ミニ株・単元未満株がおすすめしないと言われるのはなぜ?活用してほしい人も紹介

単元未満株とは、100株(1単元)に満たない日本株のことでミニ株や1株投資ともいわれます。2018年10月1日以降、全国の取引所では株式の売買単位が100株に統一されたので通常、株式を購入する場合100株、200株など、100株単位でしか買うことができません。

単元未満株は、指定した株価や好きな時間に売買できないなど、制約があることから「おすすめしない」と言われますが、少額から日本株に投資をしたい人ならおすすめです。100株買う資金がない人は、単元未満株投資を始めてみてはいかがでしょうか。

本記事では、ミニ株、単元未満株がおすすめしないと言われる理由や、単元未満株を活用してほしい人について解説します。単元未満株投資に興味がある場合は、確認してみましょう。

  1. ミニ株・単元未満株がおすすめしないと言われる3つの理由【経験者が解説】
    1. 1. 好きな時間に売買できないから
    2. 2. 株主優待がもらえない銘柄が多いから
    3. 3. 大して儲からないから
  2. ミニ株・単元未満株以外で初心者におすすめの投資先
    1. 投資信託
    2. 米国株・米国ETF
    3. IPO
  3. ミニ株・単元未満株を活用してほしい人
    1. 100株買う資金がない人
    2. 日本株に少額から分散投資をしたい人
    3. 1株で株主優待がもらえる銘柄を持ちたい人
  4. ミニ株・単元未満株の始め方
    1. ステップ1. ミニ株・単元未満株を扱う証券会社で口座を開設する
    2. ステップ2. 口座に入金する
    3. ステップ3. 銘柄を選んで買う
  5. ミニ株・単元未満株についてよくある質問
    1. 追加購入して100株になったらどうなる?
    2. もしやるとしたらどの証券会社がいい?
  6. ミニ株・単元未満株は日本株に少額で分散投資をしたい人に向いている

ミニ株・単元未満株がおすすめしないと言われる3つの理由【経験者が解説】

ミニ株・単元未満株がおすすめしないと言われる理由は3つあります。実際に単元未満株を含めて10銘柄以上の日本株に投資している経験をもとに解説します。

1. 好きな時間に売買できないから

単元未満株は、楽天証券のかぶミニでリアルタイム取引に対応している730銘柄(2024年6月6日時点)を除いて、好きな時間に取引できません。例えばSBI証券の単元未満株の場合、注文はいつでもできますが売買のタイミングは1日3回です。

SBI証券
画像引用:SBI証券

証券会社によっては、売買できるタイミングが異なり1日1回しか売買できないところもあります。1日のなかで売買を繰り返すデイトレードなどの短期取引を日本株でやる場合、少なくとも100株は必要です。単元未満株は、値段を指定した注文ができないため、好きな時間に売買できないだけでなく、取引したい株価で売買できません。

2. 株主優待がもらえない銘柄が多いから

単元未満株は、ごく一部の銘柄を除いて株主優待がもらえません。株主優待とは、株式を保有している株主に対して企業が提供する特典のことです。

一般的には、株主優待は大きく分けて2つあり、1つは割引購入権です。株主限定でその企業の商品を割引価格で購入することができる権利。2つ目は「無料配当」といって、株主に対して商品やサービスを無料で提供されます。

人気のある銘柄の株主優待は、100株または200株以上の保有が条件となっていることが多い傾向です。

【人気のある銘柄の株主優待(2024年度)】

銘柄名優待内容最低株数優待の最低取得額
吉野家ホールディングス<9861>お食事券100株310,800円
KDDI<9433>カタログギフト(※)100株426,000円
すかいらーくホールディングス
<3197>
優待カード
(お食事券)
100株224,000円
※2025年度から優待内容は変更予定(参照ページ
(2024年6月25日時点、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)

100株に満たない単元未満株は「保有株数1株以上」「全株主」「100株未満の保有株数」が条件になっている株主優待を除いてもらえません。

3. 大して儲からないから

単元未満株から投資を始めても大して儲かりません。株数や株価によりますが、1株投資の場合は株価が2倍になっても利益はせいぜい1万円程度です。日本株に限りませんが、利益の額は投資金額に比例します。ミニ株は投資金額が少ないため、利益も少ないのです。

また、単元未満株は、1株あたりの価格が比較的低いため、取引ごとに発生する手数料が大きな割合を占めることがあります。例えば、株価が数百円程度の株を購入する場合でも、手数料が購入金額の相当部分を占めることがあります。このため、購入した時点で投資額に対するコストが高くなり、投資の利益率が低下します。

ミニ株・単元未満株以外で初心者におすすめの投資先

ミニ株・単元未満株以外で初心者におすすめの投資先が3つあります。投資信託や米国株でも少額投資はできるため、検討してみましょう。

投資信託

SBI証券
画像引用:SBI証券

投資信託とは、たくさんの人(=投資家)の「お金」をまとめて、投資のプロが代わりに運用してくれる金融商品のことです。

投資信託であれば最低100円から投資可能です。商品によっては、世界中の株式2,000銘柄以上に分散投資できます。例えばeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の場合、投資先は約2,900銘柄の国内株や外国株です。1株ずつ日本株や米国株を買うとしても2,900銘柄に投資することは物理的にも金銭的にも厳しいため、投資信託のほうが分散投資しやすいでしょう。

SBI証券であれば投信積立専用の「かんたん積立 アプリ」で投資信託が100円から積み立てられます。業界最低水準の運用コストを目指し続けるeMAXIS Slimシリーズなど豊富な銘柄を取り扱っているので、投資信託を検討している場合はSBI証券を選びましょう。

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投資信託について詳しくはこちら
投資信託の証券会社の選び方!手数料などの違いを比較や、おすすめ銘柄も紹介

米国株・米国ETF

SBI証券
画像引用:SBI証券

米国株や米国ETF(株のように取引できる投資信託)は、1株からリアルタイムで取引できます。日本では、時差の関係で23時30分~翌朝6時または22時30分~翌朝5時(米国の休日は除く)に取引できるため、仕事が忙しい会社員でも投資しやすいのです。最低投資金額も少なく、Appleの場合は4万円以内で1株買えます(2024年6月25日時点)。

また米国ETFを買えば投資信託と同様に多数の日本株、外国株へ少額分散投資ができます。米国株や米国ETFを検討している場合は、新NISAで手数料が無料になるSBI証券を選びましょう。

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米国株や米国ETFについては下記記事で詳しく解説しています。合わせて読んでみてください。
米国株(アメリカ株)と米国ETFが買える証券会社をおすすめ順に紹介
米国ETFのおすすめ銘柄10選!おすすめ証券会社や銘柄の選び方も紹介

IPO

SBI証券
画像引用:SBI証券

IPOは「Initial Public Offering」の略で、日本語では「新規公開株式」または「新規公開株」「新規上場株式」などと言います。IPOとは簡単に言うと、未上場企業が初めて証券取引所に株式を上場し、一般投資家に向けて売り出すことです。

IPO(新規公開株)投資は、資金にある程度の余裕がある人なら単元未満株より大きな利益が見込めます。銘柄ごとに抽選があり当選しない限り買えませんが、当たれば購入価格の2倍以上になる可能性もあります。IPOは、証券会社によって取り扱いの有無や株数が異なるため、できる限り実績豊富な証券会社で申し込みましょう。ネット証券であれば業界最多の実績数を誇るSBI証券がおすすめです。

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ミニ株・単元未満株を活用してほしい人

日本株に興味があって以下3つのどれかに当てはまる人は、ミニ株・単元未満株を活用してみましょう。

ミニ株・単元未満株について詳しくはこちら
ミニ株購入のおすすめ銘柄と証券会社選びのポイントを徹底解説

100株買う資金がない人

SBI証券
画像引用:SBI証券

100株単位で買う資金がない人は、単元未満株で投資を始めてみましょう。例えばトヨタ自動車の株を買う場合、100株買うには32万9,600円必要です(2024年6月25日時点)。10万円程度の資金しかない場合、ほとんどの銘柄は100株買えません。単元未満株なら1株から買えるので、9割以上の銘柄が1万円以内で買えます。単元未満株を買いたい場合は、手数料がかからないSBI証券を選びましょう。

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日本株に少額から分散投資をしたい人

日本株に少額から分散投資をしたい人も単元未満株がおすすめです。50万~100万円の資金があったとしてもNEC<6701>のように株価が1万円近い銘柄を100株買った場合は1銘柄しか買えません。しかし単元未満株であれば株数を調整することで複数銘柄への分散投資ができます。(分散投資とは、投資対象を複数に分けることでリスクを軽減する投資の基本的な戦略)

【50万円でできる分散投資の例】

銘柄名株価株数必要金額
トヨタ自動車<7203> 3,521円 28株 9万8,588円
NEC<6701> 9,882円 10株 9万8,820円
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306> 1,490円 67株 9万9,830円
三菱商事<8058> 3,250円 30株 9万7,500円
JT<2914> 3,955円 25株 9万8,875円
※手数料のかからないSBI証券で投資する場合
(2024年2月22日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)

1株で株主優待がもらえる銘柄を持ちたい人

1株で株主優待がもらえる銘柄を持ちたい人は、該当銘柄だけ単元未満株で投資してみましょう。100株も要らないけど優待目当てに1株だけ欲しい場合は、単元未満株投資が有効です。

【1株でもらえる株主優待銘柄の例】

銘柄名優待内容
上新電機<8173> Joshinの割引券
京セラ<6971> 製品・サービスの優待販売
SBIホールディングス<8473> サプリメント・化粧品の割引購入申込券
(2024年6月25日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)

単元未満株を買う場合は、手数料無料のSBI証券を選びましょう。

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ミニ株・単元未満株の始め方

ミニ株・単元未満株は、以下3ステップで始められます。ステップ3では、おすすめ銘柄も紹介しているので、銘柄選びに迷っている人も確認してみましょう。

ステップ1. ミニ株・単元未満株を扱う証券会社で口座を開設する

まずは、ミニ株・単元未満株を扱う証券会社で口座開設しましょう。単元未満株は、投資金額が少ない分手数料が割高になるため、手数料無料または実質無料の証券会社がおすすめです。例えば松井証券以外の大手ネット証券であれば新NISAで取引する単元未満株の手数料は無料または実質無料です。

【単元未満株が買える大手ネット証券の比較表】

※1.リアルタイム取引の場合は0.22%のスプレッド(事実上の手数料)がかかる
※2.2024年6月以降は無料化を予定
※3.2024年2月5日時点
(2024年2月22日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)

マイナンバーカードまたは運転免許証+通知カードがあれば、スマホからの申し込みで1~2日以内に口座開設ができます。マイナンバー(通知)カードをなくした場合は、口座開設までに時間はかかりますがマイナンバー記載の住民票で代用可能です。単元未満株に投資したい場合は、新NISA以外でも手数料が無料になるSBI証券を選びましょう。

\新NISA以外でも単元未満株の手数料無料/

新NISAについて詳しくはこちら
新NISAにおすすめの証券会社はどこ?各社の特徴を踏まえつつ解説

ステップ2. 口座に入金する

口座が開設できたら入金しましょう。株に投資する場合は、投信積立と異なり事前に入金しておかないと買えません。SBI証券の場合は、以下5つの方法で入金できます。

SBI証券の入金方法
  • 即時入金
  • リアルタイム入金
  • 銀行振込(振込手数料が必要)
  • 振替入金(ゆうちょ銀行)
  • 預り金自動スィープサービス(住信SBIネット銀行)

メガバンクや楽天銀行、PayPay銀行などに口座がある場合はネットバンク経由の「即時入金」、ゆうちょ銀行に口座がある場合は「振替入金」、住信SBIネット銀行に口座がある場合は「預り金自動スィープサービス」がおすすめです。

ステップ3. 銘柄を選んで買う

入金後は、銘柄を選んで買いましょう。買いたい銘柄を会社名または証券コード(4桁の数字)で検索すると銘柄のチャートが表示されます。

トヨタ
画像引用:SBI証券

右上にある「取引」から「現物買」を選択すると注文画面に移り、右上にある「S株」にチェックを入れると単元未満株の注文ができます

\スマホアプリから単元未満株が注文できる/

単元未満株投資でおすすめの銘柄を株主優待と高配当株に分けて紹介します。

・おすすめ銘柄(株主優待)

単元未満株投資でおすすめの株主優待は、以下の3銘柄です。

【おすすめ銘柄(株主優待)】

銘柄名優待内容最低株数
上新電機<8173> Joshinの割引券 1株
京セラ<6971> 製品・サービスの優待販売 1株
SBIホールディングス<8473> サプリメント・化粧品の割引購入申込券 1株
(2024年2月22日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)

上新電機<8173>は、年1回25枚(5,000円分)の割引券がもらえます。2,000円ごとに1枚(200円分)しか使えませんが、スマホやロボット掃除機などの高額商品をJoshinで買うときにお得です。Joshin webでも利用できるため、近くにJoshinがない人でも使えます。京セラ<6971>は、年2回グループの製品・サービスを特別価格で買える通信販売の案内がもらえます。

SBIホールディングス<8473>は、SBI証券の親会社です。グループに健康補助食品(サプリメント)や化粧品を扱う会社があり、通常価格から50%割引の優待価格で購入できる割引購入申込券が年1回、1枚もらえます。

・おすすめ銘柄(高配当株)

単元未満株投資でおすすめの高配当株は、以下の3銘柄です。配当は、株主優待と異なり、どの銘柄でも1株からもらえます。

【おすすめ銘柄(高配当株)】

銘柄名 配当(予想)※ 配当利回り(予想)
JT<2914> 194円 4.9%
武田薬品工業<4502> 188円 4.2%
ケイアイスター不動産<3465> 180円 4.9%
※配当利回り:株価÷配当×100。ここでは会社が発表した予想配当金から計算
※JTは2024年12月期予想、武田薬品工業とケイアイスター不動産は2024年3月期予想
(2024年2月22日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)

JT<2914>は、たばこが主力の会社です。2021年に減配(配当を減らすこと)はありましたが、その後は配当を増やしており、業績も安定しています。武田薬品工業<4502>は、業績に安定感はないものの高い配当を維持しています。日経平均株価と比べると株価もそこまで上がっていないため、安いタイミングがあれば少し買ってもいいでしょう。

ケイアイスター不動産<3465>は、土地の仕入れから住宅の販売までをすべて担う不動産会社です。ここ数年の業績は伸び悩み、減配もありましたが、海外事業が軌道に乗れば再び配当が増える可能性もあるでしょう。

ミニ株・単元未満株についてよくある質問

ミニ株・単元未満株についてよくある質問を2つピックアップしました。

追加購入して100株になったらどうなる?

自動的に単元株になり、どの証券会社でもリアルタイムで売買できるようになります。ただし118株など100株未満の株数が残っている場合は、100株(単元株)と18株(単元未満株)に分けて2回取引する必要があります。

もしやるとしたらどの証券会社がいい?

単元未満株を含む日本株の手数料が無料で、他の商品ラインナップも豊富なSBI証券を選びましょう。

ミニ株・単元未満株は日本株に少額で分散投資をしたい人に向いている

ミニ株・単元未満株は、日本株に少額で分散投資をしたい人向きです。100株、200株などリアルタイムで売買できる日本株と比べて不便なところはありますが、単元未満株なら1株から買えます。10万円未満の資金で日本株に投資したい人や50万~100万円の資金で5~10銘柄の日本株に分散投資をしたい人は、単元未満株投資を始めてみましょう。

単元未満株投資は、新NISA以外でも手数料無料のSBI証券がおすすめです。

\コストをかけずに単元未満株が取引できる/

北川 真大

金融系ライター・個人投資家

明治大学法学部卒業後、証券会社に入社。入社後すぐに2級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得し、個人営業に従事。証券営業の経験をもとに金融系の記事執筆やKindle出版を開始し、現在はフリーライターとして活動中。日本株、投資信託、暗号資産、不動産を保有する個人投資家でもあり、日本株の投資歴は累計7年以上に及ぶ。