ロボアドバイザーは、投資初心者から経験者まで幅広く利用されています。手軽に資産運用ができると人気を集めていますが、ロボアドバイザーの利用には「手数料」がかかることが一般的です。
しかし、松井証券が提供する「投信工房」は、なんと手数料が無料で利用できます。なかには「手数料が無料って本当?」「他社のロボアドバイザーと何が違うの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。
本記事では、松井証券のロボアドバイザー「投信工房」の特徴やメリット・デメリットを解説しながら他社のロボアドバイザーとの違いやどんな人に向いているのかについて詳しく紹介します。
この記事を読めば、ロボアドバイザー選びに悩んでいる方が「自分にとってベストな選択肢」を見つけられるはずです。
\手数料が無料のロボアド「投信工房」/
松井証券のロボアドバイザー「投信工房」とは?
投資を始める際に「どの銘柄を買えばいいのかわからない」「自分に合った投資スタイルが知りたい」と悩む人は多いのではないでしょうか。松井証券の「投信工房」は、そんな投資初心者や資産運用を効率化したい人のために開発されたロボアドバイザー型の資産運用支援サービスです。
ロボアドバイザーというと「完全自動で運用できる」というイメージが強いですが、「投信工房」は少し違います。「投信工房」は、助言型のロボアドバイザーでAIが最適なポートフォリオ(資産配分)を提案するものの、実際の投資判断や売買はユーザー自身が行う仕組みです。
そのため投資の自由度が高く、かつ手数料が無料(信託報酬のみ)という圧倒的なコストメリットがあります。
投信工房の基本概要
「投信工房」は、ユーザーのリスク許容度や投資目的に応じて最適なポートフォリオを提案し、リバランス(資産配分の調整)をサポートするロボアドバイザーです。
主な特徴は、以下の通りです。
✔ 手数料無料(信託報酬のみで利用可能)
✔ 少額(100円)から投資可能
✔ 質問に答えるだけで最適なポートフォリを提案してくれる
✔ リバランスのアドバイス機能あり
「無料(信託報酬のみ)」とは?
投信工房の最大の特徴は「利用手数料が無料」という点です。他社のロボアドバイザーは、運用資産の0.6~1.1%程度の手数料が毎年かかりますが、「投信工房」は管理などの費用が一切かかりません。
ただし「信託報酬」というコストはかかります。信託報酬とは、投資信託やETFを運用するための費用でファンドの運用会社や信託銀行に支払われるコストです。「投信工房」は、主に投資信託で運用するため、信託報酬(年0.1~0.3%程度)は発生します。
とはいえ、これは投資信託を購入する際に必ずかかるコストであり、投資一任型ロボアドバイザー(SBIラップやWealthNaviなど)の手数料(0.66~1.1%)と比べると圧倒的に低コストです。
「投信工房」は助言型ロボアドバイザー
ロボアドバイザーには、大きく分けて「投資一任型」と「助言型」の2種類があります。松井証券の「投信工房」は、後者の助言型ロボアドバイザーに分類されます。
《投資一任型と助言型の違い》
項目 | 投資一任型ロボアド | 助言型ロボアド(投信工房) |
運用の手間 | 完全おまかせ運用(入金後は自動で資産運用) | ポートフォリオの提案は受けるが、売買は自分で実施 |
投資対象 | 国内外のETF・投資信託 | 松井証券が選定した国内外の国内外のETF・投資信託 |
手数料 | 年間0.66~1.1%の手数料が発生 | 無料(信託報酬のみ) |
リバランス | 自動で定期的に調整 | リバランスのタイミングをアドバイス(自動リバランス設定もできる) |
「投資一任型」は、口座に入金するだけでロボアドバイザーが自動で投資を行い、リバランス(資産配分の調整)まですべて自動で実行します。
一方、「投信工房」はリバランスのアドバイスを提供しますが、実際の売買は投資家自身が行うため、ある程度の手間はかかるものの、その分手数料を大幅に抑えることができるのが最大のメリットです。
ただし「投信工房」には、自動積立や自動リバランス設定もできるため、一般的な助言型だけでなく一部一任型のようなシステムもあります。
投信工房のリバランスとは?
投資をしていると資産配分(ポートフォリオ)は、時間が経つにつれて崩れてしまうことがあります。
例えば最初は「株式50%、債券50%」で運用していたとしても株価が上がると「株式60%、債券40%」など偏りが出てしまいます。
このバランスを元の適切な比率に戻す作業が「リバランス」です。リバランスを行わないと以下のようなリスクが発生します。
✔ リスクが高まりすぎる(株式が増えすぎると、下落したときのダメージが大きくなる)
✔ 想定していたリターンを得られなくなる(バランスが崩れることで最適な運用ができなくなる)
そのため定期的なリバランスは、資産運用において非常に重要です。
「投信工房」では、ユーザーにリバランスの必要なタイミングをアドバイスしてくれたり、設定すると自動でリバランスを実行してくれたりします。
・一定の割合以上、資産配分が崩れたときに通知
・ワンクリックでポートフォリオのバランスを整える仕組み
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松井証券のロボアドバイザー:投信工房のメリット
松井証券のロボアドバイザー「投信工房」には、コストの低さやカスタマイズ性の高さなど他社のロボアドバイザーにはない強みがあります。
特に「手数料無料」「自由度の高いポートフォリオ構築」「少額から始められる」といった点は、投資初心者から上級者まで幅広く魅力を感じるポイントといえるでしょう。
ただなかには「ロボアドバイザーを選ぶなら他社としっかり比較して決めたい」という人もいるかもしれません。そこでここからは「投信工房」の強みを10社以上のロボアドバイザーと比較しながら詳しく解説していきます。
圧倒的なコストパフォーマンス
一般的なロボアドバイザーでは、運用額に応じて年間0.66~1.1%の手数料が発生しますが、「投信工房」は手数料がゼロ(信託報酬のみ)で利用できます。
このコストの違いが、長期運用になればなるほど大きな差を生むことになります。以下に、主要ロボアドバイザーとの比較をまとめました。
【主要ロボアドバイザー比較表】
証券会社 | サービス名 | 手数料 (年間税込) |
最低投資金額 | 最低積立金額 | 投資対象 | NISA対応 | リスク許容度 |
松井証券 | 投信工房 | 無料(信託報酬のみ) | 100円 | 100円 | 国内外の投資信託、株式、国債など | 〇 | 5段階で選択可 |
SBI証券 | SBIラップ(AI投資コース) | 0.66% | 1万円 | 1,000円 | 国内外の投資信託、株式、国債など | × | AIが自動でリスクを調整 |
楽天証券 | 楽ラップ | 固定報酬型:0.715% 成功報酬併用型:0.605%+5.5% |
1万円 | 1万円 | 国内外の投資信託、株式、国債など | × | 9段階で選択可 |
WealthNavi | WealthNavi | 1.1% | 1万円 | 1万円 | ETFや債券、金、不動産など | ◯ | 5段階で選択可 |
THEO | THEO | 1.1% | 1万円 | 1万円 | 海外ETF | ◯ (THEO投信と組み合わせ) |
約231パターンの自動設定 |
マネックス証券 | ON COMPASS | 0.9775%程度 | 1万円 | 1,000円 | 国内・海外ETF | ◯ | 8段階で選択可 |
大和証券 | ダイワファンドラップオンライン | 1.1% | 1万円 | 1万円 | 投資信託 | × | 7段階で選択可 |
岡三証券 | 投信ロボ | – | 100円 | 1,000円 | 投資信託 | × | 3段階のリスク設定 |
三菱UFJ eスマート証券 | 信用ロボアド | 11%(成功報酬) | 100万円 | – | 日本株 | × | 2種類の運用コース、5種類の資金帯を組み合わせる |
運用成績の比較(過去5年間の平均リターン)
ロボアドバイザーを選ぶ際には、手数料の安さだけでなく運用成績(リターン)も重要です。投信工房は「カスタマイズ性が高い」ため、運用成績はユーザーの選択で変わる点には注意しましょう。
ロボアドバイザーのリターンは、市場環境や運用方針の変更により変動するため、実際の運用成績は異なる可能性があります。
また「投信工房」は、ユーザー自身がポートフォリオをカスタマイズできるため、運用成績は個々の設定によって異なります。投資を行う際は、最新の情報を確認し、自身の投資目的やリスク許容度に応じた判断を行ってください。
自由度の高いポートフォリオ構築が可能
「投信工房」は、一般的なロボアドバイザーとは異なり、投資家自身がポートフォリオを自由にカスタマイズできる点が大きな特徴です。
通常のロボアドバイザーは、最初の診断結果に基づいてAIが自動で資産配分を決定し、ユーザーが細かく調整することはできません。
しかし「投信工房」では、以下のような柔軟な投資設定が可能です。
✔ AIが提案するポートフォリオをそのまま採用
✔ ユーザーがリスク許容度に応じてポートフォリオを微調整
✔ 投資対象の投資信託をカスタマイズして、自分だけの運用戦略を作成
ポートフォリオのカスタマイズ
「投信工房」では、リスク許容度を5段階で設定可能で、それに応じて推奨ポートフォリオが変わります。自分の投資スタイルに合わせて自由に資産配分を調整できるため、投資経験者はもちろん、これから投資を始める初心者にも適したサービスとなっています。
またカスタマイズの自由度が高いことに加えて運用中のリバランスのアドバイスや自動リバランス設定もできるため、投資知識がなくても最適なバランスを維持しながら運用を続けることが可能です。
少額から投資を始められる
「投信工房」は、100円から投資を始められるため、投資初心者にとってハードルが非常に低いのが特徴です。一般的なロボアドバイザーでは「最低投資金額が10万円~」「毎月1万円以上の積み立てが必要」などの条件があることも少なくありません。
しかし「投信工房」であればワンコインレベルの資金から運用をスタートできます。
✔ 「まずは試してみたい」という初心者に最適
✔ まとまった資金がなくても長期的な資産形成が可能
✔ つみたてNISAと組み合わせて税制優遇を受けながらコツコツと投資ができる
特に「投信工房」は、NISAにも対応しているため、少額投資でも税制優遇を受けながら運用が可能です。
✔ 「投資に興味はあるけど、いきなり大きな金額を運用するのは怖い」
✔ 「コツコツ積立投資をしたい」
こういったニーズを持つ人にとって「投信工房」は、まさにピッタリの選択肢といえるでしょう。
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投信工房のデメリット
「投信工房」は、手数料無料・自由度の高さ・少額からの投資が可能といった大きなメリットを持つロボアドバイザーです。しかし他社のロボアドバイザーにはない注意点やデメリットもあります。
ここでは、利用前に知っておくべき「投信工房のデメリット」について詳しく解説します。
税金最適化サービスに未対応
他社の一部ロボアドバイザーで導入されている「税金最適化サービス(タックスロス・ハーベスティング)」には対応していません。これは、評価損が出ている資産を一時的に売却して損失を確定し、将来の利益と相殺することで税負担を軽減する手法です。
たとえば、年間20万円の利益がある一方で、10万円の含み損がある場合、損失を確定させることで課税対象を10万円に抑えることができます。
ロボアドが自動でこれを行うことで、投資家の税金負担を最小限に抑えることが可能になりますが、「投信工房」ではこの機能が提供されていないため、投資家自身で損益の管理や売却判断を行う必要があります。
税金対策も含めて運用を一任したいという投資家には、やや不向きといえるでしょう。
短期投資には不向き
「投信工房」は長期的な資産形成を目的としたロボアドバイザーであり、短期的な売買による利益を狙う投資スタイルには不向きです。
その理由の一つは、投資信託を中心とした運用であること。投資信託は即時売買ができず、注文から受渡しまでに数日かかるため、株式のように短期的な価格変動を捉えることが難しいです。
また、ロボアドは長期のリスク分散を前提としたポートフォリオを提案するため、相場の短期的な動きを見て取引するためには作られていません。さらに、短期間でリターンを求めようとすると、手数料や信託報酬といったコストがリターンを圧迫する可能性もあります。
そのため、相場に応じたスピーディーな判断や頻繁な売買を求める短期投資家にとっては、投信工房の仕組みはやや制約が多く、不利となるケースが多いです。
運用商品の自由度が高いため、知識ゼロの人にはやや難易度が高い
投信工房は、ロボアドバイザーでありながら「自分で考えて決められる自由度」が特徴です。具体的には、ポートフォリオの提案を受けた後、それをもとに自分で商品を選び、投資割合や積立設定を細かく調整できます。
これは投資経験がある人にとっては大きなメリットですが、投資初心者や「完全おまかせ型」を望む人には難しく感じるポイントです。
たとえば、提案された投資信託をそのまま購入すればいいのか、別の商品に変えてもいいのかといった判断が必要で、専門用語や商品特性の理解も求められます。
また、リスク許容度の診断結果に基づく提案も最終的には自分で判断する必要があり、投資に対するある程度の知識と意思決定力が求められます。完全自動運用を期待している場合は、やや負担に感じることがあるかもしれません。
リスク許容度に対する細かなカスタマイズがやや限定的
「投信工房」では、6つの簡単な質問に答えることでユーザーのリスク許容度を診断し、それに応じた資産配分(ポートフォリオ)を提案してくれます。
ただし、この診断に基づくポートフォリオはあくまで標準的な構成であり、より細かいカスタマイズは難しいです。たとえば、「米国株式を多めにしたい」「新興国債券は避けたい」「REITを抜きたい」といった細かな希望には対応していません。
診断結果をもとに商品を手動で差し替えることはできますが、それには各商品の性質やリスクの理解が必要で、初心者にとってはハードルが高くなります。また、リスクの再診断も任意で手動となるため、ライフスタイルや市場状況の変化に応じて自動でポートフォリオが最適化される機能もありません。
このため、柔軟性はあるものの、細やかなリスク調整を望むユーザーには物足りなさを感じる可能性があります。
松井証券のロボアドバイザーが向いている人
「投信工房」は、他社のロボアドバイザーと比較して手数料が無料でポートフォリオの自由度が高い点が特徴です。しかしどんな人に向いていてどんな人には向かないのでしょうか。
ここでは、具体的な利用シーンやユーザーの属性を挙げながら、どのような人に「投信工房」が適しているのかを解説します。
コストを徹底的に抑えたい人
投資において長期的なコスト削減は、リターンに直結します。「投信工房」は、ロボアドバイザーとしては異例の「手数料無料(信託報酬のみ)」というメリットがあり、ランニングコストを最小限に抑えながら資産運用をしたい人に最適です。
✔ 「つみたてNISA」を活用しながら長期運用を考えている人
✔ 資産形成を始めたいが、毎月の積立負担を極力減らしたい人
✔ 投資の知識があり、手数料がかかる投資一任型のロボアドバイザーを避けたい人
例えば同じ100万円を10年間運用した場合、WealthNaviやTHEOでは年間1%程度の手数料が発生し、10年で約10万円以上のコストがかかります。しかし「投信工房」の場合、かかる費用は選択したファンドの信託報酬のみです。
少しでも運用コストを削減し、投資の利益を最大化したい人には、大きなメリットとなるでしょう。
ある程度、自分で投資をコントロールしたい人
一般的なロボアドバイザーは、完全おまかせ型のサービスが多い傾向です。
しかし「投信工房」は、助言型ロボアドバイザーのため、ユーザーが最終的な投資判断を行います。そのため「完全におまかせするのは不安」「ある程度は自分でコントロールしたい」という人には最適です。
✔ ポートフォリオの最適化を自分で考えたい人
✔ 資産運用に興味があり、少しずつ勉強しながら実践したい
✔ 完全放置よりもある程度は自分の考えで運用したい人
「投信工房」は、5段階のリスク許容度を選択できるため、「リスクを抑えた運用をしたい」「少しリスクを取ってリターンを狙いたい」といったニーズに合わせたポートフォリオを構築できます。
「完全自動運用では物足りない」と感じる人にとっては、自由度の高さが魅力となるでしょう。
少額から資産運用を始めたい初心者
「投信工房」は、最低100円から投資できるため、初心者でも気軽に始められる点が特徴です。他社のロボアドバイザーでは、最低投資額が1万~10万円などと設定されていることも少なくありません。
しかし「投信工房」であれば、ワンコイン程度からでも投資を始められるため、リスクを抑えながら資産運用を体験したい人に最適です。
✔ 投資に興味はあるが、まずは少額で試してみたい20代の新社会人
✔ 家計管理をしながらコツコツと投資をしたい主婦・主夫
✔ 少額投資を続けながら、資産運用の勉強をしたい大学生
「とりあえず試しにやってみる」というスタンスでも、100円から投資できるため、ハードルが非常に低いのが魅力です。
またNISAにも対応しているため、少額でスタートしながら長期的な資産形成を目指すこともできます。
NISAを活用して投資をしたい人
「投信工房」は、NISAの成長投資枠で運用が可能なため、税制優遇を受けながら積立投資をしたい人に適しています。新NISAに対応したモデルポートフォリオ「成長投資コース」を新設し、信託報酬が最大年率0.16%(税込)と低コストで提供されています。
✔ 長期的な資産形成を考えている30代のサラリーマンや公務員
✔ 将来の教育資金や老後資金を積み立てながら準備したい人
✔ NISAを活用しながら手堅い運用をしたい人
NISAの対象商品は金融庁が厳選した長期向けの投資信託やETFに限られているため、無駄なコストをかけずに、安心して長期運用ができるのもメリットの一つです。「投信工房」を活用することで税制メリットを受けながら、堅実に資産を増やすことが期待できます。
「投信工房」は、主に以下のような人に最適なロボアドバイザーです。
・とにかくコストを抑えたい人
・自分で運用をコントロールしたい人
・少額から投資を始めたい人
・NISAを活用したい人
一方で、以下のような人はWealthNaviやTHEOのような他社のロボアドバイザーのほうが適している可能性があります。
・完全におまかせ運用を希望する人
・海外ETFを活用したい人
利用目的や投資スタイルによって、最適なロボアドバイザーを選ぶことが大切です。自分の投資方針に合った選択をすることで、より効果的な資産運用が期待できるでしょう。
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