少額投資とは、明確な定義はありませんが一般的には10万円以内の少額で始める投資です。少額投資は、インフルエンサーを中心に「意味がない」「自己投資のほうがまし」などの反対意見も見られますが、意味はあります。詐欺的な投資勧誘にだまされて大切なお金を奪われないためにも、少額投資で経験を積んでおきましょう。
この記事では、おすすめの少額投資や少額から投資を始める意味を解説します。
少額から投資を始めるメリット
少額投資には以下のようなメリットがあります。
分散投資でリスクを軽減できる
投資を一つの対象に集中させると、その対象に問題が起きた際、資産全体に大きな損失が生じるリスクがあります。
例えば、10万円を一つの投資先に投入すると、その投資先が失敗した際に全額を失うリスクがあります。しかし、少額投資なら10万円を1万円ずつ10種類の投資先に分けて運用できます。
これにより、一つの投資先に問題が発生しても、資産全体の損失は1万円に限定され、他の投資先が成功すれば損失を補うことができます。
このように、少額投資を活用することで、資産を複数の投資対象に分散させ、リスクを軽減することができるのです。分散投資はリスク管理の基本であり、少額投資の大きなメリットと言えます。
経験値を得ることができる
高額での運用を始める前に少額で投資の経験を積むことができるのは大きなメリットです。
投資は複雑で、市場の動きや投資先の選び方、リスク管理など、多くの知識とスキルが求められます。投資初心者が最初から大きな金額を投資すると、予期せぬ損失が発生するリスクがあります。
しかし、少額投資ならリスクを抑えつつ、実際の投資環境で経験を積むことができます。少額投資で仮に損失が出ても影響は比較的少なく、投資の基本を学びながら、自分の投資スタイルを確立することが可能です。これにより、高額資産を運用する際に自信を持って投資ができ、リスクを適切に管理することもできます。
副業としてできる
企業によっては、従業員が副業を行うことを制限している場合があります。しかし、投資は一般的に副業と見なされず、特に少額投資なら会社の規則に違反することなく行うことができます。
厚生労働省は「労務提供上の支障がある場合、業務上の秘密が漏洩する場合、競業により自社の利益が害される場合、自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合」の4点に該当する場合のみ企業が従業員に対して副業を禁止または制限できると述べています。
少額投資は長期的な資産形成の手段として利用でき、給与以外の収入源を作ることで、将来の経済的安定を図ることができます。
さらに、投資の学びや経験は、金融リテラシーを向上させ、仕事においてもプラスになる場合があります。
少額投資のデメリット
多くのメリットがある少額投資ですが、以下のようなデメリットもあります。
大きな利益を得る可能性が低い
投資額が少ないため、得られる利益も少なくなります。
例えば、年利10%の運用を成功したとしても、1万円の投資では1,000円の利益にしかなりません。一方、同じ運用で10万円を投資していた場合、利益は1万円になります。
少額投資では、投資額が小さいため、リスクが軽減される一方で、大きな利益に結びつきにくいのです。長期的に資産を増やすには、追加の投資や時間が必要になります。
手数料が割高
少額投資では、投資額が少ないため、手数料の割合が高くなります。
例えば、1万円の投資に対して500円の手数料がかかると、その手数料率は5%になりますが、10万円の投資に同じ500円の手数料がかかる場合は手数料率は0.5%となります。
このように、少額投資では手数料が投資額に対して割高になるため、利益を得るために時間を要したり、手数料負担が利益を圧迫する可能性があるのです。
選択肢が少ない
投資商品は基本的に最低投資額が設定されており、少額では購入できないことが多いです。
また、単元未満株などで投資する場合も、購入可能な銘柄が限られているため、自分に合った投資商品を見つけるのは難しくなります。
1,000円以下で始められるおすすめの投資
株式投資
まとまった金額が必要なイメージのある株式投資ですが、実は少額で始められる単元未満株と米国株という選択肢があります。
・単元未満株(ミニ株)
単元未満株(1~99株の日本株)は、新NISAの成長投資枠で投資できます。
日本株は、原則100株ずつでしか証券取引所でのリアルタイム売買はできませんが、単元未満株に対応している証券会社を利用すれば1株から取引可能です。
・米国株
米国株は、新NISAの成長投資枠で投資できます。
日本株と異なり1株から米国の証券取引所を通じて売買できるため、少額投資しやすい傾向です。
新NISAなら手数料無料で買える証券会社があるので、Appleなどの米国企業に直接投資してみたい人は、少額から米国株投資を始めてみましょう。
新NISA
少額投資非課税制度(NISA)では、1,000円以下の少額から投資を始めることができ、運用益が無期限で非課税となる制度です。
投資信託
投資信託は、新NISAのつみたて投資枠または成長投資枠で100円から投資できます。
多数の投資家から集めたお金を運用会社(プロ)が運用する仕組みです。
1銘柄買うだけで多数の商品に分散投資できる特徴があります。
投資信託は、銘柄によって信託報酬(保有中に発生する主なコスト)が異なるので、可能な限り利益を最大化させるためにも、低コストの商品を選びましょう。
ポイント投資
ポイント投資とは、クレジットカードの利用やショッピングで貯めたポイントを、株式や投資信託などの金融商品に投資できるサービスです。
現金ではなくポイントでの運用が可能なため、投資初心者やリスクを抑えたい人に人気です。
最近は多くの金融機関や企業が提供を開始しており、投資へのハードルが低くなることで誰でも手軽に資産運用を始めることができます。
10,000以下で始められるおすすめの投資
個人型確定拠出年金 iDeCo
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、毎月一定額を積み立てて自己運用し、将来の年金受給資金を確保する制度です。
iDeCoの最低積立金額は5,000円で、将来の年金受給資金を確保するだけでなく、税制優遇や自由運用などのメリットがあります。
ロボアドバイザー
ロボアドバイザーは、人工知能やアルゴリズムを使って自動的に投資を行うサービスです。
投資家のリスク許容度や目標に応じて最適なポートフォリオを組み立て、運用を行います。
人件費がほぼかからないため手数料が低いというメリットがありますが、出資者が投資の知識を得ることができないというデメリットもあります。しかし初心者や資金が少ない人にとっては、手軽でリスクを分散しやすい投資と言えます。
少額投資で失敗をできる限り避けるコツ
投資に絶対はありませんが、少額投資で失敗をできる限り避けるコツが2つあります。
一攫千金を狙おうとしない
少額投資で一攫千金を狙うことはやめましょう。FXやCFD(差金決済取引)など自己資金の5~25倍の金額で取引できる金融商品なら大きな利益が見込めるかもしれません。しかし想定と逆の値動きになれば、最悪の場合は借金を背負うこともあります。初心者が一攫千金を狙う投資は、結果としてギャンブルに極めて近いものになりやすい傾向です。
「もしうまくいけば」などといった淡い期待を持つことはおすすめできません。できるだけ投資信託や株の長期投資から始めましょう。
できる限り手数料が安い証券会社を選ぶ
少額投資を始める場合は、できる限り手数料が安い証券会社を選びましょう。少額投資は、手数料の割合が高くなることが多く株価が上がっていても手数料を考慮すると損になってしまう「手数料負け」が発生することもあります。大手ネット証券の新NISAであれば日本株や米国株の手数料が無料(または実質無料)となるため、少額投資を始める場合は後述する大手ネット証券を選びましょう。
少額投資に向いている証券会社
少額投資に向いている証券会社は、手数料がかからず取扱商品が豊富な大手ネット証券5社です。
【少額投資に向いている証券会社】
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス 証券 |
auカブコム 証券 |
松井証券 | |
取引手数料 (投資信託) |
無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
取引手数料 (単元未満株) |
無料 | 無料 (※1) |
購入時無料 売却時実質無料 |
無料 | 無料 |
取引手数料 (米国株) |
無料 | 無料 | 実質無料 | 無料 | 無料 |
つみたて投資枠 | 224銘柄 | 222銘柄 | 219銘柄 | 220銘柄 | 224銘柄 |
成長投資枠 (投資信託) |
1,188銘柄 | 1,140銘柄 | 1,124銘柄 | 1,034銘柄 | 1,094銘柄 |
単元未満株 | 3,900銘柄 以上 |
1,575銘柄 (※2) |
3,900銘柄 以上 |
3,900銘柄 以上 |
売却のみ |
米国株 | 5,176銘柄 | 5,072銘柄 | 4,972銘柄 | 1,888銘柄 | 3,836銘柄 |
SBI証券
【SBI証券の新NISAの概要】
取引手数料 | 無料 |
---|---|
クレカ積立 (ポイント還元率) |
三井住友カード (0.5~5.0%) |
ポイント投資 (対応ポイント) |
Tポイント Vポイント Pontaポイント |
ポイント投資 対象商品 |
投資信託 単元未満株 日本株 |
つみたて投資枠 | 224銘柄 |
成長投資枠 (投資信託) |
1,188銘柄 |
単元未満株 | 3,900銘柄以上 |
米国株 | 5,176銘柄 |
SBI証券は、新NISA以外でも単元未満株を含む日本株の手数料が無料になる証券会社です。貯まるポイントは、6種類から選択可能でTポイント、Vポイント、Pontaポイントのいずれかを選べばポイント投資もできます。ネット証券最大手で取扱銘柄も豊富なため、証券会社選びに迷った人はSBI証券を選びましょう。
\新NISA以外でも日本株の手数料が無料/
SBI証券について詳しくはこちら
SBI証券で口座開設するメリットを紹介
楽天証券
【楽天証券の新NISAの概要】
取引手数料 | 無料 |
---|---|
クレカ積立 (ポイント還元率) |
楽天カード (0.5~1.0%) |
ポイント投資 (対応ポイント) |
楽天ポイント |
ポイント投資 対象商品 |
投資信託 単元未満株 日本株 米国株 |
つみたて投資枠 | 222銘柄 |
成長投資枠 (投資信託) |
1,140銘柄 |
単元未満株 | 1,575銘柄(※2) |
米国株 | 5,072銘柄 |
楽天証券は、SBI証券と同様に新NISA以外でも日本株の手数料が無料になる証券会社です。ポイント投資の対象商品が幅広く、楽天ポイントで投資信託、単元未満株、日本株、米国株に投資できます。楽天銀行との連携で「預金金利が最大0.1%に上がる(300万円まで)」「条件達成で楽天市場のポイント還元率が最大1.0%上がる」など楽天グループのサービスを利用するメリットが大きい傾向です。
楽天グループのサービスをよく使う人は、楽天証券で少額投資を始めてみましょう。
\楽天グループのサービス利用者におすすめ/
楽天証券について詳しくはこちら
楽天証券のメリットやデメリットは?つみたてNISAにおすすめな理由や口コミ・評判も
マネックス証券
【マネックス証券の新NISAの概要】
取引手数料 | 無料または実質無料 |
---|---|
クレカ積立 (ポイント還元率) |
マネックスカード (1.1%) |
ポイント投資 (対応ポイント) |
マネックスポイント |
ポイント投資 対象商品 |
投資信託 (積み立てを除く) |
つみたて投資枠 | 219銘柄 |
成長投資枠 (投資信託) |
1,124銘柄 |
単元未満株 | 3,900銘柄以上 |
米国株 | 4,972銘柄 |
マネックス証券は、クレカ積立(クレジットカード決済できる投信積立)のポイント還元率が高い証券会社です。月5万円までならポイント還元率が1.1%、2024年9月30日まではキャンペーンで2.2%になります。クレカ積立に利用できるマネックスカードは、年1回以上利用すれば年会費が無料になるため、サブカードとしても発行しやすいでしょう。
貯まったマネックスポイントは、投資信託のポイント投資に使えるほか、dポイントやAmazonギフトカードなどに1ポイントから交換可能です。手数料や商品ラインナップ、ポイント投資の利便性はSBI証券や楽天証券に劣りますが、投資信託への積立投資をメインで考えている場合はマネックス証券を選びましょう。
\クレカ積立のポイント還元率が高い/
マネックス証券について詳しくはこちら
マネックス証券のメリットは?メリット・デメリットを知って新NISAに備えよう
auカブコム証券
【auカブコム証券の新NISAの概要】
取引手数料 | 無料 |
---|---|
クレカ積立 (ポイント還元率) |
au PAY カード (1.0%) |
ポイント投資 (対応ポイント) |
Pontaポイント |
ポイント投資 対象商品 |
投資信託 単元未満株 (積み立てを除く) |
つみたて投資枠 | 220銘柄 |
成長投資枠 (投資信託) |
1,034銘柄 |
単元未満株 | 3,900銘柄以上 |
米国株 | 1,888銘柄 |
auカブコム証券は、auのサービスを使う人に向いている証券会社です。au PAY カードのクレカ積立で1.0%のPontaポイントがもらえます。auマネ活プランに加入するとクレカ積立のポイント還元率が1.5%になり、NISA口座を開設してau PAY ゴールドカードで積み立てれば最大3.0%に上がります。
取扱銘柄数や商品ラインナップは、他の大手ネット証券に及びませんが、auグループのサービス利用者はauカブコム証券も選択肢の一つでしょう。
\auマネ活プラン加入でポイント還元率UP/
auカブコム証券について詳しくはこちら
auカブコム証券はauユーザーにメリットが多い!おすすめの理由を解説
松井証券
【松井証券の新NISAの概要】
取引手数料 | 無料 |
---|---|
クレカ積立 (ポイント還元率) |
非対応 |
ポイント投資 (対応ポイント) |
松井証券ポイント |
ポイント投資 対象商品 |
投資信託 (3銘柄) |
つみたて投資枠 | 224銘柄 |
成長投資枠 (投資信託) |
1,094銘柄 |
単元未満株 | 売却のみ |
米国株 | 3,836銘柄 |
松井証券は、大手ネット証券で唯一、銘柄選びや投資判断についての相談が電話でできる証券会社です。事前にネットで予約すれば、受付時間外でも相談できます。松井証券は、商品ラインナップやクレカ積立などのサービス面で他社に劣りますが、顧客サポートに力を入れています。日本株や米国株の銘柄選びでプロに相談したい人は、松井証券で少額投資を始めてみましょう。
\銘柄選びや投資判断の相談もできる/
松井証券について詳しくはこちら
松井証券のメリットとデメリットは?松井証券が向いている人まで解説
投資初心者はネット証券で少額から投資を始めてみよう!
投資初心者は、大手ネット証券で少額から投資を始めてみましょう。SBI証券をはじめとした大手ネット証券であれば新NISAでの投資信託、単元未満株、米国株の取引手数料が無料になるため、手数料負けを気にしないで投資ができます。なかには「少額投資は意味がない」という人もいますが、物価が上がり給料がなかなか上がらない今の日本で平均以上の生活をするには、金融投資は避けて通れません。
どの証券会社で投資を始めたらいいのか迷った場合は、まずネット証券最大手のSBI証券で始めてみましょう。
\新NISA以外でも日本株の手数料が無料/