SBI証券とauカブコム証券は、どちらも大手ネット証券の一つですが、手数料やポイント投資などのサービスは大きく異なります。
新NISAとiDeCoの口座は、すべての金融機関のなかで1人1口座しか持てません(1年単位で金融機関の口座変更は可能)。
SBI証券は、商品ラインナップが豊富で、「ゼロ革命」により日本株、米国株の手数料が無料など他の証券口座より多くのメリットがあるため、証券口座を一つにまとめるならSBI証券がおすすめです。
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本記事では、SBI証券とauカブコム証券について日本株や米国株、IPOなども含めて目的別に詳しく比較しています。NISAやiDeCoの証券口座開設や移管を検討している方で、どちらで投資を始めたらいいのかわからない人はぜひチェックしてください。
目次
SBI証券とauカブコム証券を9項目にわけて比較
SBI証券とauカブコム証券を9項目で比較すると、クレカ積立(クレジットカード決済でできる投資信託の積み立て)やポイントの貯まりやすさ、銀行との連携を除けばSBI証券がおすすめです。au PAY カードでクレカ積立をしたい人以外は、SBI証券を選びましょう。
【SBI証券とauカブコム証券の比較(一覧表)】
SBI証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|
①新NISA | 取引手数料無料 (日米株/投資信託) | 取引手数料無料 (日本株) |
②iDeCo | 38銘柄 | 27銘柄 |
③IPO(※1) | 91社 | 24社 |
④米国株 | 5,291銘柄 | 1,888銘柄 |
⑤日本株・単元未満株 | 手数料無料 | 日本株:1日100万円まで無料 単元未満株:0.55%(税込み52円~) |
⑥クレカ積立(※2) (ポイント還元率) | 0.5~5.0% | 1.0% |
⑦ポイントの貯まりやすさ | ◯ | ◎ |
⑧ポイント投資 | 投資信託、日本株、単元未満株 | 投資信託 単元未満株 |
⑨銀行との連携 | ◯ | ◎ |
①新NISA:SBI証券
新NISAは、日本株、単元未満株(1~99株の日本株)、米国株の手数料が無料になるSBI証券がおすすめです。
【新NISAの比較】
SBI証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|
米国株 | 手数料無料 | 手数料無料※ |
日本株 | 手数料無料 | 手数料無料 |
単元未満株 | 手数料無料 | 0.55% (52円~) |
取扱銘柄数 (つみたて投資枠) | 219銘柄 | 218銘柄 |
日本株や単元未満株の取扱銘柄数はほとんど差がなく、米国株の取扱銘柄数はSBI証券のほうが多いため、手数料と銘柄数のどちらを比較してもSBI証券のほうが充実したサービスといえます。後述するクレカ積立でどうしてもau PAY カードを使いたい、Pontaポイントを貯めたい場合を除いてSBI証券を選びましょう。
\単元未満株でも手数料無料/
新NISA(NISA恒久化)について詳しくはこちら
【関連記事】NISAの恒久化とは?現制度との比較やNISA開始のメリットを解説
②iDeCo:SBI証券
iDeCoは、取扱銘柄数の多いSBI証券がおすすめです。新NISAをSBI証券にするなら、アカウントの連携で一括管理できるため、日々の運用も手軽に行えます。
【iDeCoの比較】
SBI証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|
取扱銘柄数 | 38銘柄 | 27銘柄 |
アカウント連携 | ◯ | ◯ |
アカウント連携は「新NISAを含む証券口座」と「iDeCoの口座」を連携し、証券口座のログインID、パスワードを使ってiDeCoの口座にもログインできる機能です。新NISAとiDeCoの口座を同じ証券会社にしないとアカウント連携が使えないため、利便性の面からもSBI証券を選んだほうがいいでしょう。
\アカウント連携で資産管理がしやすい/
③IPO:SBI証券
IPO(新規公開株)は、業界トップの実績数を誇るSBI証券がおすすめです。2023年の実績では、IPO全体の96件のうち91件をカバーしています。
【IPOの比較】
SBI証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|
実績数 (関与率) | 91社 (94.8%) | 24社 (25%) |
うち主幹事(※) | 17社 | 0社 |
IPOは投資家の人気が根強い一方で、売り出される株数には限りがあり、当選確率が低くなります。そのため、複数口座を開設して抽選に申し込む方も一定層存在します。何度も諦めずに抽選に応募する必要がありますが、IPOの取扱数の実績数トップのSBI証券はその分だけチャンスがあるといえるでしょう。
また主幹事であれば、割り当てられる枚数も多くなります。その点でもIPO銘柄の実績ではSBI証券は外すことができません
IPOに投資したい場合、まずはSBI証券に口座を開設し、2社目以降でauカブコム証券を含めた他社の口座開設を検討しましょう。
\業界トップの実績数/
④米国株:SBI証券
米国株は、取扱銘柄数が多く手数料の安いSBI証券がおすすめです。
【米国株の比較】
SBI証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|
取引手数料 (新NISA) | 無料 | 無料 |
取引手数料 (新NISA以外) | 0.495% (上限22米ドル) | 0.495% (上限22米ドル) |
為替手数料 | 無料(※) | 20銭 (1米ドルあたり) |
取扱銘柄数 | 5,291銘柄 | 1,888銘柄 |
SBI証券は新NISAなら米国株の取引手数料が無料になるので、新NISAで米国株を買いたいならSBI証券を選びましょう。(新NISA導入後はauカブコム証券の米国株の取引手数料も無料になります。)
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⑤日本株・単元未満株:SBI証券
単元とは株を売買する際の単位で、現在は100株で統一されています。しかし、1株10,000円の株を100株購入するには100万円が必要となり、手軽に購入することができません。
単元未満株は1株から購入ができるので、初心者の方や手元の資金に不安がある方でも始めやすく、手が届きにくい企業の株も購入しやすくなります。単元未満株ですと少額投資で分散投資も可能で、保有株式で応じて配当金も受け取ることができます。
ただし、デメリットとして単元未満株は指値注文ができません(リアルタイムの取引ができない)。
日本株や単元未満株は、新NISA以外でも手数料が無料になるSBI証券がおすすめです。
【日本株・単元未満株の比較】
SBI証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|
日本株 (新NISA) | 手数料無料 | 手数料無料 |
単元未満株 (新NISA) | 手数料無料 | 手数料無料 |
日本株 (新NISA以外) | 手数料無料 | 1日100万円まで無料 |
単元未満株 (新NISA以外) | 手数料無料 | 0.55% (52円~) |
\単元未満株でも手数料無料/
単元未満株(ミニ株)について詳しくはこちら
【関連記事】ミニ株購入のおすすめ銘柄と証券会社選びのポイントを徹底解説
⑥クレカ積立:auカブコム証券
NISAのつみたて投資枠は、毎月・毎日など定期的に定額を投資します。証券会社ではクレジットカードによるクレカ積立のサービスがあり、証券口座に入金する手間がなくなり、便利です。
それぞれの証券会社では特定のクレジットカードを利用することでポイントが付与されます。年1回以上利用すれば年会費無料のau PAY カードで投資信託の積立投資ができるauカブコム証券がおすすめです。
【クレカ積立のポイント還元率の比較】
SBI証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|
全カード | 0.5~5.0% | 1.0% |
年会費無料のカード(※) | 0.5 | 1.0% |
SBI証券は三井住友カード プラチナプリファードで積み立てれば5.0%のVポイントがもらえますが、年会費が3万3,000円と高く、月5万円の積立金額(年60万円の5%は3万円)では年会費すらペイできません。
auカブコム証券と同様の条件にするには、Oliveフレキシブルペイ ゴールドまたは三井住友カード ゴールド(NL)でクレカ積立を除いて年間100万円以上利用する必要があり、クレジットカードの利用状況によっては厳しいです。
日常から使用しているクレジットカードや携帯電話のキャリアなどライフスタイルにもよりますが、年1回だけ利用すれば年会費が無料、クレカ積立のポイント還元率が1.0%のau PAY カードが使えるauカブコム証券はポイント還元が有利といえます。
\年会費無料のカードでも1.0%還元/
⑦ポイントの貯まりやすさ:auカブコム証券
ポイントは、年会費無料のカードでも1.0%のPontaポイントがもらえるauカブコム証券のほうが貯まりやすいです。
【ポイントの貯まりやすさ比較】
SBI証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|
投資信託保有年率 | 年率0.0175%(※) | 年率0.005%(※) |
クレカ積立 | 0.5~5.0% | 1.0% |
対応クレカでのお買い物 (特典除く) | 0.5~1.0% (三井住友カード) | 1.0% (au PAY カード) |
取扱銘柄数 (つみたて投資枠) | 212銘柄 | 213銘柄 |
投資信託の保有で貯まるポイントは、SBI証券のほうがわずかに多いものの、クレカ積立や対応クレカの還元率でauカブコム証券に劣ります。NISAは恒久化されており、10年20年とつみたてていきますので、ポイントの貯まり方も長期でみると差が出てきます。
\年会費無料のカードでも1.0%還元/
⑧ポイント投資:SBI証券
ポイント投資は、対象商品が充実しているSBI証券がおすすめです。
【ポイント投資の比較】
SBI証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|
使えるポイント | Pontaポイント、Vポイント(※1) | Pontaポイント |
対象商品 | 投資信託、日本株、単元未満株 | 投資信託、単元未満株(※2) |
必要ポイント数 | 1ポイント~ | 1ポイント~ |
新NISAでの利用 | ◯ | ◯ |
auカブコム証券は、積立投資や日本株にポイントが使えない制約があり、SBI証券と比べて不便な点が目立ちます。Pontaポイントを貯めている人はSBI証券でもポイント投資ができるため、使えるポイントや商品の選択肢が豊富なSBI証券を選びましょう。
\Pontaポイントも投資に使える/
⑨銀行との連携:auカブコム証券
銀行との連携で比べると、auじぶん銀行の普通預金と連携できて金利が0.1%になるauカブコム証券のほうが使いやすいです。証券会社と銀行を連携すると、銀行の預金を証券口座の買付資金に使うことができるため、証券口座への入出金が不要になります。
【銀行との連携】
SBI証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|
連携できる銀行 | 住信SBIネット銀行 SBI新生銀行のSBI新生コネクト | auじぶん銀行 |
連携できる預金 | SBIハイブリッド預金 | 普通預金 |
預金金利 | 住信SBIネット銀行:0.01% SBI新生コネクト:0.1% | 0.1% |
SBI証券と住信SBIネット銀行を連携する場合、いったん普通預金から「SBIハイブリッド預金」へ振替をしなければいけません。また、SBI新生銀行のSBI新生コネクトとの連携も可能です。(預金金利が0.1%)
SBI新生コネクトと連携する場合は、預金金利が同じなので、SBIの口座があるならSBI証券、auじぶん銀行に口座がある方はauカブコム証券を選びましょう。
\auじぶん銀行との連携で預金金利0.1%/
どうしてもauカブコム証券を選びたい人向けのチェックポイント
auのサービスを利用しているなどの理由でどうしてもauカブコム証券を選びたい人は、以下3つのポイントをチェックしてから口座を開設しましょう。
新NISAや日本株、米国株などはSBI証券のほうが優れているため、よほどのこだわりがない限りはSBI証券がおすすめです。
\ネット証券最大手でサービスも充実/
au PAY カードを今後も使うつもりがあるか
au PAY カードを今後も使うつもりがあるなら、auカブコム証券を選ぶ価値はあります。「⑥クレカ積立」「⑦ポイントの貯まりやすさ」の比較は、au PAY カードを使うことが大前提です。なおクレカ積立のポイント還元率は、マネックス証券が最大1.1%とわずかに高く、クレカ積立に使えるマネックスカードは年1回以上利用すれば年会費無料となっています。
au PAY カードを持っていない場合は、マネックス証券も選択肢の一つでしょう。
マネックス証券について詳しくはこちら
【関連記事】【マネックス証券で始めるつみたてNISA】特徴や評判、買い方を徹底解説
投資先を投資信託のみに絞れるか
auカブコム証券を選ぶ際は、投資先を投資信託に絞りましょう。投資信託ならauカブコム証券でも人気銘柄は扱っており、手数料や信託報酬(投資信託の保有中に発生する主なコスト)は商品ごとに決まるためSBI証券との差は小さいです。日本株や米国株にも投資する場合は、新NISAならどちらも手数料が無料になるSBI証券を選びましょう。
\新NISAなら米国株も取引手数料無料/
サービス面で他の大手ネット証券に劣る点を受け入れられるか
auカブコム証券は、SBI証券を発端とした手数料引き下げ競争に乗り遅れており、サービス面で他の大手ネット証券に劣っている印象があります。特に新NISAで米国株を買う場合、auカブコム証券以外の大手ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券)は取引手数料が無料または実質無料であるのに対し、auカブコム証券は取引手数料は無料であるものの、為替スプレッド(実質の手数料)がかかります。
手数料の安さをサービスの良さとみなすことは、本質的ではありません。しかし株は、どのネット証券で買っても手数料以外の差が見出しづらいため、auカブコム証券がサービス面で劣っているのは事実です。サービス面で劣る点を受け入れられないなら、SBI証券を選んでおくのが無難です。
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SBI証券やauカブコム証券をはじめとしたネット証券についてよくある質問
SBI証券やauカブコム証券をはじめとしたネット証券について、よくある質問を3つにまとめました。どのネット証券で口座を開設したらいいか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
SBI証券やauカブコム証券以外でおすすめのネット証券は?
年会費が無料になるカードを使って、できる限りお得にクレカ積立をしたいならマネックス証券、楽天グループのサービスを使うなら楽天証券がおすすめです。
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【関連記事】【マネックス証券で始めるつみたてNISA】特徴や評判、買い方を徹底解説
楽天証券について詳しくはこちら
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ネット証券でやたらとSBI証券がおすすめされる理由は?
手数料の引き下げ競争で先頭を走っている印象が強く、収益に対する手数料の依存度も他の大手ネット証券と比べて低いからです。SBI証券は「初心者には使いにくい」という指摘はありますが、操作方法がわからないときは調べれば簡単に解決できるため、慣れてしまえば問題ありません。
ネット証券業界の現状を見ると、楽天やauなどグループのサービスを積極的に使いたいなどの理由がない限り、業界最大手のSBI証券を選んでおくのが無難です。
操作方法がわからないときは誰に聞けばいい?
各証券会社のお問い合わせ窓口に聞くのが確実です。例えばSBI証券では、お問い合わせページにある「チャットサポート」なら24時間対応しています。平日8~17時なら、チャットまたは電話で担当オペレーターが回答してくれます。
au PAY カードを使わないならSBI証券を選ぼう
SBI証券とauカブコム証券のどちらがいいのかどうしても決められない場合は、au PAY カードを使っているかどうかで判断しましょう。au PAY カードを使わないなら、新NISAで日本株や米国株の手数料が無料になるSBI証券がおすすめです。(auカブコム証券も新NISA導入後は手数料無料)
SBI証券は、クレカ積立やポイントの貯まりやすさなどauカブコム証券に劣るところもありますが、手数料は「ゼロ革命」によりauカブコム証券を圧倒しています。auグループのサービスを使いたいなどのこだわりがない限り、SBI証券を選びましょう。
\ネット証券最大手で手数料も安い/
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