オールカントリーとS&P500は両方買うべき?投資割合や運用実績を比較

オールカントリーとS&P500を両方買ったとしても、全体の60%以上は米国株に投資することになります。投資先の上位5社は、全く同じ銘柄になってしまうため、分散投資を考えているのであれば別の投資信託を検討したほうがいいでしょう(2024年7月末時点)。

この記事では、オールカントリーとS&P500は両方買うべきなのか、双方の投資割合や運用実績を比較しつつ解説します。

オールカントリーとS&P500以外で検討に値する投資信託も紹介するので、2本以上の投資信託を買いたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

  1. オールカントリーとS&P500を比較【両方買うべき?】
    1. 運用実績(リターン):S&P500のほうが高い
    2. 信託報酬(主な運用コスト):オールカントリーのほうが低い
    3. 投資先の国や銘柄:オールカントリーのほうが多く分散している
  2. オールカントリーとS&P500を両方買ってもあまり意味がない理由
    1. 結局全体の60%以上は米国株に投資することになる
    2. 投資先の上位5社はどちらも全く同じ銘柄
    3. どちらも大きなリターンを狙う商品ではない
  3. オールカントリーやS&P500以外で2本目として検討に値する投資信託
    1. 日経平均高配当利回り株ファンド
    2. eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
    3. iTrustインド株式
  4. オールカントリーとS&P500は両方買ってもいいが「買うべき」とまではいえない

オールカントリーとS&P500を比較【両方買うべき?】

ここでは、オールカントリーとS&P500のなかで最も純資産総額が大きいeMAXIS Slimの2銘柄を例に比較します。

【オールカントリーとS&P500の比較】

eMAXIS Slim 全世界株式
(オール・カントリー)
eMAXIS Slim 米国株式
(S&P500)
運用実績
(直近5年のリターン)
+128.00%+164.14%
信託報酬
(主な運用コスト)
年率0.05775%年率0.09372%
投資先の
国や銘柄
47の国や地域
2,703銘柄
米国のみ
503銘柄
参照:三菱UFJアセットマネジメント
(2024年9月6日現在、投資先の銘柄数は2024年7月末時点)

運用実績(リターン):S&P500のほうが高い

運用実績(リターン)は、オールカントリーよりもS&P500のほうが高いです。世界経済の中心は、米国となっているため、よほどのことがない限りS&P500のほうが高いリターンを見込めるでしょう。

【オールカントリーとS&P500の運用実績(リターン)】

eMAXIS Slim
全世界株式
(オール・カントリー)
eMAXIS Slim
米国株式
(S&P500)
+128.00% +164.14%
参照:三菱UFJアセットマネジメント
(2024年9月6日現在)

ただし米国株が崩れて他の国の株価が上がる状況になれば、オールカントリーのほうが高いリターンを出す可能性もあります。

信託報酬(主な運用コスト):オールカントリーのほうが低い

信託報酬(主な運用コスト)は、オールカントリーのほうが低いです。

【オールカントリーとS&P500の信託報酬】

eMAXIS Slim
全世界株式
(オール・カントリー)
eMAXIS Slim
米国株式
(S&P500)
年率0.05775% 年率0.09372%
参照:三菱UFJアセットマネジメント
(2024年9月6日現在)

信託報酬とは、投資信託の保有中に発生する主な運用コストです。投資信託の価格(基準価額)に反映される形で、間接的に負担しています。オールカントリーとS&P500のどちらも信託報酬は低いので、コストの差を気にする必要はないでしょう。

投資先の国や銘柄:オールカントリーのほうが多く分散している

投資先の国や銘柄は、オールカントリーのほうが多いです。分散投資の観点で比較すれば、オールカントリーのほうが分散しています。

eMAXIS Slim
全世界株式
(オール・カントリー)
eMAXIS Slim
米国株式
(S&P500)
投資先の
国や銘柄
47の国や地域
2,703銘柄
米国のみ503銘柄
主な投資先と投資割合1位Apple:4.2%Apple:6.7%
2位Microsoft:3.9%Microsoft:6.7%
3位NVIDIA:3.4%NVIDIA:5.4%
4位Amazon.com:2.2%Amazon.com:3.6%
5位Alphabet:1.7%
(Google)
Alphabet:2.6%
(Google)
上位5社の
投資割合
15.4%25%
参照:三菱UFJアセットマネジメント
(2024年7月末時点)

オールカントリーとS&P500を両方買ってもあまり意味がない理由

投資家によって意見が異なる部分もありますが、投資割合や商品の性質を考えればオールカントリーとS&P500を両方買う意味はあまりないです。

オールカントリーの主な投資先が米国から他の国にシフトすれば多少の意味はあります。しかし米国以外の株価が成長すると考えるのであれば、最初からオールカントリーだけを買えばいいでしょう。

結局全体の60%以上は米国株に投資することになる

オールカントリーですら全体の60%以上を米国株に投資しているため、両方買っても米国株の投資割合は60%以上になってしまいます。

【オールカントリーの主な投資先(国・地域)】

米国62.7%
日本5.4%
イギリス3.3%
カナダ2.6%
フランス2.5%
参照:三菱UFJアセットマネジメント
(2024年7月末時点)

オールカントリーは、株式の価値(時価総額)に基づいて投資割合を決めているため、米国が世界経済の中心であり続ける限り、投資先が米国に偏る状況は変わりません。分散投資をしたい場合は、オールカントリーだけで十分であり、米国株だけに投資したいのであればS&P500で十分です。

投資先の上位5社はどちらも全く同じ銘柄

オールカントリーとS&P500の投資先上位5社は、投資割合こそ違うものの全く同じ銘柄です。

【投資先の上位5社】

eMAXIS Slim
全世界株式
(オール・カントリー)
eMAXIS Slim
米国株式
(S&P500)
1位Apple:4.2%Apple:6.7%
2位Microsoft:3.9%Microsoft:6.7%
3位NVIDIA:3.4%NVIDIA:5.4%
4位Amazon.com:2.2%Amazon.com:3.6%
5位Alphabet:1.7%
(Google)
Alphabet:2.6%
(Google)
参照:三菱UFJアセットマネジメント
(2024年7月末時点)

AppleやMicrosoftなどの米国企業は、米国以外の主要企業と比較しても株式の価値(時価総額)が大きいため、オールカントリーでも主な投資先に選ばれます。米国が経済の中心であり続ける限り似たような銘柄を買うことになるため、オールカントリーとS&P500の両方を買ったとしても大した分散にはなりません。

どちらも大きなリターンを狙う商品ではない

オールカントリーとS&P500は、どちらも株価指数に連動した運用を目指すインデックスファンドです。日経平均株価やS&P500をはじめとした株価指数(インデックス)は、株式市場全体の平均的な値動きを反映しているに過ぎません。そのため株価指数に連動した運用を目指すオールカントリーとS&P500の両方を買ったとしても、平均的なリターンしか見込めないでしょう。

大きなリターンを求めるのであれば、どちらか1つだけ買って残りは個別株やアクティブファンドを買うほうが賢明です。アクティブファンドは、株価指数を上回る運用を目指しているため、大きなリターンが得られる可能性があります。

オールカントリーやS&P500以外で2本目として検討に値する投資信託

オールカントリーとS&P500の両方を買うくらいなら、どちらか1本だけにして2本目は別の投資信託を検討してみましょう。ただしあくまでも“検討に値する”という話なので、無理に増やす必要はありません。そのため「オルカンまたはS&P500だけでいい」と思う人は、1本買えば十分でしょう。

投資信託の保有本数について悩んでいる人は、投資信託を複数所有するメリット・デメリットとおすすめの組み合わせを参考にしてください。

日経平均高配当利回り株ファンド

日経平均高配当利回り株ファンドは、日経平均採用銘柄のなかから配当が高い株式を選んで投資する投資信託です。オールカントリーでも日本への投資割合は5~6%程度にとどまるため、日本株を買わない人や持っていない人であれば、分散投資の一つとして一考の余地があります

参照:三菱UFJアセットマネジメント
(2024年9月6日現在、投資先の銘柄数は2024年7月末時点)

直近3年のリターンでは、オールカントリーやS&P500を上回っています。日本株に投資する投資信託に興味がある人は、購入を検討してみましょう。

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eMAXIS Slim 新興国株式インデックス

eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは、中国やインドなどの新興国株に投資するインデックスファンドです。オールカントリーでも新興国への投資割合は10%程度にとどまっているため、eMAXIS Slim 新興国株式インデックスを組み合わせることで新興国株への投資割合を増やせます

参照:三菱UFJアセットマネジメント
(2024年9月6日現在、投資先の銘柄数は2024年7月末時点)

ただし主な投資先の中国株が軟調なため、直近のリターンはオールカントリーやS&P500に劣ります。新興国への投資割合を増やしたい人は、購入を検討してみましょう。

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iTrustインド株式

iTrustインド株式は、インド株に投資するアクティブファンドです。インドは、経済成長率が高いことから米国株などと比べて株価も好調であり、直近のリターンはオルカンやS&P500を上回っています

参照:ピクテ・ジャパン三菱UFJアセットマネジメント
(2024年9月6日現在、投資先の銘柄数は2024年7月末時点)

インドは、インフラ整備の不足や若年失業率の高さなどの課題があるものの、経済成長への期待感で株価が上昇しています。経済成長が期待できるインドに投資したい人は、購入を検討してみましょう。

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インド株について詳しく知りたい人はこちら
インド株のおすすめ投資信託を紹介|将来性がある理由も説明

オールカントリーとS&P500は両方買ってもいいが「買うべき」とまではいえない

どうしてもオールカントリーとS&P500の両方を買いたいのであれば止めはしませんが、買うべきとはいえません。米国が経済の中心であり続ける可能性は高く、現在の状況が大きく変わらない限り両方買っても投資先の60%以上は米国株です。米国以外の株が成長すると考えるのであればS&P500を買う必要はありませんし、引き続き米国が世界経済をけん引すると考えるならオールカントリーは不要です。

2本以上買うつもりであれば、オールカントリーまたはS&P500のどちらかを選び、もう1本は他の銘柄を購入したほうが投資先の分散になります。リターンを重視するなら「S&P500」、投資先の分散を重視するなら「オールカントリー」を選びましょう。

ネット証券であればこの記事で紹介したeMAXIS Slimなど低コストで人気のある銘柄や、オールカントリー、S&P500以外の投資信託を多数取り扱っています。豊富な選択肢から自分に合う商品を選びたい場合は、おすすめのネット証券で投資信託を購入してみましょう。

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