インド株の直近5年の上昇率は、米国の主要な株価指数(S&P500)を上回っており、投資家から注目を集めています(2024年9月2日現在)。
この記事では、個人投資家の期待感が高まっているインド株のおすすめ投資信託を紹介します。インドの将来性や課題についても解説するので、インドをはじめとした新興国株に興味がある人はぜひ参考にしてください。
インド株のおすすめ投資信託3選
インド株のおすすめ投資信託は、以下の3銘柄です。
「iTrustインド株式」はNISAのつみたて投資枠、「iFreeNEXT インド株インデックス」「HSBC インド・インフラ株式オープン」の2銘柄はNISAの成長投資枠で購入できます。NISAであれば利益が非課税になるので、積極的に利用しましょう。
ただしインド株の投資信託を取り扱う金融機関は、ごく一部に限られています。インド株に投資したい場合は、楽天証券など取扱銘柄数が多いネット証券を選びましょう。
\投資信託の取り扱いが豊富/
iTrustインド株式
【iTrustインド株式の概要】
純資産総額 | 約531億2,200万円 |
---|---|
信託報酬(年率) | 0.9828% |
リターン (直近5年・年率) |
19.58% |
iTrustインド株式は、NISAつみたて投資枠で購入可能なインド株の投資信託です。つみたて投資枠対象商品のなかには、インドへ投資するほかの投資信託もありますが、インド株をメインの投資先とする商品はiTrustインド株式に限られます。
信託報酬(保有中に負担する主な運用コスト)は、オルカンなど人気のある投資信託と比べて高い傾向です。しかし直近5年の年率リターンは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を上回っています。NISAつみたて投資枠でインド株に投資したい場合は、iTrustインド株式を選びましょう。
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iFreeNEXT インド株インデックス
【iFreeNEXT インド株インデックスの概要】
純資産総額 | 約1,456億7,400万円 |
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信託報酬(年率) | 0.473% |
リターン (直近1年・年率) |
22.27% |
iFreeNEXT インド株インデックスは、インドの主要な株価指数「Nifty50指数」に連動した運用を目指す投資信託です。運用を始めてから1年半ほどで純資産総額(株式や配当を合わせた資産から経費などを除いた金額)が1,400億円を超えており、インド株に投資できるインデックスファンドとして人気があります。
直近1年のリターンは22.27%と高く、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の21.90%を上回ります(2024年9月6日時点)。インデックスファンドでインド株に投資したい人におすすめの投資信託です。
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HSBC インド・インフラ株式オープン
【HSBC インド・インフラ株式オープンの概要】
純資産総額 | 約3,819億8,300万円 |
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信託報酬(年率) | 2.09% |
リターン (直近5年・年率) |
30.05% |
HSBC インド・インフラ株式オープンは、インドのインフラ関連株に投資する投資信託です。インドは、電力や道路などのインフラ整備が進んでいない地域が多く今後も経済発展に伴うインフラ需要が期待できます。信託報酬は高いものの、直近1年のリターンは44.49%とiFreeNEXT インド株インデックス(22.27%)を大きく上回ります。
インドのインフラ株に投資したい場合は、HSBC インド・インフラ株式オープンを選びましょう。
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NISAで買えるインド株の投資信託
NISAで買えるインド株の投資信託は、つみたて投資枠と成長投資枠で大きく異なります。ここでは、インド株をメインの投資先とする投資信託について、NISAのつみたて投資枠と成長投資枠で買える銘柄を紹介します。
2024年から始まったNISA(つみたて投資枠・成長投資枠)について詳しく知りたい人は、「NISAの恒久化とは?おすすめの人気証券会社や成功のコツを解説」をご覧ください。
つみたて投資枠
つみたて投資枠で買えるインド株の投資信託は、iTrustインド株式のみです(2024年9月2日現在)。つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の対象銘柄は、金融庁が厳選しており、運用コストが高い銘柄は直近のリターンが良かったとしても対象になりません。
【つみたて投資枠の信託報酬(主な運用コスト)の上限】
インデックス ファンド | アクティブ ファンド | |
---|---|---|
投資先が 国内 | 年率0.55% | 年率1.1% |
投資先が 海外 | 年率0.825% | 年率1.65% |
iFreeNEXT インド株インデックスは、信託報酬の条件を満たしています。しかし運用開始から日が浅いため、インド株の売買手数料などで運用コストが高くなっています。運用コストが低いインド株の投資信託が出れば、つみたて投資枠の対象銘柄が増える可能性もあるでしょう。
成長投資枠
成長投資枠で買えるインド株の投資信託は、投資信託協会が公表した「NISA成長投資枠の対象商品」によると、39銘柄あります(2024年9月2日現在)。アクティブファンドがほとんどですが、「iFreeNEXT インド株インデックス」などのインデックスファンドもあります。NISAでインド株の投資信託を買いたい場合は、選択肢の多い成長投資枠から選んだほうがいいでしょう。
インド株の見通し(将来性)が明るいといえる理由
インド株の投資信託が注目されている理由として、インドの将来性が明るいことが挙げられます。低成長が続く世界経済のなかで高成長を維持しているインドは、今後も投資先として注目される可能性が高いでしょう。
他の主要国と比べて経済成長率が高い
IMF(国際通貨基金)が2024年7月に発表した世界経済の成長率によると、インドの経済成長率は主要国のなかで最も高いです。
【主要国・地域の世界経済の成長率(2024年以降は予測)】
2023年 | 2024年 | 2025年 | |
---|---|---|---|
米国 | 2.5% | 2.6% | 1.9% |
ユーロ圏 | 0.5% | 0.9% | 1.5% |
日本 | 1.9% | 0.7% | 1.0% |
英国 | 0.1% | 0.7% | 1.5% |
中国 | 5.2% | 5.0% | 4.5% |
インド | 8.2% | 7.0% | 6.5% |
2024年、2025年の新興国の平均経済成長率は4.3%と予測されており、インドは新興国のなかでも高い成長率を維持する見込みです。予測を大きく下回らない限り、インドは今後も成長期待による株価上昇が見込まれるでしょう。
人口が多く労働力人口も豊富
インドの人口は、2022年時点で14億人超と中国を抜いて世界最大です。インドでも少子化の傾向が出始めているものの若年層の比率が高く、労働力人口(15歳以上の人口)が多い傾向です。
【インドの年齢層別の人口比率】
若年層の大半が雇用されれば、労働力や個人消費などでインドの経済成長のけん引役となる可能性があります。
モディ政権による経済政策などの後押しが見込める
インドでは、2014年からナレンドラ・モディ氏が首相に就任し、2024年6月には3期目のモディ政権がスタートしました。モディ首相は、2014年に「メイク・イン・インディア」という製造業振興のスローガンのもとGDP(国内総生産)に占める製造業の割合を2022年までに25%に引き上げる目標を掲げています。
2022年時点でインドのGDPにおける製造業の割合は15.8%と目標には届いていないものの、携帯電話の輸出額が輸入額を上回るなど一部の品目では成果も出ています。
【インドにおける携帯電話の輸出入額の推移】
今後も2029年までは3期目のモディ政権が続くと見られ、経済政策による成長期待が見込まれるでしょう。
インドが抱える課題
一方で、インドには以下のような3つの課題があります。IT産業から経済発展を遂げたインドは、日本や中国などと異なり製造業が弱く、豊富な労働力を活かしづらい傾向です。万が一インドの製造業が発展しない場合、インド株への期待が失望に変わる可能性もあるでしょう。
若年失業率が高い
インドの若年失業率(15~24歳の失業率)は、20%を超えています。全体の失業率が10%を下回るなかで若年層の失業率が極端に高い状況が続いています。
若年失業率が改善されない限り、豊富な労働力人口を活かしきれず、期待通りの経済成長ができない可能性が高いでしょう。すでに0~9歳の人口が減り始めているインドでは、遅かれ早かれ先進国と同様に少子高齢化問題を抱えることになります。労働力人口が豊富な今のうちに製造業をはじめとした自国産業を発展させ、若年層の雇用を確保していくことが求められます。
製造業が政府の見込み通りに発展していない
インドの製造業は、政府の見込み通りに発展していません。インドのGDPにおける製造業の割合は15%前後で停滞しており、中国の27%前後と比べて低いです。
上述したようにインドでは、2014年に「メイク・イン・インディア」でGDPに占める製造業の割合を2022年までに25%へ増やす目標を掲げていますが、全くといっていいほど増えていません。国の経済が大きく成長するには、第一次産業(農業など)から第二次産業(製造業など)へシフトして外貨を稼ぐことが必要です。
短期間で経済成長を成し遂げた日本や中国は、どちらも製造業を急速に発展させています。インド政府が掲げる目標は、最低限達成しなければいけない数値であり、未達のままでは若年失業率が改善せず経済成長が鈍化するリスクは考えられるでしょう。
インフラが整っていない
インドは、経済発展を実現させるためのインフラが整っていない課題もあります。例えばインドの電力を見ると、送配電の質が悪く勝手に配線して電気を盗む行為(盗電)も残っており、送配電ロスが大きいです。道路は、都市部ですら未舗装の区域があり追いついていません。
国際協力銀行の資料では、インドの法制度の不透明さも指摘されており、日本をはじめとした海外企業の投資の妨げにもなっています。インドが期待通りの経済成長を実現するためには、インフラの整備を今まで以上に進める必要があるでしょう。
インドは課題もあるが有望な投資先の一つ
インドが日本や中国のような高度経済成長を実現するには、課題が多いため、投資家が期待しているほど成長しない可能性があります。一方、株価は期待感で上がる傾向があることから、期待が勝っているインド株は、まだ上昇する見込みがあるでしょう。新興国のなかでインド株は、有望な投資先の一つです。新興国株に興味がある人は、インド株に投資する投資信託を購入してみましょう。
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