松井証券とマネックス証券は、どちらも大手ネット証券の一角を担う存在です。新NISAでの手数料無料(または実質無料)を発表するなどコスト面では大きな差がないため、どちらがいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。2社のどちらかで選ぶなら、日本株の1株投資や投資信託はマネックス証券、新NISAやiDeCoは松井証券がおすすめです。
ただし大手ネット証券には、SBI証券と楽天証券の「2大ネット証券」があり、投資先によってはSBI証券や楽天証券を選んだほうがいい場合もあります。本稿では、松井証券とマネックス証券のどっちがいいのかを新NISAなど目的別に比較します。どのネット証券で投資を始めたらいいのかわからない人は、チェックしてみましょう。
目次
【結論】自分の投資スタイルにあった証券会社を選ぼう
詳細は記事の後半で伝えますが、結論としては自分の理想とする投資スタイルを理解し、それに合った証券会社を選ぶことがおすすめです。松井証券とマネックス証券の特徴は下記をご覧ください。- 新NISAとiDeCoを中心に運用したい人
- ネット証券がはじめてで操作に不安がある人
- 投資のコストを抑えたい人
- 25歳以下で1日に100万円を超える取引をしたい人
- クレジットカードで投信積立をしたい人
- 日本株を1株から買いたい人
- 米国株や中国株を中心に運用したい人
松井証券とマネックス証券を9項目で比較
松井証券とマネックス証券を9項目で比較すると、クレカ積立(クレジットカード決済でできる投信積立)をはじめとしたポイントサービスを利用したい人や日本株を1株から買いたい人はマネックス証券がおすすめです。一方で、新NISAやiDeCo、米国株は松井証券のほうがおすすめです。
【松井証券とマネックス証券の比較(一覧表)】
松井証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|
①新NISA | 取引手数料無料 (日米株/投資信託) | 無料または実質無料 (日米株/投資信託) |
②iDeCo | 40銘柄 | 28銘柄 |
③IPO(※) | 67社 | 56社 |
④米国株 | 4,164銘柄 | 4,482銘柄 |
⑤日本株・単元未満株 | 単元未満株購入不可 (売却のみ) | どちらも対応 |
⑥クレカ積立 | 非対応 | 1.0~1.1% (ポイント還元率) |
⑦ポイントの貯まりやすさ | △ | ◯ |
⑧ポイント投資 | 投資信託 (3銘柄) | 投資信託 (積立不可) |
⑨顧客サポート | ◎ | ◯ |
①新NISA:松井証券
新NISAは、日本株や米国株の手数料が無料になる松井証券がおすすめです。
【新NISAの比較】
松井証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|
米国株 | 手数料無料 | 実質無料(※) |
日本株 | 手数料無料 | 手数料無料 |
単元未満株 | 手数料無料 (売却のみ) | 手数料無料 (売却時実質無料※) |
取扱銘柄数 (つみたて投資枠) | 230銘柄 | 228銘柄 |
マネックス証券は、新NISAでの手数料無料を謳っていますが、米国株の売買や単元未満株の売却はキャッシュバック形式による実質無料となっています。なお、米国株を売買する際にキャッシュバックされる通貨は米ドルです。実質無料の場合、いったんは手数料を払うため、手数料分の資金がキャッシュバックされるまで拘束されます。
これらを踏まえると、キャッシュバックではなく手数料が無料になる松井証券を選んだほうがよいでしょう。
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新NISA(NISA恒久化)について詳しくはこちら
【関連記事】NISAの恒久化とは?現制度との比較やNISA開始のメリットを解説
②iDeCo:松井証券
iDeCoは、業界最低水準の運用コストを目指すeMAXIS Slimシリーズの全銘柄を取り扱っている松井証券がおすすめです。
【iDeCoの比較】
松井証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|
取扱銘柄数 | 40銘柄 | 28銘柄 |
eMAXIS Slimシリーズ | 13銘柄 | 6銘柄 |
松井証券のiDeCoは、ネット証券最大手のSBI証券と比べても取扱銘柄数が多い傾向です。eMAXIS Slimシリーズの取り扱いもSBI証券は8銘柄しかないため、松井証券のほうが充実しています。できる限りコストの低い銘柄に投資したい人は、松井証券のiDeCoを選びましょう。
\低コスト銘柄の取扱が豊富/
③IPO:松井証券
IPO(新規公開株)に投資するつもりなら、マネックス証券よりも実績数が多い松井証券がおすすめです。松井証券のIPOは、事前入金不要で申し込めるメリットもあります。
【IPOの比較】
松井証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|
実績数 | 67社 | 56社 |
事前入金 (申込時) | 不要 | 必要 |
ただしIPOは、ネット証券に限ればSBI証券が業界最多の実績数を誇り、銘柄によりますが引き受け株数も多い傾向があります。IPOは、個人投資家から人気があるため、申し込んでも抽選に当たらなければ買えません。
IPOへの投資を始めたい場合、1社目はできる限りSBI証券を選ぶのが無難です。複数の口座から同じ銘柄に申し込むことで当選確率は多少上がるので、2社目で松井証券を選んでもいいでしょう。
\IPOの実績数が業界最多/
\事前入金不要/
SBI証券についてさらに詳しくはこちら
【関連記事】SBI証券で口座開設するメリットを紹介
④米国株:松井証券
米国株は、新NISAなら取引手数料、為替手数料の両方とも無料になる松井証券がおすすめです。
【米国株の比較】
松井証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|
取引手数料 (新NISA) | 無料 | 実質無料(※) |
取引手数料 (新NISA以外) | 0.495% (上限22米ドル) | 0.495% (上限22米ドル) |
為替手数料 | 無料 | 購入時無料 売却時25銭 |
取扱銘柄数 | 4,164銘柄 | 4,482銘柄 |
マネックス証券は、米国株売却後に日本円に両替する場合、為替手数料が1米ドルあたり25銭かかります。松井証券であれば日本円に戻す際も手数料が発生しないので、より気軽に米国株投資を始められます。
また取扱銘柄数は、松井証券のほうが少ないものの、AppleやAmazonをはじめとした米国の有名企業は扱っているので、投資初心者が気にするほどの差ではありません。米国株投資を始めたい場合は、松井証券を選びましょう。
\日本円に戻す際の為替手数料も無料/
⑤日本株・単元未満株:マネックス証券
日本株や単元未満株(1~99株の日本株)に投資する場合は、どちらも買えるマネックス証券がおすすめです。松井証券は、単元未満株が買えません。
【日本株・単元未満株の比較】
松井証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|
日本株 (新NISA) | 手数料無料 | 手数料無料 |
単元未満株 (新NISA) | 手数料無料 (売却のみ) | 手数料無料 (売却時実質無料※) |
日本株 (新NISA以外) | 1日50万円まで無料 | 55円~ |
単元未満株 (新NISA以外) | 0.55% (売却のみ) | 0.55% (52円~)※売却のみ |
単元未満株が買えない証券会社で日本株に投資する場合は、最低でも100株分の資金が必要です。100株取引する場合、なかには100万円以上必要な銘柄もあるため、日本株を1株から買いたい場合は単元未満株に対応しているマネックス証券を選びましょう。
\日本株が1株から買える/
単元未満株(ミニ株)について詳しくはこちら
【関連記事】ミニ株購入のおすすめ銘柄と証券会社選びのポイントを徹底解説
⑥クレカ積立:マネックス証券
クレカ積立は、口座開設後に発行できるマネックスカードで投資信託を積み立てると最大1.1%のポイント還元が受けられるマネックス証券がおすすめです。
【クレカ積立の比較】
松井証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|
ポイント還元率 | 非対応 | 1.0~1.1% |
松井証券にも提携クレジットカード(MATSUI SECURITIES CARD)はありますが、クレカ積立はできません。
⑦ポイントの貯まりやすさ:マネックス証券
ポイントは、クレカ積立に対応しているマネックス証券のほうが貯まりやすいです。
【ポイントの貯まりやすさ比較】
松井証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|
投資信託保有年率 | 年率0.0175%(※) | 年率0.0175%(※) |
クレカ積立 | 非対応 | 1.0~1.1% |
対応クレカでのお買い物 (特典除く) | 0.5% | 1.0% |
松井証券は、投信保有によるポイント還元について業界最高還元率を謳っていますが、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のような人気銘柄の場合、0.1%未満の差です。クレカ積立に対応していないデメリットは覆せないため、マネックス証券を選びましょう。マネックスカードは、年1回でもクレカ積立をすれば年会費無料なので、普段クレカを使わない人でも発行しやすいでしょう。
\クレカ積立で最大1.1%ポイント還元/
⑧ポイント投資:マネックス証券
ポイント投資は、松井証券とマネックス証券の2社で比べるならマネックス証券がおすすめです。
【ポイント投資の比較】
松井証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|
使えるポイント | 松井証券ポイント | マネックスポイント |
対象商品 | 投資信託 (3銘柄) | 投資信託 (積立不可) |
必要ポイント数 | 100ポイント~ | 1ポイント~ |
新NISAでの利用 | ✕ | ◯ |
松井証券は、ポイント投資の対象商品がわずか3銘柄に限られているため、制約が大きいです。一方、マネックス証券は積み立てこそできないものの、投資信託は自由に銘柄を選べます。ただし2社ともポイント投資には、あまり力を入れていない印象があります。
楽天ポイントを使っているなら楽天証券、PontaポイントやTポイントを使っているならSBI証券でポイント投資を始めたほうがいいでしょう。楽天証券は投資信託、日本株、米国株などに対応しており、SBI証券は投資信託、日本株に対応しています。
\使いたいポイントが選択可能/
\楽天ポイントが使える/
⑨顧客サポート:松井証券
顧客サポートは、銘柄選びや取引のタイミングも相談できる松井証券がおすすめです。どのネット証券もお問い合わせ窓口を設けており、操作方法などの不明点には回答してもらえますが、「A社の株を買おうと思っているのですが、もっといい銘柄はないでしょうか?」といった質問には原則答えてくれません。
松井証券では、専門の相談員がいるため、日本株や米国株の投資相談も受け付けています。営業時間外でも予約すれば電話で相談できるので、働いている人でも利用しやすいです。日本株や米国株の投資判断に迷う人は、松井証券を選びましょう。
\銘柄選びや取引タイミングの相談もできる/
松井証券がおすすめな人
マネックス証券よりも松井証券がおすすめなのは、以下2つのどちらかにあてはまる人です。
新NISAとiDeCoを中心に運用したい人
新NISAやiDeCoを中心に運用したい人は、松井証券のほうがおすすめです。松井証券の新NISAは、日本株、米国株の手数料が無料でマネックス証券のような実質無料(キャッシュバック)の商品はありません。
iDeCoは、マネックス証券より取扱銘柄数が多く、投資家に人気のある低コスト銘柄を中心に取り扱っています。新NISAとiDeCoは、どちらもすべての金融機関のなかでそれぞれに1人1口座しか開設できない制約があり、金融機関の変更はできるものの手続きが面倒です。新NISAやiDeCoで投資を始めたい場合は、松井証券を選びましょう。
\新NISAなら日本株や米国株の手数料無料/
ネット証券がはじめてで操作に不安がある人
ネット証券がはじめてで操作に不安がある人も、松井証券のほうがおすすめです。松井証券は、丁寧な顧客サポートで定評があり、ヘルプデスク協会が主催する「2023年度問合せ窓口格付け(証券業界)」で13年連続の三つ星を獲得しています。
ネット証券利用歴1年以内のユーザーを対象とした「2023年 オリコン顧客満足度®ランキング(ネット証券 初心者部門)」でも1位を獲得しており、投資初心者に支持されていることがわかります。
実際にチャットで担当オペレーターに質問をしたこともありますが、回答が迅速かつ丁寧な印象です。ネット証券がはじめての人は、松井証券を選びましょう。
\丁寧な顧客サポートで初心者でも安心/
マネックス証券がおすすめな人
松井証券よりもマネックス証券がおすすめなのは、以下2つのどちらかにあてはまる人です。
クレジットカードで投信積立をしたい人
クレジットカードで投信積立をしたい人は、マネックス証券がおすすめです。年会費無料のカードでできるクレカ積立を比較すると、マネックス証券のポイント還元率は大手ネット証券のなかで最も高いです。
【クレカ積立のポイント還元率の比較(年会費無料のカード)】
証券会社 | ポイント還元率 |
---|---|
マネックス証券 | 1.0~1.1% |
auカブコム証券 | 1.0% |
楽天証券 | 0.5~1.0% |
SBI証券 | 0.5% |
松井証券 | 非対応 |
クレカ積立をするなら、マネックス証券を選びましょう。
\クレカ積立で最大1.1%ポイント還元/
日本株を1株から買いたい人
日本株を1株から買いたい人は、マネックス証券のほうがおすすめです。そもそも松井証券では、日本株が100株からしか買えません。マネックス証券は、単元未満株が売買できる「ワン株」サービスを利用すると手数料無料で1株から買えます。売却時は手数料が発生しますが、新NISAならキャッシュバックされ実質無料です。
日本株の少額投資をするなら、マネックス証券を選びましょう。
\1株から日本株が買える/
松井証券やマネックス証券などのネット証券についてよくある質問
松井証券やマネックス証券などのネット証券についてよくある質問を2つにまとめました。どのネット証券で投資を始めるのか迷う人は、確認してみましょう。
シェアの高いネット証券はどこ?
SBI証券と楽天証券は、2大ネット証券といわれており、それぞれに証券口座数が1,000万口座を超えています。松井証券は約155万口座、マネックス証券が約260万口座のため、口座数の差は歴然です。
※松井証券、マネックス証券は2024年4月末時点、SBI証券はグループ全体の数値
松井証券やマネックス証券以外でおすすめのネット証券は?
ネット証券最大手のSBI証券、楽天グループのサービスをよく使う人は楽天証券がおすすめです。
松井証券またはマネックス証券にこだわらず、他のネット証券とも比較して選ぼう
ネット証券業界は、SBI証券と楽天証券の規模があまりにも大きいため、「松井証券またはマネックス証券のどちらか」にこだわる必要はありません。大手ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券)だけで比較しても口座数や預かり資産(顧客が預けている資産)でSBI証券や楽天証券とは4~5倍程度の差がついています。
預かり資産の額がモノをいうビジネスである点は、野村證券のような対面証券に限った話ではなく、ネット証券でも同様です。複数社に口座開設できるとしても、新NISAやiDeCoはすべての金融機関のなかでそれぞれに1社しか選べないので、SBI証券や楽天証券も含めて比較検討しましょう。
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