松井証券と楽天証券、1社だけ選ぶならどっち?新NISAやiDeCoなど目的別に比較

松井証券と楽天証券は、大手ネット証券の一つです。どちらも新NISAで日本株と米国株の手数料を無料にしているため、迷う人も多いのではないでしょうか。

1社だけ選ぶのであれば、松井証券よりも楽天証券のほうがおすすめです。特に新NISAは、すべての金融機関のなかで1人1口座しか開設できないため、楽天証券を選んだほうがいいでしょう。

\楽天グループとの連携によるメリット豊富/

一方で、「どうしても楽天が嫌い」「将来的な改悪リスクが不安」などと感じる場合は、松井証券も選択肢の一つです。本稿では、松井証券と楽天証券について新NISAやiDeCoなど目的別に比較します。どちらを選べばいいか迷った人は、チェックしてみましょう。

目次

  1. 【結論】とくにこだわりがない初心者には楽天証券がおすすめ
  2. 松井証券と楽天証券を9項目で比較
  3. 比較項目以外で見る松井証券と楽天証券の特徴
  4. 松井証券や楽天証券などのネット証券についてよくある質問
  5. 楽天のサービスを使うことに抵抗がないなら楽天証券を選ぼう


【結論】とくにこだわりがない初心者には楽天証券がおすすめ

冒頭でも伝えましたが、投資初心者でとくにこだわりがなければ、楽天証券で口座を開設するのがおすすめです。楽天証券は、取引手数料が安かったり、取り扱っている投資商品が豊富だったりと初心者におすすめできる要素が多いのです。

楽天証券はどんな人におすすめなのか

  • 楽天グループのサービスをすでに利用している人
  • 投資のコストを抑えたい人
  • 投資信託を中心に資産運用したい人
  • 初心者でも使いやすい取引ツールを求めている人

上記に当てはまる人には楽天証券がおすすめ。とくに楽天グループのサービスを日頃から利用している人は、楽天証券で開設するのがよいでしょう。楽天カードを使っていたり、楽天銀行に口座を持っていたり、楽天市場を利用してオンラインショッピングをしたりすることが多い人にはおすすめです。楽天のサービスを利用して溜まったポイントを使ったり、貯めたりもできます。

松井証券はどんな人におすすめなのか

  • 手厚いサポートを受けたい人
  • 投資のコストを抑えたい人
  • 25歳以下で1日に100万円を超える取引をしたい人

上記に当てはまる人には松井証券がおすすめ。取引回数が多い人や信用取引を重視する方には松井証券が適しています。一日定額制の手数料体系や低金利の信用取引が利用できるため、コストを抑えながら積極的に取引を行うことが可能です。

松井証券と楽天証券を9項目で比較

ここからは松井証券と楽天証券を9項目で比較します。結論を先にお伝えすると、iDeCoとIPO(新規公開株)以外は楽天証券がおすすめです。

【松井証券と楽天証券の比較(一覧表)】

松井証券楽天証券
①新NISA取引手数料無料
(日米株/投資信託)
取引手数料無料
(日本株)
②iDeCo40銘柄36銘柄
③IPO(※)36社32社
④米国株4,069銘柄4,750銘柄
⑤日本株・単元未満株単元未満株購入不可
(売却のみ)
どちらも対応
⑥クレカ積立非対応0.5~1.0%
(ポイント還元率)
⑦ポイントの貯まりやすさ
⑧ポイント投資投資信託
(3銘柄)
投資信託、日本株、
単元未満株、米国株 など
⑨銀行との連携
※:2023年4~9月までの実績
2024年5月17日時点、CRAZY MONEY Plus編集部調べ

①新NISA:楽天証券

新NISAは、手数料以外のサービスも考慮すると楽天証券がおすすめです。

【新NISAの比較】


松井証券楽天証券
米国株手数料無料手数料無料
日本株手数料無料手数料無料
単元未満株手数料無料
(売却のみ)
手数料無料※
取扱銘柄数
(つみたて投資枠)
213銘柄206銘柄
※リアルタイム取引のみスプレッド(事実上の手数料)が株価の0.22%発生
2024年5月17日時点、CRAZY MONEY Plus編集部調べ

松井証券は、単元未満株(1~99株の日本株)が買えない点を除けば、楽天証券と手数料での差はありません。ただし後述する「⑥クレカ積立」に対応していない、「⑧ポイント投資」の対象商品が投資信託3銘柄しかないなど楽天証券と比べて不便です。

楽天銀行、楽天カード、楽天市場など楽天グループのサービスを利用するメリットもあるので、新NISAは楽天証券を選びましょう。

\楽天グループとの連携によるメリット豊富/

新NISA(NISA恒久化)について詳しくはこちら
【関連記事】NISAの恒久化とは?現制度との比較やNISA開始のメリットを解説

②iDeCo:松井証券

iDeCoは、業界最低水準の運用コストを目指すeMAXIS Slimシリーズをすべて取り扱っている松井証券がおすすめです。

【iDeCoの比較】

松井証券楽天証券
取扱銘柄数40銘柄36銘柄
eMAXIS Slimシリーズ13銘柄なし
2024年5月17日時点、CRAZY MONEY Plus編集部調べ

信託報酬(投資信託の保有中に発生する主なコスト)が年率0.05775%と極めて安いことから個人投資家に人気があるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、楽天証券のiDeCoで購入できません。iDeCoで、できる限りコストの低い銘柄に投資したい場合は松井証券を選びましょう。

\低コスト銘柄の取扱が豊富/

③IPO:松井証券

IPO(新規公開株)は、松井証券と楽天証券の2社で比べるなら実績数の多い松井証券がおすすめです。松井証券のIPOは、申込時の事前入金が不要なので、気軽に申し込めるメリットもあります。

【IPOの比較】

松井証券楽天証券
実績数36社32社
2023年4~9月末の実績、CRAZY MONEY Plus編集部調べ

ただしこの2社に限らない場合、IPOはSBI証券が47社と業界トップの実績数を誇ります(2023年4~9月末)。IPOへの投資目的でネット証券に口座を開設する場合、まずはSBI証券を選ぶのが無難です。

\IPOの実績数が業界最多/

SBI証券についてさらに詳しくはこちら
【関連記事】SBI証券で口座開設するメリットを紹介

④米国株:楽天証券

米国株は、ポイント投資など他のサービスも考慮すると楽天証券がおすすめです。

【米国株の比較】


松井証券楽天証券
取引手数料
(新NISA)
無料無料
取引手数料
(新NISA以外)
0.495%
(上限22米ドル)
0.495%
(上限22米ドル)
為替手数料無料無料
取扱銘柄数4,069銘柄4,750銘柄
2024年5月17日時点、CRAZY MONEY Plus編集部調べ

両社とも手数料は変わらず、AppleやAmazonなどの有名銘柄はどちらも取り扱っています。詳細は後述しますが、楽天証券なら米国株に楽天ポイントを使ってポイント投資ができるので、手数料以外のサービスが充実している楽天証券を選びましょう。

\楽天ポイントで米国株にも投資できる/

⑤日本株・単元未満株:楽天証券

楽天証券
引用:楽天証券

日本株や単元未満株(1~99株の日本株)に投資したい場合は、単元未満株が買える楽天証券がおすすめです。

【日本株・単元未満株の比較】


松井証券楽天証券
日本株
(新NISA)
手数料無料手数料無料
単元未満株
(新NISA)
手数料無料
(売却のみ)
手数料無料
日本株
(新NISA以外)
1日50万円まで無料手数料無料
単元未満株
(新NISA以外)
0.55%
(売却のみ)
手数料無料※
※リアルタイム取引のみスプレッド(事実上の手数料)が株価の0.22%発生
2024年5月17日時点、CRAZY MONEY Plus編集部調べ

松井証券は、単元未満株が買えないため、日本株は100株からしか購入できません。例えばトヨタ自動車の株を2023年12月11日の終値で100株買った場合、27万550円が必要です。なかには、100株買うと100万円を超える日本株もあります。少額から日本株への投資を始めたい場合は、楽天証券を選びましょう。

\日本株が1株から買える/

単元未満株(ミニ株)について詳しくはこちら
【関連記事】ミニ株購入のおすすめ銘柄と証券会社選びのポイントを徹底解説

⑥クレカ積立:楽天証券

楽天証券
引用:楽天証券

クレカ積立は、楽天カードで投資信託を積み立てると0.5~1.0%の楽天ポイントが貯まる楽天証券がおすすめです。

【クレカ積立の比較】

松井証券楽天証券
ポイント還元率非対応0.5~1.0%
※年1回以上の利用で無料になるカードも含む
2024年5月17日時点、CRAZY MONEY Plus編集部調べ

松井証券には、提携クレジットカード(MATSUI SECURITIES CARD)があり、買い物をすると0.5%の松井証券ポイントが貯まりますが、クレカ積立に対応していません。

⑦ポイントの貯まりやすさ:楽天証券

ポイントは、クレカ積立に対応している楽天証券のほうが貯まりやすいです。

【ポイントの貯まりやすさ比較】

松井証券楽天証券
投資信託保有年率年率0.0175%(※)年率0.0561%(※)
クレカ積立非対応0.5~1.0%
対応クレカでのお買い物
(特典除く)
0.5%1.0%
※eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の場合
2024年5月17日時点、CRAZY MONEY Plus編集部調べ

投資信託の保有でもらえるポイント、クレカ積立、クレカでの買い物を含めても楽天証券の方が還元率が高いです。 松井証券については、人気銘柄に限れば投信保有によるポイント還元は年率0.1%に満たないものが多いため、クレカ積立に対応していないデメリットを覆せる還元率ではありません。

コストの低い投資信託でクレカ積立をしても0.5%の楽天ポイントが貯まる楽天証券を選びましょう。

\クレカ積立で楽天ポイントが貯まる/

⑧ポイント投資:楽天証券

楽天証券
引用:楽天証券

ポイント投資は、対象商品が豊富で1ポイントから使える楽天証券がおすすめです。

【ポイント投資の比較】


松井証券楽天証券
使えるポイント松井証券ポイント楽天ポイント
対象商品投資信託
(3銘柄)
投資信託、日本株、
単元未満株、米国株 など
必要ポイント数100ポイント~1ポイント~
新NISAでの利用
※1:投資信託の積み立て、日本株、単元未満株は対象外
※2:積立投資は対象外
2024年5月17日時点、CRAZY MONEY Plus編集部調べ

楽天証券は、投資信託だけでなく日本株や米国株にも1ポイントから楽天ポイントが使えます。楽天ポイントは、クレカ積立や楽天カードなどの利用で簡単に貯まるので、ポイント投資をするなら楽天証券を選びましょう。

\日本株や米国株にもポイント投資できる/

⑨銀行との連携:楽天証券

銀行との連携は、商品の制限なく連携先の楽天銀行の口座があれば自動入金してくれる楽天証券のほうが便利です。

【銀行との連携】

松井証券楽天証券
連携できる銀行MATSUI Bank楽天銀行
自動入金の対象商品日本株のみ制限なし
預金金利0.2%0.1%
(300万円まで)
2024年5月17日時点、CRAZY MONEY Plus編集部調べ

預金金利は、松井証券の連携銀行(MATSUI Bank)のほうが高いですが、投資信託や米国株の取引は自動入金されず、証券口座への入金が必要になります。預金金利の差は年利0.1%しかなく、クレカ積立を利用するなら0.5%以上のポイント還元が受けられる楽天証券のほうが、実質的な還元率は高いです。楽天銀行との連携で証券口座への入出金が原則不要になる楽天証券を選びましょう。

\楽天銀行と連携すれば入出金不要/

比較項目以外で見る松井証券と楽天証券の特徴

比較項目以外で見る松井証券と楽天証券の大きな特徴は、楽天証券が2つ、松井証券が1つあります。

楽天証券の特徴①:日経テレコン(楽天証券版)を無料で利用できる

楽天証券
引用:楽天証券

直近3日分に制限されますが、楽天証券なら日経テレコン(楽天証券版)を無料で利用することが可能です。スマホアプリ「iSPEED」のメニューから「日経テレコン」を選択すると、スマホでも簡単に読めます。日経新聞が無料で読めるのは、大手ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券)のなかでは楽天証券だけです。

\月4,000円以上かかる日経テレコン(楽天証券版)が無料/

楽天証券の特徴②:条件達成で楽天市場のポイント還元率が上がる

楽天市場
引用:楽天市場

楽天証券は、条件を満たすと楽天市場のポイント還元率が最大1.0%上がります。SPU(スーパーポイントアッププログラム)と呼ばれ、楽天証券での達成条件は以下の通りです。

【SPUの達成条件(楽天証券)】

商品条件
投資信託
(+0.5%)
・月3万円以上の投資
・1ポイント以上の利用
米国株
(+0.5%)
・月3万円以上の投資
・1ポイント以上の利用
・米ドルに両替せずに決済
※判定は毎月。楽天ポイントの利用と楽天銀行との連携(マネーブリッジ)必須
参考:楽天証券

楽天市場を利用する人は、積極的に活用しましょう。

\条件達成で楽天市場のポイント還元率UP/

松井証券の特徴:顧客サポートが手厚い

松井証券
引用:松井証券

松井証券は、顧客サポートに力を入れています。他の大手ネット証券でも操作方法のお問い合わせは、AIチャットや電話などで対応していますが、銘柄選びや売買のタイミングは相談に乗ってもらえません。松井証券では株の取引相談窓口を設けており、専門の相談員が銘柄選びに迷った人向けのサポートをしています。

夜遅くや休日などの時間外でも完全予約制で受け付けているので、株式投資がはじめての人は活用してみましょう。

\日本株や米国株なら銘柄選びの相談もできる/

松井証券や楽天証券などのネット証券についてよくある質問

松井証券や楽天証券などのネット証券について、よくある質問を2つにまとめました。どのネット証券で投資を始めようか迷っている人は確認しましょう。

楽天は改悪が多い印象がありますが実際はどう?

2023年に実施された改悪は、楽天市場のポイント還元に関するものであり、楽天証券そのものの改悪ではありません。2022年にクレカ積立や投資保有のポイント還元について改悪がありましたが、2023年6月買付分からクレカ積立のポイント還元率は0.2%以上から0.5%以上へ改善されています。

他の大手ネット証券と比べて改悪が多くイメージは悪いものの、「改悪があったから楽天証券はやめたほうがいい」といえるほどの内容ではありません。

松井証券や楽天証券以外でおすすめのネット証券は?

IPO(新規公開株)に投資したい人や三井住友カードを使っている人は、IPOの実績が業界トップで三井住友カードによるクレカ積立に対応しているSBI証券がおすすめです。クレカ積立のポイント還元率を上げたいなら、1,000円単位の投信積立できポイント還元率が1.1%になるマネックス証券も選択肢の一つでしょう。

楽天のサービスを使うことに抵抗がないなら楽天証券を選ぼう

松井証券と楽天証券の2社で比べると、楽天のサービスを使うことに抵抗がないなら楽天証券がおすすめです。新NISAでは、どちらも日本株と米国株の手数料を無料にしています。しかしクレカ積立に対応し、日本株や米国株にポイント投資ができる楽天証券のほうが使いやすいです。どうしても楽天を使いたくないなどの特別な理由がない限り、楽天証券を選びましょう。

\楽天グループとの連携によるメリット豊富/

北川 真大

金融系ライター・個人投資家

明治大学法学部卒業後、証券会社に入社。入社後すぐに2級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得し、個人営業に従事。証券営業の経験をもとに金融系の記事執筆やKindle出版を開始し、現在はフリーライターとして活動中。日本株、投資信託、暗号資産、不動産を保有する個人投資家でもあり、日本株の投資歴は累計7年以上に及ぶ。