2024年1月から新NISAが始まり、「成長投資枠」「つみたて投資枠」の2つを併用できるようになりました。
本記事では、新NISAの成長投資枠の活用方法に悩んでいる人向けに新NISAの成長投資枠とは何か、つみたて投資枠とどちらを優先すべきかについて解説します。
また、成長投資枠のメリットデメリットなどについて解説します。
新NISAを始めることを検討されている方は、ぜひご覧ください。
成長投資枠の活用に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
新NISAの成長投資枠とは
新NISAの成長投資枠について解説します。
成長投資枠は、株式やETFなどの個別銘柄のスポット購入向きです。
一方、つみたて投資枠は投資信託を毎月少額で積み立てていく仕組みとなっています。
成長投資枠の基本情報
成長投資枠は、投資信託だけでなく株式やETFも購入できます。
売買のタイミングや銘柄選びなど自由度が高い制度です。
【新NISA成長投資枠の基本情報】
口座 開設期間 |
期間制限なし |
---|---|
非課税 保有期間 |
無期限 |
年間投資枠 | 240万円 |
非課税保有 限度額 |
1,200万円まで |
購入 対象銘柄 |
上場株式(IPO含む)、ETF、REIT、投資信託 (※上場廃止が決定、または決定される可能性のある上場株式、高レバレッジ型の投資信託、信託期間が20年未満の投資信託、毎月分配型の投資信託は除外) |
投資方法 | スポット購入、積み立て |
備考 | 売却した分の投資枠は翌年以降に再利用できる |
活用例 | ボーナス月に20万円(年2回)を30年間積み立て=1,200万円 |
従来の一般NISAでは、非課税保有期間は5年間に限定されており、一度購入すると売却しても投資枠は復活しない仕様でした。
しかし新NISAの成長投資枠では、非課税保有期間が無期限となり売却した分は翌年の成長投資枠に再利用することが可能です。
これにより非課税投資枠を生涯にわたって活用できるようになりました。
成長投資枠は、自分の判断で株式や投信をスポット購入できると同時に、株やETF、投資信託を毎月積み立てて運用することも可能です。
つみたて投資枠の基本情報
つみたて投資枠では、金融庁の承認した投資信託のなかから選定し毎月積み立てを行い運用していきます。
【つみたて投資枠の基本情報】
口座 開設期間 |
期間制限なし |
---|---|
非課税 保有期間 |
無期限 |
年間投資枠 | 120万円(月10万円) |
非課税 保有限度額 |
1,800万円 (成長投資枠はこの内1,200万円まで) |
購入 対象銘柄 |
長期の積立分散投資に適していると金融庁が認可した投資信託 |
投資方法 | 積み立て |
備考 | 売却した分の投資枠が復活する |
活用例 | 毎月5万円を30年間積み立て=1,800万円 |
つみたて投資枠は、2023年までの旧つみたてNISAと同様に長期間にわたって資産形成することを目的としています。
長期的な資産形成には、まとまった資金で一括購入するより、少額を時間的に分散させる積立方式が有効です。
そのため、つみたて投資枠では毎月の上限額は10万円までと定められており、年間の上限額は120万円となっています。
一括でまとめて金融商品を購入できず、金融庁が承認した投資信託から選んで毎月積み立てを行い、資産を形成していく仕組みです。
成長投資枠とつみたて投資枠の違い
成長投資枠とつみたて投資枠の違いを比較すると、以下のようになります。
【成長投資枠とつみたて投資枠の違い】
成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
対象 年齢 |
18歳以上 | |
口座開設期間 | 期限なしの恒久化 | |
非課税 保有 期間 |
無期限 | |
年間 投資枠 |
240万円 | 120万円 (月10万円) |
非課税保有限度額 | 1,800万円 (うち成長投資枠は1,200万円まで) |
|
購入対象銘柄 | 上場株式、ETF、REIT、投資信託 | 金融庁が長期の積立分散投資に適していると認めた投資信託 |
投資 方法 |
スポット購入、積み立て | 毎月積み立て |
成長投資枠とつみたて投資枠は、年間投資枠や非課税保有限度額、購入対象銘柄が異なります。
成長投資枠は年間240万円、つみたて投資枠は年間120万円のため、両制度を併用すると年間最大360万円をNISAで活用可能です。
また非課税保有限度額では、つみたて投資枠が1,800万円となっており、成長投資枠の1,200万円より多くなっています。
購入対象銘柄も成長投資枠とつみたて投資枠では異なります。
つみたて投資枠では、金融庁が承認した投資信託のみが対象です。
一方、成長投資枠は、つみたて投資枠で購入できる投資信託のほかに株式やETFも対象となります。
購入対象銘柄としては、成長投資枠のほうが幅広い傾向です。
しかし上場廃止が決まった株式や「〇倍ブル」や「〇〇レバレッジ」といったデリバティブ取引を用いた投資信託には投資できません。
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新NISAの成長投資枠におすすめの投資信託の銘柄
新NISAの成長投資枠でおすすめの銘柄を紹介します。
まずはおすすめの投資信託の銘柄を5つ紹介します。
【成長投資枠でしか買えない投資信託の一例】
銘柄名 | 投資先 | コスト | トータルリターン※ |
野村-好配当 日本株式オープン |
日本の好配当株式 | 信託報酬:1.21% 信託財産留保額:0.3% |
1年:+47.91% 3年:+18.99% |
OneーOne 国内株オープン |
日本株式 | 信託報酬:1.76% 信託財産留保額:0.3% |
1年:+35.53% 3年:+14.21% |
野村-野村世界 業種別投資シリーズ (世界半導体株投資) |
世界各国の半導体関連企業 | 信託報酬:1.65% 信託財産留保額:0.3% |
1年:+106.94% 3年:+40.92% |
三菱UFJー先進国 好配当株式ファンド (年2回決算型) |
日本を含む先進国の好配当株 | 信託報酬:1.375% 信託財産留保額:0.25% |
1年:+41.54% 3年:+23.19% |
三菱UFJーeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 日本を含む先進国、新興国の株式 | 信託報酬:0.05775%以内 信託財産留保額:なし |
1年:+41.10% 3年:+18.87% |
以下で詳しく解説します。
1.野村-好配当 日本株式オープン
野村-好配当日本株式オープンは、高配当を重視し、日本株に投資する投資信託です。
愛称の「好配当ニッポン」からもわかるように、安定的な配当収入を得たいと考えている投資家の方に向いています。
また、日本の経済成長に期待し、日本株に投資したいと考えている方にも向いているといえるでしょう。
2.OneーOne 国内株オープン
「OneーOne 国内株オープン」は、日本の株式に投資する投資信託です。
マーケットの状況に応じて、成長株や割安株など、さまざまな投資スタイルを柔軟に採用することが特徴です。
これにより、長期的な資産形成を目指しつつ、市場の変化に対応できるよう設計されています。
常に市場の状況を分析し、最適な投資スタイルに切り替えていくようなアクティブな運用に魅力を感じる方に向いています。
また、成長株だけでなく、割安株など、さまざまなタイプの株式に投資することでリスクを分散したい方に向いています。
3.野村-野村世界 業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)
野村-野村世界 業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)は、世界中の半導体関連企業に投資する投資信託です。
世界各国の半導体企業に投資することで、特定の地域や企業に集中せず、リスクを分散できます。
半導体は、IoTやAIなど、様々な分野で欠かせない存在であり、今後も成長が期待されるセクターです。
成長性の高いセクターに投資したい方に向いている投資信託といえるでしょう。
4.三菱UFJー先進国 好配当株式ファンド(年2回決算型)
三菱UFJ-先進国 好配当株式ファンド(年2回決算型)は、世界主要な先進国の株式に投資し、安定的な配当収入と長期的な資産の増殖を目指す投資信託です。
将来的に高い配当が期待できる、割安な銘柄を中心に投資を行います。
三菱UFJ-先進国 好配当株式ファンド(年2回決算型)は、世界経済の成長に期待している方や
安定的な配当収入を期待している方におすすめ託です。
5.三菱UFJーeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
三菱UFJ-eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、世界中の株式に幅広く投資する投資信託です。
通称「オルカン」とも呼ばれており、最も人気ある投資信託といってもよいでしょう。
この投資信託を購入することで、世界中の主要な株式市場に投資することが可能です。
一つの国の経済状況に左右されにくく、リスクを分散できます。
世界全体の経済成長に合わせた分散投資をしたい方におすすめの投資信託といえるでしょう。
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新NISAの成長投資枠におすすめの高配当銘柄
続いては、高配当の銘柄を4つ紹介します。
配当金は、将来にわたって約束されているものではありません。
長期間安定して配当金が出せる企業かどうかが大切です。
2024年8月時点で配当利回りが4%以上、自己資本比率が60%以上の企業の一例を紹介するので参考にしてください。
【配当利回り4%以上、自己資本比率60%以上の企業の一例】
銘柄名 | 株価 | 配当利回り | 自己資本比率 (2023年12月) |
ピジョン<7956> | 1,409円 | 5.39% (2024年12月期予想) |
77.2% |
MS-Japan<6539> | 1,203円 | 4.66% (2024年3月期予想) |
95.1% |
SANKYO<6417> | 1,639.5円 | 4.88% (2024年3月期予想) |
83.3% |
藤倉コンポジット<5121> | 1,430円 | 4.90% (2024年3月期予想) |
83.6% |
1.ピジョン<7956>
ピジョンは、乳幼児用品で有名な企業です。
高配当銘柄としても注目されており、安定した配当を求める投資家から人気を集めています。
乳幼児用品は、景気に左右されにくい安定した需要が見込めるため、企業の収益も比較的安定しています。
また、ピジョンは、株主への還元を重視しており、安定した配当を継続しています。
2.MS-Japan<6539>
MS-Japanは、会計士や弁護士など、専門職の人材紹介を主な事業とする会社です。
比較的高い配当利回りを維持しており、配当収入を求める投資家にとっては魅力的です。
専門職の人材紹介というニッチな市場で一定のシェアを確保しており、安定した収益基盤を築いています。
日本社会の高齢化やデジタル化にともない、専門職の人材不足が深刻化していることから、同社の事業は今後も成長が期待できます。
3.SANKYO<6417>
SANKYOは、パチンコ・パチスロ機の製造・販売を主力とする企業です。
「フィーバー」というブランドで知られており、数多くのヒット機種を生み出しています。
パチンコ・パチスロ業界は、景気に左右されにくい安定した需要があるため、安定した収益を確保しています。
SANKYOは、株主への還元を重視しており、安定的な配当を継続しています。
現在SANKYOは、パチンコ・パチスロ機だけでなく、新規事業にも積極的に取り組んでおり、収益の多角化を進めています。
4.藤倉コンポジット<5121>
藤倉コンポジットは、複合材料(コンポジット)を専門とするメーカーです。
ゴルフシャフトや航空機部品など、さまざまな分野に高性能な複合材料を提供しています。
複合材料という特殊な分野で高い技術力を持っていることに定評があります。
藤倉コンポジットは、ゴルフ用品や航空機産業など、安定した需要が見込める分野に製品を提供しているため、収益基盤は安定しています。
再生可能エネルギーや自動車の軽量化など、成長性の高い分野への進出も積極的に行っています。
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新NISAの成長投資枠におすすめの株主優待銘柄
株主優待を提供している企業のなかには、長期的に保有した投資家にプラスで優待をつけている企業もあります。
ここでは、株主優待に力を入れている企業を紹介します。
【長期保有で株主優待が手厚くなる企業の一例】
銘柄 | 株主優待内容 |
---|---|
日本電信電話<9432> | ・100株以上でdポイント付与 ・2年以上3年未満:1,500ポイント ・5年以上6年未満:3,000ポイント ※それぞれ1回のみ |
イオンモール<8905> | ・100株保有でイオンギフトカード、カタログギフト、カーボンオフセットどれか1つ贈呈 ・1,000株以上、3年以上株式保有でイオンギフトカードを進呈 ・1,000~1,999株:イオンギフトカード2,000円 ・2,000~2,999株:イオンギフトカード4,000円 など |
ヒューリック<3003> | ・300株以上で3,000円相当のグルメカタログギフト1点 ・3年以上保有でグルメカタログギフト2点に (※2025年12月31日より2年以上に期間が変更) |
1.日本電信電話<9432>
日本電信電話(NTT)は、日本の通信業界を代表する大企業です。
固定電話やインターネット接続サービスをはじめ、近年ではモバイル通信事業やデータセンター事業など、幅広い事業を展開しています。
NTTは、安定した収益基盤を持っているため、高配当と魅力的な株主優待の両方を提供しています。
NTTは、株主への還元の一環として、dポイントを付与する株主優待を実施しています。
dポイントは、コンビニエンスストアでの買い物や、オンラインショッピングなど、幅広いシーンで利用できるため、非常に実用的な優待といえるでしょう。
2.イオンモール<8905>
イオンモールは、日本国内で最大規模のショッピングセンターを開発・運営する企業です。
全国各地に大型ショッピングモールを展開しており、私たちの生活に深く根付いています。
イオンモールは、株主への還元として、自社グループの店舗で利用できる割引券や商品券を優待として提供しています。
この優待は、イオンモールでのお買い物が好きな方にとっては非常に魅力的な特典といえるでしょう。
3.ヒューリック<3003>
ヒューリックは、東京都心を中心にオフィスビルや商業施設などを保有・運営する不動産会社です。
不動産という実物資産を保有しているため、安定した収益が見込めます。
また、ヒューリックは旧富士銀行の不動産を母体としており、長い歴史と安定した経営基盤を持っています。
ヒューリックの株主への還元としては、自社が運営するホテルや施設の利用割引券などを提供しています。
高級ホテルの宿泊や、特別な施設の利用など、普段の生活ではなかなかできない体験ができる点が魅力です。
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新NISA成長投資枠3つのメリット
成長投資枠には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
成長投資枠の主なメリットは、以下の3つです。
1.年間非課税投資枠が大きい
成長投資枠は年間の非課税投資枠が240万円と大きくなっています。
つみたて投資枠は月10万円、年間120万円までですから、投資枠は2倍です。
年間240万円までであれば、株価水準がよほど高い銘柄でない限りは国内外の株式に投資できます。
最近は、国内外の株式やETFを1株や1口など少数から定期購入するサービスを導入している証券会社も多くなっています。
株価水準の高い銘柄であっても、1株で定期購入することで成長投資枠を活用できるのでおすすめです。
【単元株の価格水準が高い銘柄の一例】
銘柄名 | 株価 | 最低購入金額(100株) |
---|---|---|
キーエンス<6861> | 6万4,700円 | 647万円 |
ファーストリテイリング<9983> | 4万1,620円 | 416万2,000円 |
ソニーグループ<6758> | 1万2,860円 | 128万6,000円 |
こうした銘柄は、まとまった資金が必要になります。
しかし単元未満株取引ができる証券会社であれば1株から購入可能です。
上記の例でいえば、キーエンス<6861>の株を1株6万4,700円(2024年4月15日時点)で購入できます。
以下では、単元未満株などの定期購入サービスを導入している証券会社を紹介します。
【各証券会社NISA口座の株式定期購入サービス導入状況】
証券会社 | 定期購入対象 | 手数料 |
---|---|---|
SBI証券 | 米国株式・ETF | 0円 |
楽天証券 | 日本株(かぶミニ) 米国株式・ETF |
0円 (※かぶミニのリアルタイム取引ではスプレッド0.22%) |
マネックス証券 | 米国株式・ETF | 購入手数料0円 |
auカブコム証券 | 日本株(プチ株) | 0円(※2024年5月までは全額キャッシュバック、6月以降は完全無料化予定) |
「成長投資枠も活用したいけれど、まとまった資金を一気に投資することに抵抗がある」という場合は、こうした定期購入サービスで1株・1口から投資を始めてみてください。
一方、単元未満株はNISA口座であれば手数料が無料の証券会社が多いのですが、通常の特定口座では売買手数料がかかる場合があるため、注意しましょう。
成長投資枠とつみたて投資枠は、合わせて1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)まで非課税で保有できます。
この枠は、売却すればその分が翌年以降に復活する点もうれしいメリットです。
例えば成長投資枠1,200万円のうち、半分の600万円を売却すれば翌年以降に600万円の枠が復活します。ただし、年間の非課税投資枠は増えないので注意しましょう。
年間非課税投資枠は、あくまでも成長投資枠が240万円、つみたて投資枠は120万円までです。
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2.投資対象が多い
成長投資枠は、つみたて投資枠より投資対象が幅広い点もメリットです。
日本株や外国株式、ETF、REITのほかに、つみたて投資枠では対象外になっている投資信託も購入できます。
そのため成長投資枠の活用のバリエーションは、以下のように豊富です。
1. 成長投資枠でもつみたて投資枠と同じ投資信託を積立てる
2. 成長投資枠でしか買えない商品を積立てる
3. 成長投資枠ではまとまった資金で運用する
つみたて投資枠でも一部のアクティブファンドは購入可能ですが、数が少ないのが現状です。
アクティブファンドと聞くとインデックスファンドと比較して「コストが高い」「運用成績が良くない」といったマイナスなイメージを持っている人も多いかもしれません。
しかし金融庁が公表している「資産運用業高度化プログレスレポート2023」を見ると、日本株式市場ではアクティブファンドのほうがインデックスファンドよりも成績の良いファンドが多いことがわかります。
【日本におけるアクティブファンドの超過リターンの勝率】
また日本株式や米国株式に投資するのもよいでしょう。
各証券会社が導入している定期購入サービスを活用すれば、日中忙しくて購入のタイミングを計れない人でも投資しやすいはずです。
3.積み立てもスポット購入もできる
成長投資枠では、積み立てもスポット購入もできる点がメリットです。
つみたて投資枠では、自分で設定したタイミングで自動購入できます。
そのため「自分で売買のタイミングを計れない」「日中忙しくて売買できない」という人に最適です。
一方、自分で購入のタイミングを見て注文を出したい人には物足りないでしょう。
成長投資枠では、つみたて投資枠と同様に自動積立もできますが、自分のタイミングで売買することも可能です。
相場が下落したときや、株式の権利落ち日などで株価が下落したときなど、自分のタイミングでスポット購入できる点は成長投資枠の大きなメリットといえるでしょう。
こうした取引であれば、短期的に利益が得られる可能性があります。
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新NISA成長投資枠のデメリット
成長投資枠のデメリットも確認しておきましょう。
成長投資枠の主なデメリットとしては、以下のようなものがあります。
1.スポット購入は売買のタイミングが自己判断になる
スポット購入は、売買のタイミングを自分で判断しなければなりません。
一度設定すれば放置していても問題ないつみたて投資枠と異なり、成長投資枠でスポット購入する場合、自分で売買のタイミングを計る必要があります。
投資経験があり、相場がある程度読める人であれば問題ないかもしれません。
しかし投資初心者や相場の上下に一喜一憂してしまうタイプの人の場合、スポット購入は不向きといえます。
投資初心者のうちは、つみたて投資枠での資産形成がおすすめです。
2.まとまった資金が必要なことがある
成長投資枠で投資する商品によっては、まとまった資金が必要な場合があります。
特に株の個別銘柄に投資したい人は注意が必要です。
自分の応援したい企業、好きな企業だけで選ぶと多くの資金が必要となる可能性があります。
例えば、小売業のニトリホールディングス<9843>の2024年4月15日終値時点の株価は、2万3,160円です。
株は、通常100株単位で売買されるため、ニトリの株を買いたい場合は231万6,000円(2万3,160円×100株)が必要になります。
成長投資枠の年間非課税投資枠は240万円ですから、これだけで枠をほぼ使い切ってしまう計算です。
「買いたい銘柄があるが資金が足りない」「一度に大きな資金を動かすことに抵抗がある」という人は、単元未満株を利用してみてください。
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新NISA成長投資枠を利用するときの注意点
成長投資枠の利用で失敗を回避するための主な注意点は、以下の3つです。
1.まとまった資金で一括購入しない
成長投資枠を利用する場合、一度にまとまった資金で一括購入することはやめておきましょう。
例えば買いたいと思ったタイミングで予算の半分を買い、その後、再度下がるようなら買い足しするなど工夫しましょう。
株式の購入タイミングは、投資に慣れておりチャートの動きを把握している人であっても読み間違えることは少なくありません。
また成長投資枠は、売却した分の投資枠が復活するものの、それは翌年からです。
売却した年は通常どおり非課税枠が減ってしまうため、急いで売り買いする必要はありません。
短期的な売買で利益を追うよりも中長期的な視点で、購入タイミングを分散させることがリスクを上手に回避するコツです。
2.SNSでの情報収集は慎重にする
投資判断をSNS中心に行っている人は、慎重に情報収集しましょう。
なぜなら自分が利益を得るために、他人に特定銘柄を過剰に勧めている人もいるからです。
あまり聞いたことのない銘柄であったり、チャートを見て値動きの激しい銘柄であったりする場合は、一度立ち止まってみましょう。
特に投資初心者が気にしたい内容は、企業の「物語」ではなく「業績」です。
投資系インフルエンサーのなかには「この企業のAI技術は、将来必ず発展するだろう」などとストーリーにして紹介する人もいます。
たしかに何十年も前にアップルやアマゾンを買っていた人は先見の明があったといえますが、そうした企業は非常にまれでしょう。
投資家が気にしなければならないのは、企業のストーリーではなく「業績」です。
業績良好の企業であれば会社は存続し、株価の上昇も期待できます。
SNSで情報収集する際は、その人の語る会社のストーリーや「絶対に値上がりする!」「株価が将来何10倍になる!」という言葉に惑わされないようにしましょう。
純粋に企業業績の推移や、現在から将来にわたる経営計画の内容を丁寧にチェックすることが大切です。
3.購入するときは「目的」を定める
自分の判断で個別銘柄へ投資する際は「目的」を定めましょう。
これは「株主優待がほしいから」「配当金を受け取るために」などと中長期での保有を前提としていても、いざ相場が下落して株価が下がると不安になって損切りしてしまう人がいるからです。
たしかに目的が「短期的な利益」でデイトレードをする場合、損切りは大切な判断となります。
しかし投資初心者が中長期的な保有を目的としている場合、相場が下落したからといって焦って売る必要はありません。
もちろん会社の業績が悪化し、存続が危ぶまれるような状況では売ったほうがいい場合もあるでしょう。
そうではなく安定した大企業の銘柄であり「株主優待」や「配当金」といった目的があるならば不安になることはありません。
特に近年は、長期的に株を保有している投資家に株主優待を手厚くしてくれる企業も増えています。
そうした銘柄を買っておくと、いざというときも慌てずに「長期で保有するから」と安心して構えられるのではないでしょうか。
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新NISA成長投資枠に関するQ&A
新NISAの成長投資枠に関する質問をまとめました。
新NISA成長投資枠で購入できる銘柄は?
成長投資枠では、国内外の株式、投資信託、国内外のETF、REIT、単元未満株などを購入できます。
金融庁が長期的な積み立てに適していると承認した投資信託のみ購入可能な、つみたて投資枠と比較すると選べる金融商品の自由度が高い点が特徴です。
一方で、上場廃止が決定している株式や信託期間が20年未満であったり毎月分配金を出したりする投信は購入できません。
デリバティブ取引を用いている「〇倍ベア」「〇倍ブル」といった銘柄も購入の対象外です。
新NISA成長投資枠の復活とは?
新NISAでは、売却することで翌年以降に投資枠が復活します。
例えば成長投資枠の非課税保有限度額は1,200万円ですが、上限まで株式を購入したあとで600万円分売却すると翌年以降に枠が600万円分復活します。
ただし年間の非課税投資枠は増えないため、注意しましょう。
成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円なので年間合計360万円までです。
枠の復活により、一生涯非課税で投資、運用ができるようになるため、資産運用の自由度が高まったといえるでしょう。
新NISA成長投資枠でおすすめの個別株は?
成長投資枠でおすすめの個別銘柄を株主優待や配当利回りのポイントから紹介します。
銘柄選びの参考にしてください。
【成長投資枠でおすすめの銘柄一例】
銘柄 | ポイント |
---|---|
KDDI<9433> | 日本の総合通信会社。最低購入金額は43万円程度で1株配当が140円。配当利回りは3.26%。 |
コカ・コーラカンパニー< | KO>米国の飲料会社、コカ・コーラは世界的に有名。最低購入金額は58米ドル前後(1米ドル150円換算で約8,700円前後)で、予定配当利回りは3.30%。 |
明治HD<2269> | 「カール」や「きのこの山」などが有名な製菓会社。最低購入金額は、34万円程度。100株以上で1,500円相当、200株以上で2,500円相当の自社製品がもらえる |
日本電信電話<9432> | 100株以上保有でdポイントが贈呈される。最低購入金額は、1万8,000円程度。2年以上3年未満の保有で1,500ポイント、5年以上6年未満で3,000ポイント(それぞれ1回のみ) |
まとめ
本記事では、新NISAの成長投資枠の概要とおすすめの銘柄を紹介しました。
投資は、将来の資産形成のための一つの手段ですが、同時にリスクをともないます。
投資は自己責任です。
楽観的な見通しだけでなく、リスクについても十分に理解することが重要です。
また、 短期的な株価の変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を行うことが大切です。
これらの点を踏まえ、ご自身で投資計画を立て、今回紹介した銘柄を検討してみてください。
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