元本割れとは、金融商品の価格が変動して元の投資額を下回ること(損失ともいう)を意味します。この記事では、NISAのつみたて成長枠を利用して運用した場合、元本割れする確率はどのくらいなのかについて解説します。
「積立投資を始めたいが損失が怖くて踏み出せない」「元本割れしないための注意点が知りたい」という人は、ぜひ参考にしてください。
結論からいえば、つみたて投資枠で運用する場合は10年以上継続することで元本割れの確率がほぼ0%になることが期待できます。反対にいうならば、半年や1年という短いスパンで積み立てをやめてしまうと元本割れのリスクが高まるため、注意しましょう。
新NISAのつみたて投資枠で元本割れする確率は運用年数によって異なる!
つみたて投資枠で投資信託の積立投資をする場合、10年以上運用を続けることで元本割れの確率をほぼ0%にすることが期待できます。保有年数が1年程度の場合、元本割れの確率は27%ほどあり、約30%の確率で損失を抱える計算です。
一方、運用年数が10年になると統計上は元本割れの確率が0%になるので覚えておいてください。長い間、継続して積立投資を行うことで元本割れのリスクを抑えることが可能です。このように積立投資では、運用年数によって元本割れする確率が異なるため、運用を始める前にどのくらいの期間保有するのかを確認しておきましょう。
運用年数1年では27%の確率で元本割れ
運用年数が1年の場合、元本割れの確率は27%ほどと高くなっています。つみたて投資を始めて最初の1年は、元本割れを経験すると思っていたほうがいいかもしれません。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が発表しているデータを見てみましょう。
「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」の4資産に25%ずつ分散投資をして1年間運用した結果、元本を割った回数は22回中6回となり、確率でいうと約27%という結果になりました。株式と債券に投資先を分散させていても、短い期間で見ると元本を割ってしまう可能性が高くなることがわかります。
運用年数10年なら元本割れは0%
一方で10年間運用した場合、元本割れの確率はほぼ0%という結果になっています。
10年間運用した場合、元本を割った回数は13回中0回となり、確率は0%でした。グラフを見比べるとわかるように1年間という短い期間を比較すると損になる年もあれば利益が出る年もあります。それを5年、10年と続けていくうちに運用成績が良かった年と悪かった年の成績が平均化され、全体で見ると収益が積みあがっていることがうかがえます。
積立投資を始める場合は、10年以上積み立てを継続すれば過去のシミュレーションから見て元本を割る確率はほぼ0%に近づけるといえるでしょう。反対に半年や1年といった短い期間では、元本を割る可能性が高くなるということです。短期的な相場の動きで評価益がマイナスになっても、焦らずにコツコツと積み立て続けることを忘れないでください。
つみたて投資枠で元本割れと利益率をシミュレーション
つみたて投資枠の元本割れと利益率のシミュレーションを見ていきます。毎月3万円で「eMAXIS Slim米国株式S&P500」に積立投資を行った場合、運用期間で元本割れと利益率がどのくらい変わるのかシミュレーションしてみました。
【元本割れと利益率のシミュレーション】
毎月3万円でeMAXIS Slim米国株式S&P500に 積立投資を行った場合のシミュレーション |
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年数 | 投資元本 | 運用成績が上位5%の場合 | 運用成績が下位5%の場合 |
1年 | 36万円 | 46万995円 | 32万5,534円 |
5年 | 180万円 | 427万3,461円 | 172万3,248円 |
10年 | 360万円 | 1,724万1,145円 | 436万886円 |
15年 | 540万円 | 5,161万763円 | 858万834円 |
20年 | 720万円 | 1億4,246万5,270円 | 1,605万6,596円 |
シミュレーションを見ると1~5年の場合、相場の動きによっては元本を割ってしまうことがあることがわかります。一方で10年以上保有すると、運用成績が悪かったケースでも元本を割らずに利益を保っています。やはり積立投資を行う場合は、10年以上保有することで元本割れの確率を0%に近づけることが期待できるようです。
ここで例に挙げた「eMAXIS Slim米国株式S&P500」は、2018年7月3日から運用が始まっていますが、当時の基準価額は1万円でした。2024年9月4日時点の基準価額は、2万8,995円なので約6年間で約2.9倍になっています。これまでの運用成績は、将来を保証するものではありませんが、長期間投資を継続することで大きな利益を生む可能性があることが理解できるのではないでしょうか。
つみたて投資枠で元本割れしないための3つのポイント
つみたて投資枠で元本割れしないためのポイントを3つ解説します。
これらのポイントを実践すれば、つみたて投資枠での運用において元本割れリスクを抑えることが期待できます。
また投資信託の買い時などをこちらの記事で詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。
投資信託の買い時や始め時はいつがベストなのか?
最低でも10年は保有する
つみたて投資枠を活用して投資を始めるのであれば、最低10年は積立投資を継続してください。積立投資は、1年や5年といった短期間で見ると相場の動きによっては元本割れするリスクがあります。特に最初の1年は、約27%の確率で元本割れするという統計もあるため、過剰な不安感にさいなまれないようにしましょう。
NYダウの10年間のチャートを見ても短期的な下落(相場の調整という言い方もします)を挟みながらゆっくりと成長を続けていることがわかります。
10年間保有するなかでは、ライフイベントによって毎月の積み立てが難しくなることもあるかもしれません。つみたて投資枠は、積立額の増減がいつでも可能です。金融機関によって異なりますが、100円から設定できる証券会社もあるため、資金繰りが厳しい月は減額するなどしても良いでしょう。
相場下落時も積み立てを継続する
一度積み立てを始めたのであれば、相場の下落時でも継続するように心がけてください。株式市場は、短期的な上下を繰り返して変動しています。“ずっと上がりっぱなし”というわけにはいきませんし、反対に“ずっと下がり続ける”ということもありません。最低でも10年積み立てを続ける間には、必ず相場が大きく下落することがあるはずです。
このような場合、一時的に資産評価額はマイナスとなるかもしれません。しかし実際に売却して損失を確定しなければ、あくまでも含み損なので実際の損にはなりません。資産評価額が一時的にマイナスになっても不安になったり焦って売ったりせずに落ち着いて積立投資を続けましょう。
相場が下がったときに大切なのは「なぜ下がったのか」という理由です。相場変動の原因をきちんと調べて、各証券会社が出している相場見通しのレポートを読んでみると安心して積み立てが継続できるでしょう。
分散投資でリスクを抑える
元本割れのリスクを抑えるためには、分散投資も大切です。主な分散投資の種類は、以下の3つがあります。
【分散投資の種類】
投資対象の 分散 |
株式、債券、REIT(不動産投資)など投資対象の分散 |
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投資地域の 分散 |
日本、米国、新興国など、投資地域の分散 |
時間的分散 | 投資するタイミングを分散 |
3つのうち時間的分散は、積立投資のことです。一定額タイミングをずらして購入することで買付価格が平均化され元本割れのリスクの低減が期待できます。投資対象や投資地域の分散は、自分のリスク許容度に合ったものを選ぶようにしましょう。投資の世界には、リスクとリターンがあり、一般的にリスクが高ければリターンも大きくリスクが低ければリターンも小さくなります。
株式投資を行う場合でも「米国株へ投資をしたい人」「為替変動リスクを取らず日本株へ投資したい人」などさまざまです。悩んだ場合は、世界中の株式へ分散投資している投資信託や「株式・債券・リート」など資産配分を行っているバランス型投信を選ぶと良いでしょう。
元本割れしたときはどうしたらいい?対処法を解説
もし投資を始めて元本が割れた場合にどうしたらいいのかについて、2つの対処法を解説します。
冒頭から説明しているように積立投資は、10年以上続けることで元本が割れる確率を0%に近づけることが期待できます。そのため元本が割れても積み立てを継続することがおすすめです。しかしどうしても不安で投資信託の保有が難しい場合は、現金化も選択肢に入ります。
積立投資の場合は投資継続
積立投資を始めたあとは、最低でも10年は継続しましょう。一時的に相場が下落して元本割れしても焦らず落ち着いて積立継続することが最良の方法です。積立投資を始めるときに「〇年後までは運用する」「〇歳までは持つ」と具体的な期間を決めて目標設定しておくと良いでしょう。同じ投資信託を長期間、一定額を継続して買付をすると相場が下落して価格が下がったときにはたくさん買付できます。
反対に相場が上昇して価格が上がると少ししか買付できません。これを繰り返すことで買付価格が平均化され価格変動による影響を緩やかにすることが期待できます。世界経済は、短期的な上下を繰り返しながら少しずつ成長している傾向です。相場が上がって含み益になることもあれば、調整が入って含み損になることもあるでしょう。
しかし長い期間かけて積み立てを継続することで、将来の大きな資産形成につながります。短期的な下落に惑わされることなく一時的に元本割れしても積み立ての継続が大切なことを忘れないでください。
どうしても不安な場合は現金化
最低でも10年は続けたい積立投資ですが、どうしても不安な場合は現金化もできます。とはいえこれは、実際に損失を確定して売却することになるため、おすすめはできません。投資の世界では、元本割れしているものを売って現金化する行為を「損切り」と呼びます。一般的に損切りは、短期的な売買で利益を狙っている人が重要視する行為です。
短期売買は、資金効率を良くしなければ利益を狙えません。そのため次の株を買うために損が出ている株を売って資金を作る“損切り”は大切な行動となります。しかし最低でも10年は保有することを前提としている長期積立投資の場合は、この限りではありません。
長期積立投資は、短期的な資金効率よりも時間を味方につけて長期的なリターンを得ることが目的ですから、どうしても資金が必要な場合以外は積み立てを継続したほうが良いでしょう。元本が割れて不安な場合は、「なぜ値下がりしたのか」を調べることをおすすめします。
つみたて投資が向いている人・向いていない人を確認
つみたて投資枠の利用が向いている人と向いていない人を解説します。
【積立投資が向いている人と向いていない人の特徴】
積立投資が 向いている人 |
積立投資が 向いていない人 |
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1. 最低でも10年は積み立てを継続できる人 2. 少額でコツコツと資産運用をしたい人 3. すぐに結果を求めない人 4. 日中忙しく市場の動きを見ていられない人 5. 金融商品の値動きが気にならない人 6. 相場が値下がりしても「なぜ」を理解できる人 |
1. 半年や1年など短期間で利益を得たい人 2. 一度に大きな資金を投入して大きなリターンが欲しい人 3. 自分のタイミングで売買したい人 4. 市場の動きがどうしても気になって不安になってしまう人 5. 相場が値下がりした場合、理由よりも損失額が気になってしまう人 |
積立投資が向いている人は、長期的な視点で運用できる人、少額で資産運用を始めたい人、すぐに結果を求めない人などが当てはまります。積立投資は、10年以上続けることで元本割れする確率を0%に近づけることが期待できるため、若い世代の人が始めるのもおすすめです。例えば25歳から始めた場合であれば「35歳までは積み立てを続ける」など具体的に年齢や期限を決めておくと良いでしょう。
積立投資は、日中忙しくて市場の値動きが見られない人にもおすすめです。一度設定すれば、決まったタイミングで自動的に買付してくれるので、放っておいても良いのが積立投資の特徴です。反対に半年や1年といった短い期間で大きなリターンを狙っている人は、積立投資には向いていません。こうした人は、つみたて投資枠ではなく成長投資枠を活用して自分のタイミングでの売買をおすすめします。
元本割れしないための銘柄の選び方
元本割れしないための銘柄の選び方を解説します。銘柄選びに大切なのは、以下の3点です。
これからも成長が期待できる銘柄を選ぶためにも、ポイントを押さえておきましょう。またこちらの記事でNISAでのポートフォリオの組み方を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
「NISAでのポートフォリオの組み方のポイントとは?おすすめのポートフォリオ例も紹介」
リスク許容度
自分のリスク許容度に合っているものを選びましょう。基本的にリスクとリターンは比例関係になり、リスクの高いものはリターンも大きく(ハイリスク・ハイリターン)、リスクの低いものはリターンも小さく(ローリスク・ローリターン)なります。
ここで大切なのが「個人によってリスクと感じるものには差がある」という点です。例えば海外株式は、一般的にリスクの高い金融商品ですが「米国株式はこれからも成長が続いていくだろう」と考えている人であれば投資へのリスクをそれほど感じないでしょう。
一方「これから世界経済は景気が悪くなって不景気が続くはず」と考えている人にとっては、海外株式も国内株式もリスクが高いように感じ、10年間保有し続けるには不安かもしれません。自分のリスク許容度がわからない場合は、投資先を分散している「バランス型の投資信託」や「世界中の市場へ分散投資している投資信託」を選ぶと良いでしょう。
コスト
信託報酬の低い投資信託を選ぶようにしましょう。信託報酬とは、投資信託を運用するための運営手数料のことです。運用しているファンドマネージャーへの報酬や運用レポートを発行するための事務手数料などをイメージするとわかりやすいでしょう。信託報酬は、預かっているすべての資産から決まった割合が引かれます。
そのため個人資産から引かれたり手数料として別途取られたりするわけではない点は押さえておきましょう。投資信託の運用にかかる信託報酬は、銘柄によって異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
一般的にインデックスファンドは、アクティブファンドに比べて信託報酬が低く設定されている傾向です。インデックスファンドとは「日経平均」や「ナスダック」など、決められた指数と連動するように運用されている投資信託のことです。
例えば日経平均をインデックスとする投資信託は、日経平均を構成する225銘柄へ投資を行います。投資先の銘柄や比率が、あらかじめ決まっているため、銘柄を選定したり株価を予測して運用成績が良くなるように売買したりする必要はありません。
反対にアクティブファンドは、指数よりも良い成績になるように運用されている投資信託です。今後成長が期待できる銘柄を選定したり、より多くの利益が得られるように株価の値動きを見たりしながら売買を繰り返します。インデックスファンドよりも運用に手間がかかるため、手数料も高めに設定されているというわけです。
インデックスファンドとアクティブファンドは「どちらが絶対に良い・悪い」というものではありません。とはいえ同じインデックスファンドであれば信託報酬の低いファンド、アクティブファンドも同じ投資先(米国株式、日本株式など)ならば信託報酬の低いファンドを選ぶと良いでしょう。
運用実績
運用実績を見るときは、単純な数字より「何で運用して成果を上げているか」について確認するようにしましょう。運用実績は「トータルリターン」で表記されています。リスクとリターンは、比例関係にあるため、一般的にトータルリターンが高いものはリスクも高く値動きの大きい傾向です。「とにかくコストが低くトータルリターンが高いファンドが正解」というわけではありません。
つみたて投資枠に対応していて純資産が1,000億以上のメジャーな投資信託をトータルリターンとコストの面で比較してみましょう。
【SBI証券・つみたて投資枠の3年トータルリターンランキング】
順位 | 銘柄 | トータル リターン3年 |
信託報酬 |
---|---|---|---|
1 | 日経平均高配当利回りファンド | +30.30% | 0.693% |
2 | iFreeNEXT FANG+インデックス | +24.45% | 0.7755% |
3 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | +19.11% | 0.09372% |
4 | フィデリティ・米国優良株・ファンド | +19.10% | 1.639% |
5 | SBI・V・S&P500インデックスファンド | +19.03% | 0.0938% |
「iFreeNEXT FANG+インデックス」は、信託報酬が他のインデックスファンドより高めの設定ですが、トータルリターンでは最もいい成績を収めています。「FANG+」はFacebook、Amazon、Netflix、Googleの4社に代表される次世代テクノロジー企業10銘柄で構成される指数です。
運用実績を見るときは数字だけでなく「何に投資をしているのか」をしっかりと確認しておきましょう。
元本割れしないためのつみたて投資枠おすすめ銘柄
つみたて投資枠で元本割れしないために10年以上安心して保有できる銘柄を紹介します。
どのような人におすすめかも解説するので、銘柄選びの参考にしてください。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
【eMAXIS Slim全世界株式の基本情報】
基準価額 | 2万3,856円 |
---|---|
純資産額 | 約3兆8,745億9,700万円 |
ベンチマーク | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス |
投資対象 | 先進国および新興国に上場する2,900以上の銘柄 |
組入上位国 | 1. アメリカ 2. 日本 3. イギリス 4. カナダ 5. フランス |
組入上位銘柄 | 1. アップル 2. エヌビディア 3. マイクロソフト 4. アマゾン・ドット・コム 5. アルファベットA |
コスト | 信託報酬:0.05775%以内 |
トータル リターン1年 |
+21.16% |
トータル リターン3年 |
+15.78% |
トータル リターン5年 |
+19.22% |
こんな人に おすすめ |
・株式型の投資信託で資産運用をしたい人 ・なるべく多くの国や企業に分散投資したい人 ・つみたて投資枠で何を買うべきか悩んでいる人 |
「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、先進国および新興国の株式市場に投資を行っています。構成銘柄は2,900を超えており、これ1本で株式の分散投資がかないます。つみたて投資枠で何を買うべきか悩んでいる人のなかでも「株式型の投資信託を検討中」「なるべく多くの国と銘柄へ分散投資したい」という人におすすめの銘柄です。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
【eMAXIS Slim米国株式S&P500の基本情報】
基準価額 | 2万8,435円 |
---|---|
純資産額 | 約4兆9,089億9,200万円 |
ベンチマーク | S&P500指数 |
投資対象 | 米国に上場する株式のなかで時価総額の大きい500銘柄 |
組入上位銘柄 | 1. アップル 2. マイクロソフト 3. エヌビディア 4. アマゾン・ドット・コム 5. アルファベットA |
コスト | 信託報酬:0.09372% |
トータル リターン1年 |
+24.15% |
トータル リターン3年 |
+19.11% |
トータル リターン5年 |
+22.66% |
こんな人に おすすめ |
・米国株式に投資をしたい人 ・米国株式のなかでも時価総額が大きい有名企業へ投資をしたい人 |
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が連動するS&P500指数は、米国株式の代表的な指数です。他に有名な指数としては、「NYダウ」や「NASDAQ」があります。以下で3つの指数の違いを簡単にまとめたので、参考にしてください。
【S&P500・NYダウ・NASDAQの違い】
S&P500 | NYダウ | NASDAQ | |
---|---|---|---|
ポイント | 米国を代表する大企業で構成。米国株式の時価総額の80%以上をカバー | ニューヨーク証券取引所に上場している米国の主要な30銘柄で構成 | NASDAQに上場している米国内外の株式で構成 |
投資対象 | 大型株 | 大型株 | 新興企業の成長株中心 |
構成銘柄数 | 500銘柄 | 30銘柄 | 3,341銘柄(※) |
代表銘柄 | マイクロソフト、アップル、エヌビディア、アマゾン・ドット・コムなど | ユナイテッド・ヘルスグループ、ゴールドマンサックス、シェブロンなど | アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コムなど |
※2024年5月末時点
S&P500指数は、米国株式の時価総額80%以上をカバーしています。米国株式に投資したいけれど、何を買うべきか悩んでいる人におすすめの1本です。こちらの記事でS&P500の利回りや銘柄紹介をしているので、あわせて読んでみてください。
「S&P500の利回りはどれくらい?投資するならどの銘柄がいい?」
eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)
【eMAXIS Slim国内株式TOPIXの基本情報】
基準価額 | 1万9,775円 |
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純資産額 | 約2,115億1,200万円 |
ベンチマーク | TOPIX |
投資対象 | 東京証券取引所に上場する2,135銘柄 |
組入上位銘柄 | 1. トヨタ自動車 2. ソニーグループ 3. 三菱UFJフィナンシャル・グループ 4. 日立製作所 5. キーエンス |
コスト | 信託報酬:0.143%以内 |
トータル リターン1年 |
+18.85% |
トータル リターン3年 |
+14.04% |
トータル リターン5年 |
+14.99% |
こんな人に おすすめ |
・外国株式より国内株式に投資をしたい人 ・為替変動リスクを取りたくない人、10~20年後は円高になると考えている人 |
「eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)」は、東京証券取引所に上場している2,000以上の銘柄に分散投資しています。もっと銘柄数を絞りたい人は「eMAXIS Slim国内株式(日経平均)」が225銘柄なのでおすすめです。外国株式に投資を行うファンドは、株価変動リスクだけでなく為替変動リスクの影響を受けます。
株価が高くなっても、円高(例:1米ドル150円が1米ドル140円になる)になると資産が目減りする要因となります。こうした為替変動リスクを取りたくない人は、国内株式に投資するファンドや「為替ヘッジあり」と表記のあるものに投資をするとリスク軽減を図れるため、覚えておきましょう。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
【eMAXIS Slimバランス8資産均等型の基本情報】
基準価額 | 1万6,183円 |
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純資産額 | 約2,895億2,700万円 |
資産構成 | 1. 国内株式 2. 先進国株式 3. 新興国株式 4. 国内債券 5. 先進国債券 6. 新興国債券 7. 国内リート 8. 先進国リート |
組入上位通貨 | 1. 日本円:38.0% 2. 米ドル:25.8% 3. ユーロ:5.3% 4. 中国元:2.9% 5. インドルピー:2.7% |
コスト | 信託報酬:0.143%以内 |
トータル リターン1年 |
+9.73% |
トータル リターン3年 |
+7.08% |
トータル リターン5年 |
+8.75% |
こんな人に おすすめ |
・株だけでなく債券やリートなど資産を分散投資したい人 ・すでに米国株式や世界株式に投資を行っており、新しい投資先を探している人 |
「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」は、これまで紹介した株式型のものと異なり、株式、債券、リート(不動産投資)に分散投資を行っています。すでに米国株式や日本株式など株式に投資を行う投資信託を保有している人の分散投資先としても良いでしょう。投資先が株式だけでは不安がある人、さまざまな資産へ分散投資したい人におすすめの1本です。
つみたて投資枠で元本割れする確率に関するQ&A
つみたて投資枠での資産運用で元本割れする確率に関するQ&Aを集めました。
元本割れすることは借金になりますか?
元本割れしても借金にはならないので、安心してください。元本割れとは、投資した元本を割り込んでしまうことをいいます。例えば10万円で買った投資信託が8万円になった状態が「元本割れ」です。なお証券会社の資産評価で元本割れとなっていても、実際に売却して現金化するまで損失は確定しません。
積立投資を始めて最初の1年は27%ほどの確率で元本割れするという統計もあるため、元本割れしても焦らずにコツコツと積み立てを続けてください。統計によると10年以上保有して積み立てを継続した場合は、元本割れの確率が0%となっています。もちろん投資に絶対はありませんが、長期間続けることで元本割れのリスクが抑えられることは押さえておきましょう。
投資で元本割れしないコツは?
元本割れしないためのコツは「10年以上保有し投資を継続すること」です。統計上は、1年間という短い期間で見ると27%ほどの確率で元本割れリスクがありますが、10年という長い期間で見ると元本割れの確率は0%となります。長期間、継続して積み立てすることで商品が高値のときは少なく購入し、安値になったときはたくさん購入することが可能です。
これを長期間繰り返すことで買付価格が平均化されるため、価格変動のリスクを抑えることが期待できます。世界経済は短期的な下落(相場の調整ともいいます)を挟みながら、ゆっくりと上昇しています。相場が下落したときも、慌てて売却しないように気をつけてください。最低10年は投資を継続することが、元本割れしないための一番のポイントです。
元本割れしたらどうしたらいい?
元本割れしても、そのまま積み立てを継続することをおすすめします。なぜなら10年以上保有し、投資を継続することで元本割れの確率をほぼ0%にできるという統計があるからです。相場が大きく下落して不安になったり焦ったりする必要はありません。「今月は相場が下がったから多く買付できる」と思って積み立てを続けましょう。
「どうしても元本割れしている状況が耐えられない」「相場が気になり不安」という人は、売却して損失を確定させる方法もあります。
NISAの仕組みが知りたい
NISAは、2014年に始まった「少額投資非課税制度」で、その名のとおり少額での投資で得た利益には税金をかけず、利益が非課税になる制度です。2024年には、新NISAがスタートし「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の併用ができるようになりました。旧NISAでは、有限だった非課税期間が無期限になったことで内容が拡充し、より使いやすくなりました。
新NISAの仕組みを以下にまとめたので、参考にしてください。
【新NISAの仕組み】
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
非課税 保有 期間 |
無期限 | 無期限 |
口座開設期間 | 恒久化 | 恒久化 |
年間 投資枠 |
120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額 | 1,800万円 (うち成長投資枠は1,200万円まで) |
|
投資対象商品 | 長期的な積立・分散投資に適していると金融庁が認めた投資信託 | 国内外の株式やETF、投資信託など |
ポイ ント |
・毎月100円から積立投資ができる ・資産運用を始めたい人はまずこちらから ・積立投資は一度設定すれば毎月自動で積み立てされるので放っておいてOK |
・積立投資もスポット購入も可能 ・自分でタイミングを見て売買したい場合は成長投資枠がおすすめ ・年間投資枠が240万円なので短期売買の場合はすぐに枠を消化しやすいので注意 |
こちらの記事で2024年7月時点でのおすすめの証券会社を紹介しています。NISA口座開設の参考にしてください。
「証券会社ランキング【2024年7月最新】おすすめのネット証券を紹介」