「手数料が安い会社は〇〇証券です」と表現するのは一見わかりやすいのですが、実際は投資先によって異なります。日本株の手数料が安い証券会社からといって、米国株の手数料も安いとは言い切れません。
つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の対象となる投資信託では、金融庁が定めたルールにより購入手数料がすべて無料になるため、手数料以外の項目も比較して選ぶことが必要です。
本記事では、手数料が安い証券会社を投資信託、日本株、米国株にわけて比較します。ポイント投資やクレカ積立(クレジットカード決済が使える投資信託の積み立て)など投資初心者に人気のあるサービスも含めて比較しているので、自分にぴったりの証券会社を探している人は必見です。
投資信託の手数料が安い証券会社
投資信託の手数料が安い証券会社は、以下の5社です。
投資信託の場合、つみたて投資枠(旧つみたてNISA)で買うなら、どの証券会社でも購入手数料が無料となります。信託財産留保額といわれる事実上の売却手数料も、つみたて投資枠なら大半の銘柄が無料です。
ここで紹介する証券会社は、いずれも信託報酬(投資信託の保有中に発生するコスト)が安い銘柄を取り扱っているので、ポイント投資なども含めて比較します。
SBI証券:3種類のポイントでポイント投資できる
SBI証券は、業界最大手のネット証券で3種類のポイントでポイント投資ができます。複数のポイントを貯めていて、使い道がないポイントがある人にも使いやすいです。
【SBI証券の概要表(投資信託)】
取扱銘柄数(全体) | 2,578本 |
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つみたて投資枠 | 221本 |
ポイント投資 | Tポイント、Pontaポイント、Vポイント(※) |
クレカ積立 (ポイント還元率) | 0.5~5.0% |
三井住友カードなどによるクレカ積立や「かんたん積立 アプリ」で簡単に投資信託の積立投資ができるなどサービスも充実しているので、はじめて投資信託を買うならSBI証券を選びましょう。
\スマホアプリで投資信託が簡単に買える/
SBI証券について詳しく知りたい人はこちら 【関連記事】SBI証券で口座開設するメリットを紹介
楽天証券:楽天グループのサービス利用者にお得
楽天証券は、楽天銀行や楽天カードをはじめとした楽天グループのサービス利用者にお得な証券会社です。
【楽天証券の概要表(投資信託)】
取扱銘柄数(全体) | 2,564本 |
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つみたて投資枠 | 221本 |
ポイント投資 | 楽天ポイント |
クレカ積立 (ポイント還元率) | 0.5~1.0% |
楽天カードがあれば、クレカ積立で0.5~1.0%の楽天ポイントが貯まります。貯まった楽天ポイントは、投資信託の積立投資にも利用できるので、楽天ポイントを普段から使っている人は、ポイントの使い道が広がります。
また「マネーブリッジ」に申し込んで楽天銀行と連携すれば、普通預金と証券口座の預り金を共有できるため、楽天証券への入金手続きは不要です。楽天カードや楽天銀行をよく使う人は、楽天証券で投資信託を買いましょう。
\楽天ポイントが使いやすい/
楽天証券について詳しく知りたい人はこちら
【関連記事】楽天証券のメリットやデメリットは?
auカブコム証券:au経済圏の利用者にお得
auカブコム証券は、au経済圏ユーザーと相性がいいので、auじぶん銀行を利用している人、auPayカードを持っている人にはメリットがあります。
【auカブコム証券の概要表(投資信託)】
取扱銘柄数(全体) | 1,775本 |
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つみたて投資枠 | 219本 |
ポイント投資 | Pontaポイント |
クレカ積立 (ポイント還元率) | 1.0~3.0% |
通常の還元率は1%ですが、auマネ活プランへの加入とauPayカード決済で還元率が1.5%に上昇し、さらにauPayゴールドカード保有とNISA口座保有で毎月の投資信託積立金額の3%がポイントで還元されます。
その他にもauじぶん銀行とauカブコム証券の口座を連携すると、auじぶん銀行の普通預金金利が最大で0.3%の優遇金利となるメリットもあるため、au経済圏を利用しているならauカブコム証券を選びましょう。
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マネックス証券:クレカ積立のポイント還元率が高い
マネックス証券は、口座開設後に発行できるマネックスカードで1,000円単位のクレカ積立をすると、積立金額の1.1%のマネックスポイントがもらえます。
【マネックス証券の概要表(投資信託)】
取扱銘柄数(全体) | 1,746本 |
---|---|
つみたて投資枠 | 218本 |
ポイント投資 | マネックスポイント(※) |
クレカ積立 (ポイント還元率) | 1.0~1.1% |
マネックスカードは、クレカ積立を含めて年1回以上利用すると年会費が無料になるので、他にメインのクレジットカードがある人でも発行しやすいです。
ポイント投資が投資信託の積み立てに使えない制約はありますが、年会費実質無料のカードで1.1%のポイント還元を受けたいならマネックス証券を選びましょう。
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松井証券:投資信託の保有でもらえるポイントが多い
松井証券は、クレカ積立に非対応でポイント投資の使い勝手が悪いデメリットはあります。しかし投資信託の保有でもらえるポイントが多い証券会社です。
【松井証券の概要表(投資信託)】
取扱銘柄数(全体) | 1,861本 |
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つみたて投資枠 | 223本 |
ポイント投資 | 松井証券ポイント(※) |
クレカ積立 (ポイント還元率) | 非対応 |
実際に業界最低水準の運用コストを目指す「eMAXIS Slimシリーズ」の主な銘柄で比較すると、松井証券が最も多い(銘柄によっては同率1位)ことがわかります。
【投信の保有でもらえるポイントの比較(保有金額40万円の場合)】
証券会社 | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
---|---|---|---|
松井証券 | 139ポイント(年間) | 236ポイント(年間) | 70ポイント(年間) |
SBI証券 | 200ポイント(年間) | ||
楽天証券 | 30ポイント(※) | ||
マネックス証券 | 120ポイント(年間) | 70ポイント(年間) |
貯まった松井証券ポイントは、dポイントやAmazonギフトカードに交換できます。投資信託を長期保有するつもりなら、松井証券も選択肢の一つです。
\投資信託の保有でもらえるポイントがお得/
松井証券について詳しく知りたい人はこちら
【関連記事】松井証券のメリットとデメリットは?松井証券が向いている人まで解説
日本株の手数料が安い証券会社
日本株の手数料が安い証券会社は、新NISA以外でも手数料が無料になるSBI証券と楽天証券です。
- なおauカブコム証券、マネックス証券、松井証券も新NISAなら日本株の手数料は無料になるので、新NISAで比べれば5社ともほとんど差はありません。
SBI証券:1株から取引コストゼロで買える
【SBI証券の概要(日本株)】
取引手数料 (日本株) | 無料 |
---|---|
取引手数料 (単元未満株) | 無料 |
SBI証券は、日本株の手数料について単元未満株(1~99株の日本株)でも手数料無料にしており、1株から取引コストゼロで買えます。単元未満株取引時のスプレッド(事実上の手数料)もありません。
日本株を1株から手数料無料で売買したいなら、SBI証券を選びましょう。
\1株から手数料無料で取引できる/
日本株の1株投資(ミニ株)について詳しく知りたい人はこちら
【関連記事】ミニ株購入のおすすめ銘柄と証券会社選びのポイントを徹底解説
楽天証券:100株単位での取引なら手数料無料
【楽天証券の概要(日本株)】
取引手数料 (日本株) | 無料 |
---|---|
取引手数料 (単元未満株) | 0.22%(スプレッド) |
楽天証券は、100株単位の取引なら新NISA以外でも手数料無料です。単元未満株も手数料は無料ですが、株価の0.22%がスプレッド(事実上の手数料)として買値に加算、売値から減算されます。
ある程度資金に余裕があり、100株以上買えるなら楽天証券も選択肢の一つです。
\日本株の取引手数料が無料/
米国株の手数料が安い証券会社
米国株の手数料が安い証券会社は、以下の3社です。新NISAであれば5社とも取引手数料は無料または実質無料になるので、為替手数料で比較しましょう。
マネックス証券:米国株購入時の為替手数料が無料
マネックス証券は、米国株購入時の為替手数料が無料です。
【マネックス証券の概要表(米国株)】
取引手数料 (新NISA) | 実質無料 |
---|---|
取引手数料 (新NISA以外) | 0.495% (上限22米ドル) |
為替手数料 (1米ドルあたり) | 購入時:無料 売却時:25銭 |
取引時間(※) | 22:00~翌10:00(※1) |
取扱銘柄数 | 5,001本(※2) |
取引時間も1日12時間と長く、他社では取引できない朝の時間帯でも米国株が買えます。仕事が忙しくて夜間での取引ができない人は、マネックス証券を選びましょう。
\朝の通勤時間帯でも米国株が取引可能/
マネックス証券の米国株について詳しくはこちら
【関連記事】マネックス証券の米国株の買い方を紹介!メリットや手数料・おすすめ銘柄も
松井証券:為替手数料が無料
松井証券は、為替手数料が無料です。
【松井証券の概要表(米国株)】
取引手数料 (新NISA) | 無料 |
---|---|
取引手数料 (新NISA以外) | 0.495% (上限22米ドル) |
為替手数料 (1米ドルあたり) | 購入時:無料 売却時:無料 |
取引時間(※) | 23:30~翌6:00 |
取扱銘柄数 | 3,816本 |
松井証券は顧客サポートに力を入れており、受付時間内なら口座開設サポート(0120-021-906、平日8:30~17:00)や米国株サポート(0120-937-378、平日7:00~24:00)で操作方法などを教えてもらえます。時間外の場合は、松井証券AIチャットで質問できます。
はじめてのネット証券で操作に不安がある人は、松井証券を選びましょう。
\サポートが充実しており初心者にやさしい/
楽天証券:日本円と米ドルの為替手数料は無料
楽天証券は、2023年12月4日より他社に追随する形でそれまでの為替手数料3銭から無料に変更しています。
【楽天証券の概要表(米国株)】
取引手数料 (新NISA) | 無料 |
---|---|
取引手数料 (新NISA以外) | 0.495% (上限22米ドル)(※1) |
為替手数料 (1米ドルあたり) | 無料 |
取引時間(※2) | 23:30~翌6:00 |
取扱銘柄数 | 4,714本 |
米国株以外の投資にも興味がある人は、日本円に戻すことも考慮して楽天証券で米国株を買うのも選択肢の一つです。
\日本円に戻す際の為替手数料が無料/
手数料以外で証券会社を選ぶポイント
手数料の安さは、投資を始めるうえで重要です。しかし手数料以外で証券会社を選ぶポイントも4つあります。ここで紹介した証券会社は、いずれも手数料が極めて安いため、手数料以外のポイントで選んでもよいでしょう。
銀行との連携
自分が使っている銀行と連携できる証券会社を選ぶと、証券口座への入金手続きが不要になるので便利です。
【銀行との連携】
証券会社 | 連携できる銀行 | 連携できる預金 | 対象商品の制限 |
---|---|---|---|
SBI証券 | 住信SBIネット銀行 | SBIハイブリッド預金(※) | 制限なし |
楽天証券 | 楽天銀行 | 普通預金 | 制限なし |
auカブコム証券 | auじぶん銀行 | 普通預金 | 制限あり |
マネックス証券 | なし | なし | なし |
松井証券 | MATSUI Bank(銀行代理業) | 普通預金 | 日本株のみ |
これから証券口座と同時に銀行口座も開設する場合は、楽天証券×楽天銀行がおすすめです。「マネーブリッジ」に申し込むだけで普通預金との連携ができ、対象商品の制限もありません。
楽天銀行の普通預金金利が300万円まで0.1%(300万円を超える分は0.04%)になる特典もあるので、投資を始めたい人や楽天銀行の利息を増やしたい人は、楽天証券を選びましょう。
\楽天銀行の普通預金金利が最大0.1%/
スマホアプリの評価(≒使いやすさ)
近年は、パソコンよりもスマホを使う人が増えているため、スマホアプリの評価(使いやすさ)を比較されることがあります。各社の公式サイトからログインすればスマホでも取引できますが、スマホアプリを使うほうがスムーズです。
【スマホアプリの評価(Apple Store)】
SBI証券 | 楽天証券 | auカブコム証券 | マネックス証券 | 松井証券 |
---|---|---|---|---|
2.4/5 (SBI証券 株アプリ) | 4.5/5 (iSPEED) | 2.1/5 (auカブコム証券アプリ) | 4.3/5 (マネックス証券アプリ) | 4.4/5 (松井証券 日本株アプリ) |
Apple Storeの評価は、SBI証券とauカブコム証券を除けば大差ありません。アプリの評価(使いやすさ)は、バージョンの更新によって変わる可能性もあるので、参考程度にしましょう。
ポイント投資のしやすさ
少額から投資を始めたい人にとっては、ポイント投資のしやすさは重要です。証券会社によってポイントの種類や対象商品が異なります。
【ポイント投資の比較】
証券会社 | 利用できるポイント | 最低利用ポイント数 | 対象商品 |
---|---|---|---|
SBI証券 | Tポイント、Pontaポイント、Vポイント(※) | 1ポイント | 投資信託、日本株 |
楽天証券 | 楽天ポイント | 1ポイント | 投資信託、日本株、米国株 |
auカブコム証券 | Pontaポイント | 1ポイント | 投資信託、日本株 |
マネックス証券 | マネックスポイント | 1ポイント | 投資信託 (積み立ては除く) |
松井証券 | 松井証券ポイント | 100ポイント | 投資信託 (3銘柄) |
マネックス証券と松井証券は、他社ポイント(dポイントやAmazonギフトカードなど)に交換できますが、ポイント投資の対象商品は制約が大きいです。
ポイント投資を始めたい人は、楽天ポイントをよく使うなら楽天証券、楽天ポイントを使わないならSBI証券を選びましょう。
\日本円に戻す際の為替手数料が安い/
\クレカ積立還元率が最大5%!/
クレカ積立のポイント還元率
投資信託に投資する場合、クレカ積立のポイント還元率は重要な比較ポイントです。ただしポイント還元率が高いカードは、年会費も高く万人向けではないため、ここでは年会費無料(または年1回以上の利用で無料)のカードで比較します。
【クレカ積立のポイント還元率(年会費無料のカード)】
証券会社 | 対応カード | ポイント還元率 |
---|---|---|
SBI証券 | 三井住友カード(NL)など | 0.5% |
楽天証券 | 楽天カード | 0.5または1.0%(※) |
auカブコム証券 | au PAYカード | 1.0〜1.5% |
マネックス証券 | マネックスカード | 1.0~1.1% |
松井証券 | 非対応 | 普通預金 |
マネックス証券は、口座開設後に発行できるマネックスカード(年1回以上利用すれば年会費無料)で月1,000円単位のクレカ積立をすると、1.1%のマネックスポイントがもらえます。マネックスポイントはdポイント、Amazonギフトカード、Tポイント、Pontaポイントなどに交換できます。
すでに三井住友カード(NL)や楽天カードを持っている場合は、SBI証券や楽天証券を利用するのも選択肢の一つです。しかしポイント還元率を重視する場合は、マネックス証券がおすすめです。
\マネックスカードで最大1.1%還元/
手数料が安い証券会社は投資する金融商品によって異なる
手数料が安い証券会社は、投資する金融商品によって異なります。手数料のランキングを公表しているサイトのなかには、日本株しか考慮していない場合もあり、日本株の手数料が無料だからといって、コスト重視で米国株を始めたい人にSBI証券を勧めるのは適切ではありません。
投資したい商品が決まっている場合は、商品ごとに手数料が安い証券会社を比較して最も安いところで投資を始めましょう。投資信託は、ここで紹介した4社ならいずれも低コスト銘柄を豊富に取り扱っているので、ポイント投資など他の項目から自分にあう証券会社を選んでください。
日本株ならSBI証券、米国株ならマネックス証券がおすすめです。
\クレカ積立還元率が最大5%!/
\新NISAなら手数料実質無料で買える/