auカブコム証券は、SBI証券や楽天証券と比べて認知度が低いですが、IPOの取り扱いはあります。
三菱UFJ証券ホールディングスのグループ会社(2025年1月より三菱UFJ銀行の100%子会社)になっているため、三菱UFJモルガン・スタンレー証券がIPOの販売をauカブコム証券へ委託することがあります。
グループ会社などから委託を受けてIPOを扱う場合、各銘柄の説明書(目論見書)には会社名が掲載されません。auカブコム証券は、他の大手ネット証券と比べてIPOを取り扱っていることに気づかない人が多いため、IPO投資家にとっては穴場の一つです。
この記事では、auカブコム証券のIPOについて特徴や買い方を解説します。
\口座数が少なめで競争率が低い傾向/
auカブコム証券のIPOの特徴
auカブコム証券のIPOには、2つの特徴があります。
当選株数の10%以上は平等抽選
auカブコム証券のIPOは、当選株数の10%以上を平等抽選と定めています。
配分の機会を公平に提供するため、原則として一定割合について抽選による配分を行います。個人投資家には、個人投資家と同等のアマ口座扱いの法人を含みます。当該抽選により配分する数量は、配分予定数量の10%以上といたします。
引用:募集等に係る株券等のお客さまへの配分に係る基本方針|auカブコム証券
当選株数が少ない銘柄については、100%平等抽選の場合もあります。完全平等抽選ではありませんが、資産が少ない人でも当選する可能性はあるでしょう。
他の大手ネット証券と比べて申し込む人が少ない
auカブコム証券のIPOは、他の大手ネット証券と比べて申し込む人が少ないと推測できます。auカブコム証券は、2024年11月末時点で177万3,064口座ありますが、SBIグループ(1,300万口座以上)や楽天証券(1,100万口座以上)の5分の1未満です。
またauカブコム証券は、IPOの引受人に記載がない場合でも取り扱っていることがあります。例えば2024年12月17日に上場した黒田グループ<287A>は、auカブコム証券のIPO取扱銘柄でしたが、引受人の欄には掲載されていません。
【黒田グループのIPOの概要(抜粋)】
auカブコム証券は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が取り扱うIPOの委託幹事になることがあり、その際は引受人として掲載されなくてもIPOに申し込めます。IPO投資家の間では「裏幹事」とも呼ばれ、表に出ない分、auカブコム証券で申し込めること自体を知らない人が多いため、申込者数は少ないと推測できます。
口座数や委託幹事の仕組みを考慮すると、SBI証券や楽天証券など他の大手ネット証券と比べて競争率が低く、株数が少なかったとしても当選確率が高い可能性はあるでしょう。
\口座数が少なめで競争率が低い傾向/
auカブコム証券のIPOの買い方・流れ
auカブコム証券のIPOは、以下の4ステップで購入できます。申込時に買付余力が必要になるため、あらかじめ「仮条件(値幅)の上限金額×100以上の金額」を入金したうえで申し込みましょう。サイトは、PC版のみでスマホでも申し込めますが最適化はされていません。
売り方も知りたい人はこちら
IPO(新規公開株)の買い方・売り方や売買時の注意点を紹介
1.買いたい銘柄にあるブックビルディング(需要申告)を選択
ログイン後のページから「お取引」「新規公開株(IPO)」「新規公開株銘柄選択」の順にクリックし、ブックビルディングを選択してください。
2.株数と価格を入力する
説明書(目論見書)を確認すると株数と価格の入力画面に移ります。株数は100株、価格は成行にしましょう。IPOは、非常に人気があり富裕層を除いて当選しても100株がほとんどです。株数が多いと拘束金額が増えるデメリットもあるため、100株にして複数の証券会社に応募したほうが当選確率は高いでしょう。
auカブコム証券では、申し込んだ価格がIPOの募集(売出)価格以上または成行の場合のみ購入申込ができます。成行であればIPOの価格を問わず購入申込に参加できるため、成行がおすすめです。
3.価格決定後に購入申込を行う
IPOの価格が決定したあとは、購入申込をしましょう。「お取引」「新規公開株(IPO)」「新規公開株銘柄選択」の順にクリックし、購入申込期間内に「購入申込」を選択してください。購入申込の時点でIPO購入に必要な資金が拘束されます。
4.抽選結果を確認し、当選したら自動的に購入となる
抽選日時になったら結果を確認しましょう。auカブコム証券では、当選後のキャンセルはできません。当選したあとは自動的に購入となります。落選した場合は、資金の拘束が解除されます。
\スマホでもIPOに申し込める/
auカブコム証券でIPOを始める際の注意点
auカブコム証券でIPOを始める際は、3つの注意点があります。
抽選前に2回の手続きが必要
auカブコム証券のIPOは、抽選前にブックビルディング(需要申告)と購入申込の2回の手続きが必要です。
購入申込を忘れた場合、抽選対象になりません。抽選後に購入を申し込む証券会社とは手順が異なるため、各銘柄の購入申込期間をカレンダーやメモ帳などに記録し忘れないようにしましょう。
IPO(新規公開株)に関する自動通知サービスに登録すると、auカブコム証券がブックビルディング(需要申告)や購入申込期間に入った銘柄をメールで知らせてくれます。メールを少なくとも数日に1回以上チェックできる人は、自動通知サービスを利用してみましょう。
他の大手ネット証券と比べて取扱数が少ない
auカブコム証券のIPOは、他の大手ネット証券と比べて取扱数が少ないです。ネット証券最大手で取扱数が業界No.1のSBI証券と比べると、3分の1~4分の1程度にとどまります。
【大手ネット証券のIPO取扱数】
auカブコム 証券 |
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス 証券 |
松井証券 | |
2023年度 (2023年4月~2024年3月) |
26社 | 90社 | 62社 | 56社 | 67社 |
2022年度 (2022年4月~2023年3月) |
24社 | 92社 | 64社 | 54社 | 59社 |
2021年度 (2021年4月~2022年3月) |
39社 | 117社 | 70社 | 51社 | 50社 |
auカブコム証券は、IPOに申し込める数が少ないため、取扱数の多いSBI証券などほかの会社も利用してみましょう。複数の証券会社で同一銘柄のIPOに申し込むことも可能です。
\IPO取扱数が業界No.1/
SBI証券のIPOについて詳しくはこちら
SBI証券のIPOは取扱数が業界最多!特徴や買い方を紹介
社名変更などに伴いサービス内容が変わる可能性がある
auカブコム証券は、2025年1月より三菱UFJ銀行の100%子会社となり、2025年2月からは「三菱UFJ eスマート証券株式会社」に社名が変わります。これまでは、auと三菱UFJが株式を保有していたため、auユーザー向けのサービスも充実していましたが、今後は変わる可能性があります。
公式ホームページでは「au経済圏におけるネット証券の役割も引き続き担ってまいります」とアピールしていますが、今までのサービス内容が引き続き維持されるのかは、疑問の余地があるでしょう。
auカブコム証券のIPOについてよくある質問
auカブコム証券のIPOについて、よくある質問をまとめました。IPO投資を始めたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
購入しない場合のペナルティはある?
auカブコム証券は、IPO抽選前に購入申込をしているため、「当選後に購入しない」という選択ができません。そのため購入しない場合のペナルティはありません。
スマホから申し込める?
スマホから申し込めますが、auカブコム証券の場合はPC版のサイトになります。スマホに最適化されたサイトと比べて文字が小さいため、見づらい人は適宜拡大してIPOに申し込みましょう。なお、スマホアプリからはIPO申し込みはできません。
当選確率を上げる方法は?
auカブコム証券に億単位のお金を入れて、会社から富裕層とみなされれば当選確率は上がるかもしれません。ただし現実的ではないため、一般庶民が当選確率を上げる方法はないです。
当選確率を上げたい場合は、初心者におすすめの証券会社をはじめとした複数の証券会社に口座を開設し、IPOに申し込みましょう。