株は、まとまったお金がなければ買えないと思っている人もいるかもしれません。しかし今は、少額でも投資しやすい環境が整っているため、10万円あれば複数の銘柄が購入できます。そのため少額から投資を始めたい人は、10万円から株を購入してみてはいかがでしょうか。この記事では、10万円で買える銘柄や株以外のおすすめの投資先について解説します。
10万円からでも株に投資できる理由
10万円からでも株に投資できる主な理由は、以下の3つです。2024年時点では、1990~2000年ごろと比べると少額で株に投資しやすい環境が整っています。
特にネット証券を中心に1株から日本株が買える単元未満株の取り扱いが広まったことで、少額資金では到底買えなかった株価1万円以上の銘柄でも投資しやすくなりました。手数料無料で売買できる証券会社もあるため、取引コストを気にすることなく始められます。
1株から買える証券会社が増えたから
2010~2015年ごろまでの日本株は、原則100株または1,000株単位で買う必要がありましたが、2024年時点では1株から買える証券会社が増えました。SBI証券をはじめとした大手ネット証券では、1株から日本株が買えるようになっています。
1株から投資できる証券会社を利用すると、例えば値嵩株として有名なキーエンス<6861>の株も1株7万3,020円(2024年7月8日終値)から買えるので10万円以内に収まります。
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株式の分割が進み購入価格が下がったから
日本株は、株式の分割が進み、1990~2000年ごろと比べて株の購入価格が下がりました。2024年3月末時点では、東証上場企業の90%を超える銘柄が50万円未満で買えます。
10万円未満に絞っても1,000以上の銘柄が購入できます。株式分割のなかでも2023年7月1日から1株を25株に分割し100株で2万円未満となったNTT<9432>は有名です。
【2024年3月末時点の東証上場企業の投資単位】
日本株の手数料を無料にした証券会社があるから
従前の少額投資では、最低手数料を定めている証券会社がほとんどでした。手数料の割合が高くなることから、利益が出たとしても手数料のほうが高くなる「手数料負け」が発生しやすい点がデメリットでした。しかし2023年にSBI証券や楽天証券が日本株の手数料無料化を実施したため、10万円以内の資金でも手数料負けを気にしないで取引ができます。
SBI証券では、日本株の1株投資でも手数料無料のため、特に少額投資がしやすいでしょう。
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10万円から株式投資を始める場合のおすすめ銘柄
10万円から株式投資を始める場合のおすすめ銘柄は、以下の3つです。いずれも100株購入する場合の必要資金が10万円未満の銘柄から厳選しています。
いずれも配当利回り(株価に対する年間配当金の割合)が3%を超えており、高配当株としてもおすすめです。まずは、少額投資できる銘柄を購入して株式投資を始めてみましょう。
NTT <9432>
NTT<9432>は、国内最大手の通信サービス企業です。2023年7月の株式分割で必要金額が25分の1になり、少額から投資しやすい銘柄の一つになりました。人口減少や低価格プラン「ahamo」の導入など収益面での不安要素はありますが、2023年度の収益は2022年度と比べて増えています。配当利回りも3%を超えており、少額投資しやすい配当株としておすすめの銘柄です。
【NTT <9432> の概要】
株価 | 154.3円 |
---|---|
必要金額 | 1万5,430円 |
配当 | 5.2円(2024年度予想) |
配当利回り | 約3.37%(2024年度予想) |
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NTN <6472>
NTN<6472>は、自動車や建設機械、航空機などのベアリングを製造している企業です。新型コロナにより業績が苦しく配当がない時期もありましたが、2024年7月現在は円安効果により収益が増え配当も11円に増える予定です。少額投資できる高配当株の一つとして購入を検討してみましょう。
【NTN <6472> の概要】
株価 | 319.4円 |
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必要金額 | 3万1,940円 |
配当 | 11円(2025年3月期予想) |
配当利回り | 約3.44%(2025年3月期予想) |
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ベルーナ <9997>
ベルーナ<9997>は、アパレルの通信販売を中核とした企業です。不動産やホテル事業も行っており、事業の多角化を進めています。外国人観光客が増えている影響で、今後もホテル事業の収益が伸びる見込みです。配当利回りも高いので、高配当株の一つとして購入を検討してみましょう。
【ベルーナ <9997> の概要】
株価 | 812円 |
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必要金額 | 8万1,200円 |
配当 | 29円(2025年3月期予想) |
配当利回り | 約3.57%(2025年3月期予想) |
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10万円から始められる株以外のおすすめの投資先
10万円から始めるなら、株以外におすすめの投資先が2つあります。株にこだわらない場合は、プロに運用をお任せできる投資信託も選択肢の一つでしょう。
利益が非課税になるNISAや、利益の非課税に加えて税制優遇が受けられるiDeCoであれば、より効率的な資産形成が可能です。またNISAでは、成長投資枠を利用することで株にも投資できます。余裕がある人は、株式投資だけでなく投資信託の積立投資も検討してみましょう。
NISAのつみたて投資枠で買える投資信託
コツコツと少額から積立投資をする場合は、株よりもNISAのつみたて投資枠で買える投資信託のほうが始めやすいでしょう。投資信託は、ネット証券であれば月100円から購入可能です。大手ネット証券であればクレカ積立(クレジットカード決済できる投信積立)にも対応しています。
【大手ネット証券のクレカ積立】
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | auカブコム証券 | |
対象 カード | 三井住友カード (他のクレカでも積み立ては可能) | 楽天カード | マネックスカード dカード | au PAY カード |
ポイント 還元率 | 0.5~5.0% (※1) | 0.5~1.0% | 1.1% (※2) | 1.0% |
ちなみに資金に余裕があればNISAの成長投資枠で株を購入し、つみたて投資枠で投資信託を積み立てることもできます。投資信託の詳細は、NISAのつみたて投資枠で買える銘柄はいくつある?を確認してみましょう。
iDeCoで買える投資信託
毎年安定した収入がある場合は、iDeCoで投資信託を買うこともおすすめです。iDeCoは、毎年の掛金全額が所得控除の対象になるため、年末調整または確定申告で手続きをすると所得税や住民税の負担を減らすことができます。iDeCoで運用した資産は、最短60歳から出金でき受取時も所得控除の対象になります。
30年間iDeCoに加入した人が退職金として資産を受け取る場合は、会社からの退職金がなければ1,500万円までは退職所得控除により非課税です。退職金が見込めない会社に勤めている人であれば、iDeCoのメリットを最大限享受できるでしょう。
ちなみにNISAとiDeCoは、併用も可能です。どちらから始めようか迷っている人は、NISAとiDeCoの違いと目的別にどっちがいいのかを解説をチェックしてみましょう。
10万円で投資を始めたい人からよく聞かれる疑問・質問
10万円で投資を始めたい人からよく聞かれる疑問や質問をまとめました。
「少額投資は意味がない」という人がいるけどホント?
自己投資をしたほうが儲かる経営者は、少額投資に否定的な傾向があります。「少額投資は意味がない」という意見は、自己投資のほうが儲かるなら一理あるでしょう。ただし平均的な収入しかない会社員や公務員が自己投資をしても、有名な経営者が想定している成果が出るとは思えません。
またなかには「自己投資」という文言で関心を持たせて悪質な商材を売るビジネスもあるため、だまされてお金を失うくらいであれば少額投資にお金を使ったほうがいいでしょう。
詳しくは「少額投資は意味がない?」で解説しています。
10万円からデイトレはできる?
できますが、おすすめはしません。この記事で紹介した銘柄は、値動きが大きくないためデイトレに不向きです。10万円でデイトレをする場合は、ベンチャー企業の株で一か八かの勝負をし続けることになります。ビギナーズラックで勝てたとしても、負けたときの損失額が大きければ資産は減ります。短期投資が好きな人ほど損をしている傾向も見られるため、デイトレは避けたほうがいいでしょう。
10万円から投資してどれくらい増える?
「投資先によって異なる」としかいえませんが、うまくいけば1年で20万円以上に増える可能性はあります。ただし現実的な話をすれば1年で1万円(年率10%)くらい儲かればいいほうでしょう。コロナショック以後は、株価がおおむね右肩上がりだったため年率10%は簡単でしたが、今後はどうなるかわかりません。
初心者は10万円から投資を始めて経験値を積んでおこう
これから投資を始める人は、10万円から投資をして経験を積みましょう。50~60代の人がまとまった金額をいきなり投資して失敗した話は何度か聞いたことがあります。大金を投資して失敗すると、損失額は500万~1,000万円を超えることも少なくありません。10万円から投資を始めて、経験を積むことで、まとまった金額を投資するときの失敗をある程度防げるでしょう。
少額から投資を始めるつもりであれば、NISAで日本株・米国株・投資信託の手数料が無料になるSBI証券がおすすめです。
\株取引や投信積立がアプリでできる/