主な資産運用8種類を向いている人やリスクも含めて解説

株や不動産など資産価格の上昇が続いており、資産運用に興味を持つ人が増えています。

給料が増えても物価上昇に打ち消されている今の日本でそこそこ豊かな暮らしをするには、資産運用は必要不可欠です。

株や投資信託など幅広い商品から自分に向いているものを選び、投資を始めてみましょう。この記事では、主な資産運用8種類について、向いている人やリスクも含めて解説します。

資産運用8種類の一覧

資産運用は、主に以下の8種類あります。

【主な資産運用8種類の一覧表】

資産運用といえば株式や投資信託を思い浮かべる人が多いものの、銀行に預けている円預金も資産運用の一つです。大小はありますが、どの資産運用でもリスクはあるため、それぞれのリスクや向いている人を理解してから自分に合うものを選びましょう。

主な資産運用8種類

ここでは、資産運用を種類別に概要やリスク、向いている人を詳しく解説します。

株式投資

株式投資とは、日本株や米国株など個別企業の株に投資する資産運用です。テンバガー(10倍株)など値上がりによる売却益目的での投資だけでなく、配当や株主優待目当てで投資する人も増えています。

売却益目的の株式投資で成功した場合のリターンは大きく、相場が良ければ三菱商事<8058>など有名企業の株でも比較的短期間で株価が2倍以上になることがあります

【三菱商事<8058>の直近2年間の値動き】

三菱商事の直近2年間の値動き
画像引用:SBI証券

一方、1年足らずで株価が3分の1程度に下落したレーザーテック<6920>のような銘柄もあるため、株式投資はハイリスク・ハイリターンの資産運用です。

【レーザーテック<6920>の直近1年間の値動き】

レーザーテックの直近1年間の値動き
画像引用:SBI証券

決して多くはありませんが、企業の不祥事や倒産により株価が暴落し、最悪の場合は価値がほぼゼロになってしまうこともあります。銘柄によって値動きや採るべき投資戦略も異なるため、株式投資で利益を得るには柔軟かつ迅速な判断力が求められます。

・株式投資が向いている人

株式投資が向いているのは、以下のような人です。

株式投資が向いている人
  • 投資先の決算情報などを自分で確認できる人
  • 売買の判断をすべて自分でできる人
  • 利益を逃したときにムキにならない人

日経平均株価は、2024年7月につけた最高値をいまだに更新できていません。今後の日銀の金融政策や政治の不安定感を考慮すると、右肩上がりの相場は終わったと見ることもできます。

米国を代表する約500社の株式で構成された株価指数「S&P500」も2024年12月以降足踏みしており、これまでのような上昇相場が続くのかは不透明です(2025年1月22日現在)。

筆者としては「雑な銘柄選びで勝てる相場」は終わったと考えています。これから株式投資を始める場合は、個別企業の入念な情報収集は不可欠でしょう。

各企業のIR(株主や投資家向けの情報)を確認して、自分で投資判断ができなければ、大きな損失を被る可能性もあります。情報収集をおろそかにするのであれば、株式投資だけはやってはいけません。

どうしても株式投資をやりたい人は、まずは最低限の勉強をしましょう。詳しくは「【株初心者向け】株式投資のはじめ方やおすすめ銘柄、勉強法まで完全解説」をご覧ください。

資産運用にそこまで時間をかけたくない場合は、投資信託から始めるのが無難です。

投資信託

投資信託とは、プロにおまかせする資産運用です。多数の投資家から資金を集めて複数の銘柄に運用しているため、少額から分散投資ができます。SBI証券や楽天証券をはじめとした大手ネット証券では、投資信託の最低投資金額を100円にしています。

長期投資に適した低コスト銘柄はNISAのつみたて投資枠にも対応しており、積立投資がしやすい商品です。投資信託は、投資先に応じてリスクの大小が異なります。リスクの大小でおおまかに分けた場合、以下の3つに分類できます。

投資先によるおおまかなリスクの大小
  • オルカンなど株式に100%投資する銘柄:リスク大
  • 債券や不動産などにも投資するバランスファンド:リスク中
  • 債券重視型または債券にしか投資しないファンド:リスク小

株式投資と比べてあまり儲からないイメージがありますが、株式に100%投資する投資信託に5年間投資して2倍以上になった実績もあります。

【eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の直近5年間の値動き】

・投資信託が向いている人

投資信託が向いているのは、以下のような人です。

投資信託が向いている人
  • 自分で具体的な投資先の判断ができない人
  • 投資にそこまで時間をかけたくない人
  • オルカンなど株式に100%投資する銘柄のリスクが高いことを理解できる人

投資信託は、具体的な投資先や投資方針をすべてプロにおまかせする投資です。長期保有できる銘柄であれば、値動きを逐一確認する必要もありません。

そのため仕事で忙しい人でも、簡単に始められるでしょう。ただし「投資に時間をかけたくない」「値動きを頻繁に確認するのが面倒」という人は、インデックスファンドへの投資(インデックス投資)が無難です。

インデックスファンドとは、日経平均株価などの指数に連動した運用を目指す投資信託です。インデックスファンドであれば、目論見書(説明書)にあるファンドの目的で「〇〇の値動きに連動する投資成果を目指します」などの記載があります。

指数を上回る運用を目指すアクティブファンドと比べて運用コスト(信託報酬など)も低い傾向があるので、長期投資におすすめです。

インデックス投資について詳しくはこちら
インデックス投資とは?投資信託との違いやメリット・デメリットを解説

債券投資

債券投資とは、国債や社債をはじめとした債券に投資する資産運用です。債券は、国や企業などの発行体がお金を借りる際に発行するものであり、発行体の経営が傾かない限り利息が受け取れます

発行体の倒産などがなければ満期時に元本は返還されるので、リスクの小さい資産運用の一つです。債券を直接買う場合は、100万円単位の資金が必要な場合がありますが、債券に投資するETF(上場投資信託)なら少額から買えます。

・債券投資が向いている人

債券投資が向いているのは、以下のような人です。

債券投資が向いている人
  • できる限りリスクを抑えたい人
  • リターンが低い点が気にならない人

個人向け国債や日本の企業が発行する社債であれば、利率は極めて低いもののリスクは小さい傾向があります。株式投資や投資信託などのリスクが取れない人は、債券投資が向いているでしょう。

金投資

金投資とは、その名のとおり金へ投資することです。主に実物資産への投資と金ETFへの投資に分かれます。希少価値があり換金性が高いかわりに、配当や利息などは得られません。

金で資産を増やしたい場合は、値上がり益がどこまで見込めるかがカギです。ちなみに国内の証券取引所で買える金ETFは、直近5年間で2倍以上になっており、史上最高値圏にあります。

【純金上場信託<1540>の直近5年間の値動き】

純金上場信託の直近5年間の値動き
画像引用:SBI証券

将来の値動きは、誰にもわかりませんが今が買い時なのかは疑問の余地があるでしょう。

・金投資が向いている人

金投資は、実物資産に投資したい人に向いています。ただし今の金価格はかなり高く、実物資産だからといってリスクが小さいとはいえません。どうしても金を保有したい人以外は、選択肢に入らないでしょう。

FX

FXとは、外国為替証拠金取引のことで「米ドル対円」「米ドル対ユーロ」などさまざまな通貨の組み合わせ(ペア)から選んで売買する投資です。株の信用取引と比べてレバレッジの上限が25倍(国内業者の場合)と高く、少額から大きな取引ができます

一方でレバレッジが高い分リスクも高く、短期間で口座に預けている証拠金のほぼすべてを失うこともある投資方法です。FX業者は、ロスカットを採用していますが値動きがあまりにも激しいときはロスカットが遅れ、証拠金がマイナスになることもあります。

株式以上にハイリスク・ハイリターンの投資になることを肝に銘じておきましょう。

・FXが向いている人

FXが向いているのは、以下のような人です。

FXが向いている人
  • 短期間で大きな利益を狙いたい人
  • 自分の好きな時間で取引したい人
  • レバレッジやロスカットの仕組みを理解できる人

一般的には、ハイリスクといわれているFXも、レバレッジを1倍にすればリスクを抑えられます。自分が取れるリスクを理解し、許容できるリスクに応じてレバレッジを調整できる人であれば、FXは有効な資産運用の一つになるでしょう。

平日の日中だけでなく仕事終わりの夜間~深夜も取引できるので、好きな時間に取引したい人にもおすすめです。

不動産投資

不動産投資とは、その名のとおりマンションや戸建てなどの不動産に投資することです。不動産価格の上昇に伴う売却益が期待できるだけでなく、誰かに貸して賃料収入を得ることもできます。

少額から投資できるREIT(不動産投資信託)もありますが、物件を直接購入する場合は数百万円程度では買えません。築古の戸建てなら少額でも現金一括で買える可能性はありますが、原型をとどめないレベルのリノベーションが必要です。

そのためリノベーションに対する知識がない人や時間をかけられない人には向きません。また築浅のマンションなどに投資する場合、数千万円~1億円以上のローンを組まなければ買うことすらできないため、金額的にかなり敷居の高い投資です。

・不動産投資が向いている人

不動産投資が向いているのは、以下のような人です。

不動産投資が向いている人
  • 資産に余裕がある人
  • 不動産投資を「事業」と捉えられる人
  • リノベーションに対する知識がある人(築古物件を買う場合)

本来不動産投資は、投資ではなく不動産売買業や不動産貸付業という事業に該当します。個人が持てる範囲の不動産では、税制上事業とみなされないことが多い傾向です。しかし不動産投資をする人は「専門家」という前提のもと法整備がなされています。

不動産を管轄するのは国土交通省であり、株式投資や投資信託を販売する金融機関を厳しく監督している金融庁と比べて規制が緩いです。実際に筆者は、複数の不動産業者から何度も倫理的に問題のある勧誘を受けています。

倫理的に問題のある勧誘の一例
  • 不動産投資は節税になる
  • 不動産価格は下がらない
  • 家賃は落ちない
  • サブリースなら安心

このような文言がおかしいと即座に判断できない人は、不動産投資に手を出さないことをおすすめします。

外貨預金

外貨預金は、銀行で米ドルなどの外貨と交換して預ける投資です。通貨によって金利が異なり、金利が高い国の通貨であれば得られる利息も多くなります。

ただし円預金とは異なり為替変動リスクがあり、タイミングを間違えば大きな損失を被ることもあります。特に南アフリカランドやトルコリラなどの新興国通貨は、金利が高いものの為替差損が利息をはるかに超える可能性があることを覚えておきましょう。

【トルコリラ/円の直近5年間の値動き】

トルコリラ/円の直近5年間の値動き
画像引用:SBI証券

・外貨預金が向いている人

外貨預金が向いている人は、外貨を持ちたい人に限られます。FXと比べて取引時のコストが高い傾向があり、純粋な資産運用としてはあまり効率のいい手法ではないでしょう。

FXでレバレッジを1倍にして、外貨/円のペアで外貨を買えば外貨預金と似たような投資成果が得られます。客観的に見ても為替差益を得る目的しかない場合、外貨預金を選ぶメリットは薄いです。

円預金

銀行などに預ける円預金も資産運用の一つです。銀行は、顧客から預かった預金を企業などに貸し付けて運用しています。

リスクは極めて低く、万が一銀行が破たんした場合でも1人1,000万円までの元本と破たん日までの利息が保護されます。一方、円預金の金利は極めて低く超ローリスク・超ローリターンの運用方法です。

・円預金が向いている人

円預金は、投資で損をしたくない人に向いています。ただし円預金の利息が物価上昇率を超えない限り、「インフレにより実質的には損をしている」という事実を認識しておくべきです。

実際に消費者物価指数は、年率2%を超える上昇が続いており預金利息では到底カバーできません。損したくないからといって円預金以外の資産運用をしない人は、インフレが続く限り確定的な損失を受け入れているといえます。

インフレによる確定的な損失を受け入れたくないのであれば、株や投資信託など何らかの資産運用を始めるべきでしょう。

資産運用を始めるうえで活用したい制度

資産運用を始めるうえで活用したい制度は、以下の2つです。

NISA

NISA(少額投資非課税制度)では、株や投資信託などに投資ができ、得られた利益や配当に対する20.315%(復興特別所得税)の税金が非課税になります。2024年1月からは、制度内容が一新され、生涯非課税で保有できるようになりました。

【NISAの概要】

NISAの概要
※上場廃止のおそれがある日本株、レバナスなど金融庁が長期投資に向かないと判断した投資信託は除外
画像引用:金融庁

大手ネット証券のNISAであれば日本株や米国株、投資信託の取引手数料が無料になるので、大手ネット証券で口座を開設するのがおすすめです。

おすすめのネット証券について詳しくはこちら
新NISAにおすすめのネット証券5選!特徴や注意点と口コミ・評判を紹介

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国民年金や厚生年金とは別に給付を受けられる私的年金制度の一つです。年間6万円(月5,000円)以上の掛金を拠出し、自分で商品を選んで運用します。

iDeCoは、NISAと同様に運用益が非課税になるだけでなく、年間の掛金は全額所得控除の対象になり、所得税や住民税が軽減されます。ただしiDeCoは、税制面でNISAより優遇されている分、デメリットも大きいので、制度の内容を理解したうえで始めましょう。

NISAと比べた場合のiDeCoのデメリット
  • 口座開設手数料や管理料がかかる
  • 原則60歳まで出金不可
  • 受取時も控除はあるが退職金が多い人は課税される可能性大
  • 投資できる商品は投資信託または元本確保型に限られる

iDeCoのデメリットについて詳しくはこちら
iDeCoは本当にやらないほうがいい?職業別のデメリットを解説

リスクを許容できるのであれば円預金以外の資産運用も始めてみよう

物価上昇が家計を直撃している状況が続く限り、リスクを許容できるのであれば円預金以外の資産運用も始めたほうがいいでしょう。昇給しても物価上昇を考慮した実質賃金はほとんど上がらず、円預金の金利を上回るペースでインフレが進んでいます。

私たち現役世代が親世代と同程度の生活をするためには、資産運用から逃れられないでしょう。NISAやiDeCoなど国の制度による後押しもあるので、無理のない金額から株や投資信託への投資を始めてみましょう。

どの金融機関で始めたらいいのか決められない人は、ネット証券最大手でNISAなら日本株、米国株、投資信託の取引手数料がかからないSBI証券がおすすめです。

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