株は、急激な値動きを抑えるために「ストップ高」「ストップ安」という値幅制限がありますが、米国株にはありません。また日本株は、ごく一部の銘柄を除いて年1回または2回配当が多い傾向であるのに対し、米国株は年4回配当の銘柄が多数あります。
米国の主要な株価指数
米国株投資を始める場合は、主要な株価指数を覚えておきましょう。米国の主要な株価指数は「ダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)」「S&P500」「NASDAQ(ナスダック)」の3種類です。
- NYダウ、ダウ平均株価ともいわれる株価平均型の指数。もともとは、工業株30銘柄で構成された株価指数だったが、現在はAppleやエヌビディアなどのハイテク株も含まれる。
- 米国の主要企業およそ500社で構成された時価総額加重平均型の株価指数。NYダウと異なり、時価総額(発行済株式総数×株価)から算出される。
- ナスダック総合指数ともいわれ、ナスダック市場に上場している銘柄で構成される時価総額加重平均型の株価指数。NYダウやS&P500と比べてハイテク株の割合が高い。
為替(米ドル/円)の状況
米国株は、日本株と異なり為替(米ドル/円)の変動が損益に直結します。
例えば1米ドル100円のときに100米ドルの米国株を買う場合の金額は1万円です。しかし1米ドルが150円の円安になれば1万5,000円に増えます。逆に1米ドル80円の円高になった場合は8,000円に減ります。
そのため今の為替が「円安米ドル高なのか」「円高米ドル安なのか」を把握しておきましょう。
【1990年以降の米ドル/円の値動き】

(2025年2月10日現在)
2025年2月10日現在の為替レートは、35年ぶりの円安米ドル高であり、為替だけを見れば米国株は買い時とはいえない水準です。今から米国株投資を始める人は、為替変動による損失リスクが高いことを覚えておきましょう。
米国株投資におすすめの証券会社
米国株投資におすすめの証券会社は、NISAであれば取引手数料が無料または実質無料になる大手ネット証券5社です。
ただし三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)のNISAは、外貨決済ができません。円貨決済では為替手数料が1米ドルあたり20銭(往復40銭)かかってしまうのでほかの4社から選びましょう。
【米国株投資におすすめの証券会社一覧】
SBI証券 | 楽天証券 | 松井証券 | マネックス 証券 |
|
取扱銘柄数 | 5,374 | 5,104 | 4,791 | 5,032 |
取引手数料 (NISA) |
無料 | 無料 | 無料 | 実質無料 |
為替手数料(※) | 無料 | 無料 | 無料 | 購入時無料 売却時25銭 |
(2025年2月13日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)
SBI証券

SBI証券は、2024年9月末から業界ではじめて日本株の手数料完全無料化を開始したネット証券です。NISAであれば米国株の手数料が無料になり、米ドルに両替する際の為替手数料もかかりません。
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SBI証券の米国株はおすすめ?買い方や注意点も紹介
楽天証券

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画像引用:マネックス証券
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米国株は有望な投資先の一つだがリスクを理解したうえで慎重に始めよう
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