NISAは、1月1日時点で日本に在住の18歳以上であれば誰でも開設できます。年齢の上限や収入要件などはないため、学生から年金受給者まで利用できる制度です。
NISA口座は、口座開設手数料や管理料がかからないため、早めに開設しましょう。この記事では、NISAの年齢制限や年齢層ごとの運用方法を解説します。
NISAについて詳しく知りたい人や、どの商品で運用すればいいのか悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
NISAは利用する年の1月1日時点で18歳以上なら始められる
NISAは、利用する年の1月1日時点で日本に在住の18歳以上であれば、誰でも始められます。民法改正により2022年4月から成人年齢が引き下げられたことに伴い、NISA口座の開設も2023年からは対象年齢が20歳以上から18歳以上へ変更されました。
【NISAの概要】
NISAの年齢制限に上限はない
NISAは、iDeCoと異なり年齢の上限がないため、70代以上の人でも利用できます。またNISAの場合、iDeCoのような年齢の解約条件がなく投資した商品をいつでも自由に出金できるため、老若男女を問わずに利用可能です。iDeCoとの違いについて詳しく知りたい人は「NISAとiDeCoの違いと目的別にどっちがいいのかを解説」をチェックしてみましょう。
2024年1月からは制度そのものが恒久化された
NISAは、2024年から新制度が始まり非課税保有期間や口座開設期間が恒久化されました。2023年までの「旧一般NISA」「旧つみたてNISA」では、保有期間に5年または20年の制限があり、年間投資枠を翌年に持ち越せないなど不便な点がありましたが、新制度では解消されています。
NISA口座は、すべての金融機関のなかで一人1口座です。また購入金額ベースで1,800万円以内であれば一生涯非課税のまま株や投資信託を保有できます。新制度では、例えば年間投資金額が30万円であれば60年間、100万円なら18年間でNISAの投資枠を使い切れる仕組みです。新NISAの場合、年間10万~30万円程度の少額投資でも、非課税枠を無駄にせず利用できます。
NISAは18歳以上なら早めに始めたほうがいい理由
日本国内に住んでいて18歳以上の人の場合、早めにNISA口座を開設したほうがよいでしょう。仮にNISAをNISA開設してすぐに取引をしなかったとしてもデメリットはありません。
口座開設手数料や口座管理料がかからない
NISAは、一切投資をしなかった場合でも口座開設手数料や口座管理料がかかりません。ネット証券の場合、申し込みから取引までオンラインで完結できるため、営業担当者からの勧誘がなく自分のペースで投資が始められます。NISAは、マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カードと運転免許証といった本人確認書類があれば5~10分程度で申し込め、1~2日程度で取引できます。
すぐに投資をするかわからない人でも、まずは口座を開設してNISAを始める準備をしておいたほうが始めたいタイミングで投資できるでしょう。
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NISAの口座開設について詳しく知りたい人はこちら
NISAの始め方は?金融機関選びや口座開設の手順から解説
いつ始めても生涯投資枠1,800万円は変わらない
NISAは、いつ始めても生涯投資枠1,800万円は変わりません。
年間投資枠は、360万円(成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円)と決まっています。「すぐに枠を使い切りたいなら年間360万円」「少額投資したいから年間10万円」などと自分が投資できる資金の範囲内で金額を自由に調整できます。
ライフスタイルの変化や昇給などに応じて投資金額を柔軟に変えることも可能です。NISAは、収入が少ない大学生や20代前半の人でも自由に投資金額を調整できるため、利用しやすいでしょう。
NISAの年齢層ごとの運用方法
NISAは、1月1日時点で日本在住の18歳以上であれば誰でも始められますが、年齢層に応じて適切な運用方法が異なります。
ここで紹介する運用方法は、あくまでも「若い世代のほうがリスクの高い運用ができる」という一般論にもとづいています。どうしてもリスクを抑えたい人は、現在の年齢を問わずに50代以降の運用方法を参考にしてください。
18~30歳:少額からコツコツと積み立てていく
一般的に18~30歳は、まだ収入や保有資産が少ない傾向です。そのため少額から投資信託をコツコツと積み立てていきましょう。大手ネット証券であれば月100円から投資信託の積立投資を始められます。まずは、無理のない金額でアルバイト代や給料の一部を投資に回してみてはいかがでしょうか。投資先は、一度決めたら他の商品へ浮気をせずに暴落しても一定額の積立投資を続けることが大切です。
過去の実績では、リーマンショック前に米国の株価指数(S&P500)の積立投資を始めた場合でも5年間積み立てれば利益が出ています。
【5年間S&P500を月1万円積み立てた場合の運用結果(円換算)】
投資金額 | 60万円 |
---|---|
5年後の評価額 | 65万1,255円 |
【対象期間のS&P500の値動き】
運用商品は、今後も米国株が長期的に見て上昇すると考えるのであれば「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がおすすめです。また、どの国の株が上昇するのかわからない人は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を選びましょう。
いずれも業界最低水準の運用コストを目指し続ける投資信託として知名度が高く競合商品に合わせてコストを引き下げた実績もあるため、長期保有しやすい商品です。
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31~50歳:余裕があれば投資額の増額も検討
50歳になるまでは、31歳以降も18~30歳と同じ運用方針で問題ありません。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」など長期保有しやすい商品を選び将来の支出に備えることが大切です。余裕がある場合は、積立投資の増額や株など他の商品への追加投資も検討しましょう。
結婚していない人や結婚して子どもがまだ産まれていない人は、結婚や出産までが資産を増やす絶好のタイミングです。特に出産から子どもが独立するまでは、教育費などにより出費が増え、給料が増えたとしても資産を増やすことが難しくなります。
【子どもの教育費(年間)】
国公立 | 私立 | ||
---|---|---|---|
幼稚園 | 16万5,126円(※1) | 30万8,909円(※1) | |
小学校 | 35万2,566円(※1) | 166万6,949円(※1) | |
中学校 | 53万8,799円(※1) | 143万6,353円(※1) | |
高校 | 51万2,971円(※1) | 105万4,444円(※1) | |
大学 | 入学金 | 28万2,000円(※2) | 24万5,951円(※2) |
授業料 | 53万5,800円(※2) | 93万943円(※2) |
大学まで国公立に進学するとしても学費だけで累計800万円以上かかります。教育費などの支払いで老後の備えができない可能性があるため、NISAによる資産形成は1日でも早く始めたほうが賢明です。
51~65歳:老後に備えて徐々にリスクを抑えていく
51歳以降は、若い世代と比べて資産が増える傾向がある一方で定年が近づく年代です。このタイミングで資産の大半をリスクの高い商品で運用していると暴落時に大きく資産が減り、給料でのカバーが難しくなります。定年まで時間があれば株価の回復まで売らずに待つことも選択できますが、定年間際だと必要に迫られて売却を余儀なくされる可能性も出てくるかもしれません。
いつ暴落が起きるのかは誰にもわかりませんが、2024年11月8日時点の株価は、10~15年前と比べてかなり高いです。万が一に備えて現金比率を引き上げ、徐々にリスクを抑えたほうがいいでしょう。SBI証券などのネット証券では、投資信託の定期売却サービスを提供しており、保有商品を毎月少しずつ売却できます。
売るタイミングがわからない人は、定期売却サービスの利用がおすすめです。これから投資を始める人は、住宅ローンの返済など用途が決まっている資金を現金で確保し、残りのお金だけを投資に回しましょう。
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65歳以降:できる限りリスクを抑えた運用が無難
年金受給が始まる65歳以降は、投資で大損すると取り返しがつきません。相対的に見て株価が高い2024年11月8日時点の状況を考えれば、少なくとも資産の80%程度を現金で確保し、残りのお金で運用するのが無難です。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」をはじめとした株式のみに投資する投資信託だけでなく、リスクの低い債券にも投資する「4資産均等型」や「債券重視型」などの商品も検討しましょう。債券とは国や地方自治体、企業がお金を借りる際に発行するもので返済期日と金利が決まっているため、価格変動はあるものの株式と比べて低リスクなのが特徴です。
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NISAを始める際に気をつけるべきポイント
年齢層を問わず、NISAを始める際に気をつけるべき主なポイントは、以下の3つです。
必ず余裕資金の範囲内で投資する
NISAには、年間360万円(成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円)の投資枠がありますが、必ず余裕資金の範囲内で投資しましょう。株価が上がったときに「もっと買っておけば」と悔しがる人がいますが、投資では儲けを逃すことよりも株価が下がったときに焦って売らないことのほうが大切です。
資産のほぼすべてを投資に回してしまい株価の暴落とお金が必要なタイミングが重なってしまうと、株価が安いときに売らざるを得ない状態に陥ります。株価下落時に冷静に保有し続けるためにも緊急時に必要なお金や数年以内に使うお金は必ず現金で確保し、投資に回さないようにしましょう。
できる限り長期で保有しやすい商品を選ぶ
NISAを始める際は、できる限り長期保有しやすい商品を選びましょう。新NISAでは短期投資もできますが、短期投資に適した銘柄は値動きが激しいです。最初は値動きに慣れるためにも長期投資に適した銘柄が対象になっている「つみたて投資枠」から選びましょう。
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
詳しく知りたい人は「NISAのつみたて投資枠で買える銘柄はいくつある?」をご覧ください。
リスクを取りすぎないようにする
NISAに限った話ではありませんが、実際に投資をする場合はリスクを取りすぎないようにしましょう。特に2020年の新型コロナショックから2024年11月現在まで株価が大きく上昇したため、「NISAは年間360万円投資すべき」といった過激な意見も少なくありません。なかには、株や投資信託などリスク資産の割合が90%を超えている人もいます。
株価上昇局面では、大きくリスクを取ったほうが儲かりますが、今後も今までのような右肩上がりが続くかどうかは誰にもわかりません。万が一株価が暴落した際に買い増しできるように少なくとも資産全体の30%程度の現金を確保したほうがいいでしょう。
NISAの年齢制限についてよくある質問
NISAの年齢制限について、よくある質問をまとめました。2023年までの旧NISA制度から変わった点も多いため、再確認しておきましょう。
未成年者でも開設できる?
NISAは、日本国内に住む18歳以上の人が対象になっているため、未成年者は対象外です。2023年まではジュニアNISAで18歳未満の人でも投資できましたが、制度終了に伴い2024年以降は新規口座開設ができません。
年金受給者でも開設できる?
NISAは、利用する年齢の上限や収入要件などがないため、年金受給者でも開設できます。
NISAで投資を始めるまでの流れ
NISAは、本人確認書類とマイナンバー確認書類があれば簡単に口座開設できます。マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カードと運転免許証を手元に用意して申し込んでみましょう。ここでは、NISAで投資を始めるまでのおおまかな流れを紹介します。
1.NISAを開設する金融機関を選ぶ
まずは、NISAを開設する金融機関選びです。NISAは、制度にすぎないため、どの金融機関で開設するかによって取扱商品が異なります。例えば銀行でNISAを開設した場合、購入できるのは投資信託に限られ日本株や米国株は買えません。幅広い商品に投資したい場合は、証券会社でNISAを開設しましょう。
証券会社のなかでもスマホで口座開設から取引まで完結し、営業担当者の勧誘を一切受けないネット証券がおすすめです。大手ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券)であれば、取引手数料無料または実質無料でNISAが始められます。クレジットカードによる投信積立(クレカ積立)やポイント投資など独自のサービスも提供しています。
【大手ネット証券の比較】
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス 証券 |
auカブコム 証券 |
松井証券 | ||
取引 手数料 (NISA) |
投資信託 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
日本株 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | |
米国株 | 無料 | 無料 | 実質無料 | 無料 | 無料 | |
取扱 銘柄数 |
投資信託 | 2,551本 | 2,568本 | 1,763本 | 1,838本 | 1,883本 |
日本株 | 全銘柄 | 東証・名証 | 全銘柄(東証・名証・福証・札証) | |||
米国株 | 5,412 | 4,691 | 4,917 | 1,955 | 4,573 | |
各種 サービス |
クレカ 積立 |
三井住友 カード |
楽天カード | dカード | au PAY カード |
JCBカード (※1) |
ポイント 投資 |
日本株 投資信託 投信積立 |
日本株 米国株 投資信託 投信積立 |
投資信託 | 投資信託 単元未満株 (プチ株) |
投資信託 投信積立 (3銘柄) |
|
対応 ポイント |
5種類 (※2) |
楽天ポイント | dポイント マネックスポイント |
Ponta ポイント |
松井証券 ポイント |
普段利用しているカードやポイントがある場合は、対応しているネット証券を選びましょう。特にない人は、取扱商品が豊富なネット証券最大手のSBI証券がおすすめです。
\ネット証券最大手で取扱商品が豊富/
2.選んだ金融機関で口座開設を申し込む
金融機関を選んだあとは、スマホから口座開設を申し込みます。メールアドレスを登録し、画面の指示に従って手続きしましょう。ネット証券であればスマホのカメラで運転免許証やマイナンバー(通知)カードを撮影することで本人確認を済ませられます。コピーを取る手間が省けるので便利です。証券総合口座を開設する際にNISA口座開設の有無を選択できるため、必ず「開設する」を選びましょう。
\1回の手続きでNISAが開設できる/
ただしNISAは、すべての金融機関のなかで一人1口座しか開設できません。そのためすでに別の金融機関で開設済みの人は、金融機関の変更手続きが必要です。詳しくは「新NISAで証券会社は変更可能?」で解説しています。NISA開設済みの人は、確認のうえでネット証券へNISA口座を変更しましょう。
3.初期設定を行う
ネットで口座開設を申し込むと審査完了のお知らせがメールで送付されます。メールに記載のURLをクリックして証券会社にログインし、初期設定を行いましょう。上場企業の役職者であれば内部者情報を記載する必要がありますが、該当しない人は簡単なアンケートなどに答えるだけです。初期設定完了後、入金や取引ができるようになります。
4.入金する(投資信託の積み立てなら不要な場合あり)
投信積立で「銀行口座からお金を引き落とす」「クレジットカードで決済する」といった場合以外は、証券口座への入金が必要です。メガバンクやゆうちょ銀行などのネットバンキングサービスを利用すれば手数料無料で即時入金できます。
5.商品を選んで購入または積立設定をする
入金できたあとは、株なら銘柄名、投資信託なら商品名またはその一部を入れて検索し、購入または積立設定をします。操作方法は、証券会社ごとに異なりますが、ネット証券であれば画面の指示に従って手続きをすればいいだけなので簡単です。
\スマホアプリで投信積立ができる/
1月1日時点で18歳以上の人はNISAを早めに始めよう
NISAに限らず、投資はごく一部の天才を除いて短期間で何倍にも資産を増やすことができません。一般的には、コツコツと長期投資で増やしていくほうが再現性としては高いといわれています。1月1日時点で日本国内に住んでいて18歳以上であればNISA口座の開設が可能です。できる限り早めに投資を始めて、時間の長さを味方にして資産を増やしていきましょう。
今からNISAを始める場合は、スマホで簡単に開設できて日本株、米国株、投資信託が手数料無料で投資できるネット証券がおすすめです。迷ったら業界最大手のSBI証券を選びましょう。
\ネット証券最大手で取扱商品が豊富/