初心者は株を買うな!はじめての投資に適した商品・制度を紹介

初心者に限らず個人投資家の株式投資は「1社または少数の企業の将来性に賭ける」ものになりがちで、当たり外れが激しいです。株のほうが儲かったときの利益が大きく夢があることは事実ですが、自信がある人を除いておすすめしません。手堅く投資をしたい場合は、投資信託を投資先のメインにしたほうがいいでしょう

この記事では「初心者は株を買うな」といえる理由や、はじめての投資に適した商品・制度について紹介します。

  1. 「初心者は株を買うな」といえる理由
    1. 市場平均よりも儲かっている投資家は意外と少ない
    2. 売買のタイミングが難しい
    3. 予想が外れたときのダメージが大きい
  2. はじめての投資に適した商品と2つの制度
    1. 商品:投資信託
    2. 制度1:新NISA
    3. 制度2:iDeCo
  3. 投資信託がはじめての投資に適している理由
    1. 100円から分散投資ができる
    2. 忙しい人でも始めやすい
    3. クレカ積立に対応しているネット証券ならポイントも貯まる
  4. 初心者が株を買って失敗した事例
    1. 株価が高いタイミングで日本株を買い暴落により評価損
    2. 株価暴落に耐えられず損切り
  5. 初心者が投資信託を買って成功した事例
    1. 旧つみたてNISAから積み立てて直近の下落があっても購入単価の2倍
    2. 年初にオルカンを一括投資して株価下落があっても利益
  6. 初心者は株を買う前に投資信託を買ってみよう

「初心者は株を買うな」といえる理由

「初心者は株を買うな」といえる主な理由は、以下の3つです。

市場平均よりも儲かっている投資家は意外と少ない

株式投資で市場平均よりも儲かっている投資家が、意外と少ないからです。2024年7月19日に公表された「株の学校ドットコム」のアンケートによると、全国の株式投資に取り組む20~70代の男女800人のうち利益が0円以上50万円未満だった人が37.9%を占めています。マイナスだった人と合わせると全体の50%程度が50万円の利益すら出せていません

50万円の利益は、2024年の年初から235万円を日経平均に連動するeMAXIS Slim 国内株式(日経平均)のような商品に投資して7月19日まで放置しているだけで達成できます。

個別銘柄に投資をしても市場平均にすら勝てないのであれば、最初から市場平均に連動した商品だけを買っておくほうが金銭的にも時間的にもメリットがあるでしょう。

売買のタイミングが難しい

株は、決算や個別企業のニュースなど株価変動要因が多く売買のタイミングが難しいです。特に海外投資家が売買代金の約70%を占める日本株は、海外投資家が売りを仕掛ければ株価が急落することが多く事前に予測するのは極めて難しいです。

【直近6ヵ月の日経平均株価の値動き】

直近6ヵ月の日経平均株価の値動き
画像引用:SBI証券
(2024年8月9日現在)

2024年8月初頭のような急落が起きた場合、企業業績などは関係なく株価が10~20%程度は下がります。

予想が外れたときのダメージが大きい

個別企業の株に投資すると予想が外れたときのダメージが大きいです。特に業績が発表される前に買うと株価が一気に5~10%下がることはめずらしくありません。業績が悪い場合だけでなく良い場合でも下がることがあります。例えばバンダイナムコホールディングス<7832>は、2024年8月8日の決算発表で上期(4月1日~9月末)の業績を上方修正しましたが、翌日の株価は5%以上下落しました。

【バンダイナムコホールディングス<7832>の決算発表前後の値動き】

バンダイナムコホールディングス<7832>の決算発表前後の値動き
画像引用:SBI証券
(2024年8月9日現在)

業績の低迷が長引くと、楽天グループ<4755>のように日経平均が上がっていても株価が低迷したままの銘柄もあります

【楽天グループ<4755>の直近10年間の値動き】

楽天グループ<4755>の直近10年間の値動き
画像引用:SBI証券
(2024年8月9日現在)

予想を外して利益が出ない株を持ち続けるリスクを考えれば、初心者は投資信託などで手堅く投資をしたほうがいいでしょう。

はじめての投資に適した商品と2つの制度

はじめての投資に適した商品は、投資信託です。新NISAやiDeCoで投資をすれば、利益の非課税など税制上のメリットを受けながら資産運用ができます。

商品:投資信託

投資信託は、初心者向けの投資に適した商品です。特にインデックスファンドは、コストが低く値動きがわかりやすいので、初心者でも始めやすいでしょう。インデックスファンドとは、日経平均株価などの指数(インデックス)に連動した運用を目指す投資信託です。大手ネット証券であれば100円から購入できます。

おすすめ銘柄について詳しく知りたい人は、円安時におすすめな投資信託の銘柄5選を確認してみましょう。

制度1:新NISA

2024年から始まった新NISAは、はじめての投資に適した制度の一つです。投資で得られた利益が非課税になり、旧NISAと異なり一生涯非課税で保有できます。

【新NISAの概要】

新NISAの概要
※上場廃止の恐れがある日本株、レバナスなどリスクの高い投資信託は除外
画像引用:金融庁

長期投資に適した銘柄が対象商品として選定されており、特につみたて投資枠は長期積立投資に適した投資信託だけを厳選しています。つみたて投資枠の対象となるインデックスファンドの平均信託報酬(投信保有時に間接的に負担する主なコスト)は、年率0.25~0.35%程度です。年率1%を超えることがめずらしくない他の投資信託と比べて、低コストで運用できます。

制度2:iDeCo

新NISAと並んでiDeCo(個人型確定拠出年金)もはじめての投資に適した制度です。iDeCoは、開設時や掛金拠出時、運用時の手数料が発生するかわりに利益の非課税と所得税・住民税の優遇が受けられます

【iDeCoの概要】

年間投資枠14万4,000~81万6,000円
最低投資金額月5,000円以上
(年間6万円以上)
非課税保有期間75歳まで
非課税保有限度額なし
投資対象商品投資信託
元本確保型(※1)
税制優遇利益の非課税
所得税や住民税の優遇
出金制限原則60歳まで出金不可
開設時手数料2,829円
口座管理料月171円~
(投資した月)
対象年齢20歳以上65歳まで
(※2)
参照:iDeCo公式サイト
※1:定期預金や生命保険
※2:会社員や公務員になった場合は20歳未満でも加入できる

ただし収入が少ない人や退職金が多い人には、向かない可能性があります。詳しくは、iDeCoは本当にやらないほうがいい?職業別のデメリットで解説しているので、iDeCoを検討している人はチェックしてみましょう。

投資信託がはじめての投資に適している理由

投資信託がはじめての投資に適している理由が3つあります。最低でも1株以上の資金が必要な株式と比べて少額から始めやすいのが特徴です。

100円から分散投資ができる

投資信託は、大手ネット証券であれば100円から分散投資ができます。例えばeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を購入した場合は、2,703銘柄(2024年7月31日時点)に分散投資が可能です。株はよほどの資金量がない限り10~20銘柄程度が限界であり、投資信託ほどの分散投資はできません。

多数の銘柄に分散投資をすることで、市場平均を大きく下回る利益しか出ないリスクを抑えられます。

\投資信託の取扱銘柄数が豊富/

忙しい人でも始めやすい

投資信託は、1日1回しか価格が変動しないため、忙しい人でも始めやすいです。例えば日本株の場合、9時~11時30分(前場)、12時30分~15時(後場)という多くの人が仕事している時間帯に値動きがあります。そのため知らない間に重要なニュースが発表され、株価が乱高下する可能性もあります。

これらを踏まえると会社員や公務員の場合、短期売買を目的にした株式投資をすることは難しいでしょう。投資信託は、長期保有が前提のため、値動きを逐一気にしていられない人に向いています。

クレカ積立に対応しているネット証券ならポイントも貯まる

大手ネット証券では、クレカ積立(クレジットカード決済による投信積立)に対応しており、ポイントが貯まります。証券会社によってポイント還元率は異なりますが、マネックス証券やauカブコム証券であれば年会費無料のカードでも1.0%以上です。

※1:2024年11月買付分から還元率変更予定。詳細はこちら
※2:信託報酬のうち楽天証券が受け取る手数料(代行手数料)が年率0.4%以上の銘柄は還元率1.0%
(2024年8月9日現在)

投資信託であればポイントを貯めながら資産運用ができるため、ポイントが貯まらない株よりもお得です。

\dカードでクレカ積立ができる/

\au PAY カードでクレカ積立ができる/

初心者が株を買って失敗した事例

ここでは、初心者が株を買って失敗した事例を2つ紹介します。あくまで個人の事例にすぎず、株で儲かっている人もいることを理解したうえでご覧ください。

株価が高いタイミングで日本株を買い暴落により評価損

株価暴落のニュース聞いて
久しぶりに証券会社の口座覗いたら
国内株損失出してた
まぁ現物だけだから気長に放置

引用:X(旧Twitter

2024年8月5日の暴落で損失になっていることから、おそらく2024年1月以降に日本株への投資を始めたものと思われます。投資信託は評価益が出ているので、この時点では投資信託だけに投資しておいたほうがリターンとしては良かったことになります。

株価暴落に耐えられず損切り

全部売却 現金化97%
後出しでカッコ悪くても、こんな相場で運用することを想定していない。だから、その時に購入した株は売却。今年は大きな損失を出した。冷静に「自分の失態を認める潔さ」それが、損切りで早いほど、利益と同じ価値がある。

歴史に残る 大暴落だね( ꒪Д꒪)ヤバ…

引用:X(旧Twitter

2024年8月5日の暴落に耐えられず、損切りしてしまった人もいました。日本株は、突然下落することが何度かあり、今回の暴落は初めての事例ではありません。日々の株価に一喜一憂して安いところで売ってしまうくらいであれば、投資信託で長期投資をしたほうがいいでしょう。

初心者が投資信託を買って成功した事例

初心者が投資信託を買って成功した事例を2つ紹介します。あくまで個人の事例にすぎず、投資信託で損をしている人もいることを理解したうえでご覧ください。

旧つみたてNISAから積み立てて直近の下落があっても購入単価の2倍

株価暴落でどひゃーしてる人多いね。

うちの積立NISAはもちろん多少下がってると思うけど、現状でも元金から2倍になってるし、投資ってなんなのか皆さん理解されてないのでは?

引用:X(旧Twitter

旧つみたてNISAから投資信託を積み立てている人は、2024年8月の急落があって含み益が減っても、購入価格の2倍程度になっています。

年初にオルカンを一括投資して株価下落があっても利益

オルカンの暴落が騒がれてますが、年初のオルカンは20,885円でしたので、まだまだ余裕です。笑

引用:X(旧Twitter

そもそも2024年8月は、日本株が極端に売られた相場だったため、米国など海外株式への投資比率が高いeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のような銘柄は、そこまで下がっていません。

初心者は株を買う前に投資信託を買ってみよう

投資初心者は、株を買う前に投資信託を買ってみましょう。株式投資を否定するわけではありませんが、初心者向けではありません。また暴落時に慌てて売ってしまうような人は、オルカンやS&P500などよく知られる投資信託を買うほうがリターンとしては高い可能性も十分に考えられます。新NISAで投資信託をコツコツと積み立てれば、非課税のメリットを受けながら少しずつ資産形成ができます。

クレカ積立に対応している大手ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券)であれば、ポイントを貯めながら投資信託の積立投資が始められるでしょう。

詳しくは、新NISAのつみたて投資におすすめの口座はどこ?をご覧ください。