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オールカントリーとS&P500は両方買うべき?投資割合や運用実績を比較

オールカントリーとS&P500は両方買うべき?投資割合や運用実績を比較 証券

投資を始めようと人気の投資信託を調べたとき、多くの人が「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の2つにたどり着きます。

世界中に分散投資できる「オールカントリー」の安心感も、成長著しい米国株に集中投資できる「S&P500」の期待感も、どちらも魅力的です。そして、多くの初心者がこう考えます。

「いっそのこと、両方買ってしまえばいいのでは?」

この記事では、そんな投資初心者が抱える疑問に対し、「両方買う」ことのメリット・デメリットから、2つのファンドの「中身の重なり」という重要な事実までを解説します。

最後まで読めば、あなたにとっての最適な答えが明確になり、自信を持って投資の第一歩を踏み出せるようになるでしょう。

【結論】オールカントリーとS&P500、基本的には「どちらか1本」で十分

結論から言うと、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、多くの人にとって基本的には「どちらか1本」を選べば十分です。

なぜなら、この2つの投資信託は、投資している国や銘柄が大きく重なっている(重複している)からです。

例えるなら、「世界一周旅行ツアー(オールカントリー)」と、「そのツアーの旅程の半分以上を占めるアメリカ滞在プラン(S&P500)」を同時に申し込むようなものです。

両方申し込むと、旅行期間のほとんどをアメリカで過ごすことになり、他の国を巡る時間が少なくなってしまいます。

この記事では、まずこの「重なり」の事実を詳しく解説し、その上で、あなたの投資スタイルに合わせた最適な選び方を提案していきます。

【大前提】オールカントリーとS&P500の「中身」を2分でおさらい

項目 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
投資対象 全世界の株式 米国の主要500社
銘柄数 約3,000銘柄 約500銘柄
分散性 高い(約50カ国に分散) 低い(米国に集中)
投資スタイル 世界経済全体の成長に期待 米国経済の成長に期待

※2025年6月24日時点

どちらかを選ぶ、あるいは両方買うかを判断するためには、まずこの2つの投資信託がそれぞれ「何に投資しているのか」という「中身」を知る必要があります。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とは

通称「オルカン」とも呼ばれるこの商品は、その名の通り、日本を含む先進国や新興国など、全世界の株式市場にまるごと投資することを目指す投資信託です。

これ1本買うだけで、世界中の名だたる大企業から成長が期待される新興国の企業まで、約3,000社の株を少しずつ買ったのと同じ効果が得られます。

特定の国や地域に偏らず、世界全体の経済成長の恩恵を受けたいと考える方に適した、「分散投資の王道」ファンドです。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とは?

これは、現代の経済を牽引するアメリカを代表する、約500社の優良企業にまとめて投資する投資信託です。

アップル、マイクロソフト、アマゾンといった、私たちの生活に欠かせない世界的な大企業が名を連ねています。

「これからの世界経済も、結局はアメリカが中心だ」と、米国の力強い成長を信じて、その恩恵をしっかり受けたいと考える方に適した、人気・実績ともにトップクラスのファンドです。

「両方買いは意味がない」と言われる最大の理由、“中身の重なり”とは?

なぜ「両方買いは意味がない」と多くの専門家が言うのか。

その最大の理由は、「2つのファンドの中身が大きく重なっている(重複している)」からです。

実は、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の構成の約6割は、アメリカの株式で占められています。

つまり、「オールカントリー」を1本買うだけで、すでに投資額の半分以上をアメリカに、そして「S&P500」を構成するような優良企業に投資していることになるのです。

先ほどの「世界一周旅行ツアー」のたとえで言えば、まさにツアー内容の6割がアメリカ観光で占められている、ということです。

そこに、さらに「アメリカ観光集中プラン」を追加しても、新たな国(=多様な投資先)が増えるわけではなく、アメリカでの滞在が長くなるだけ、というわけです。

この「重なり」は、両ファンドの具体的な投資先(組入上位銘柄)を、国や比率と合わせて見ると、さらに一目瞭然です。

▼eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の組入上位10銘柄

順位 組入銘柄 国名/地域名 比率
1位 MICROSOFT CORP 米国 3.9%
2位 APPLE INC 米国 3.8%
3位 NVIDIA CORP 米国 3.7%
4位 AMAZON.COM INC 米国 2.2%
5位 META PLATFORMS INC-CLASS A 米国 1.4%
6位 ALPHABET INC-CL A 米国 1.4%
7位 ALPHABET INC-CL C 米国 1.2%
8位 ELI LILLY & CO 米国 0.9%
9位 TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC 台湾 0.9%
10位 BROADCOM INC 米国 0.8%

※2025年7月20日時点

▼eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の組入上位10銘柄

順位 組入銘柄 国名/地域名 比率
1位 MICROSOFT CORP 米国 6.70%
2位 NVIDIA CORP 米国 6.70%
3位 APPLE INC 米国 5.90%
4位 AMAZON.COM INC 米国 3.80%
5位 META PLATFORMS INC-CLASS A 米国 2.80%
6位 BROADCOM INC 米国 2.20%
7位 ALPHABET INC-CL A 米国 2.00%
8位 TESLA INC 米国 2.00%
9位 BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B 米国 1.80%
10位 ALPHABET INC-CL C 米国 1.60%

※2025年7月20日時点

2つの表を見比べると、「オールカントリー」という名前でありながら、組入上位10社のうち9社がアメリカ企業であり、S&P500の上位銘柄とほぼ同じであることがわかります。

つまり、オールカントリーに加えてS&P500を買い増すことは、結局これらの巨大ハイテク企業への投資比率をさらに高めることに他ならないのです。

この「重なり」の事実こそが、「両方買いは分散投資の観点ではあまり意味がない」と言われる核心です。

分散投資とは?

分散投資とは、投資先を一つに絞らず、複数の異なる資産に分けて投資する手法のことです。「卵を一つのカゴに盛るな」という投資の格言で知られています。

もし、一つのカゴを落としてしまうと全ての卵が割れてしまいますが、複数のカゴに分けておけば、一つのカゴを落としても他のカゴの卵は無事です。

投資も同じで、1社の株だけに投資すると、その会社の業績が悪くなった場合に大きな損失を被る可能性があります。しかし、複数の国や様々な業種の会社に投資を分けておくことで、全体のリスクを抑えることができます。

それでも「両方買う」メリット・デメリット

「基本的にはどちらか1本で十分」と解説しましたが、もちろん「両方買ってはいけない」というルールはありません。

あえて「両方買う」という戦略を取ることにも、メリットとデメリットが存在します。まずは以下の表で、その要点を確認しましょう。

 

メリット 米国株式への投資比率を自分好みに調整できる
デメリット ・管理するファンドが2本になり、手間が増える
・分散していると錯覚しがちだが、実際は米国への集中投資になる

両方を理解することで、あなたの判断はさらに確かなものになります。

メリット:米国への投資比率を自分好みに微調整できる

「両方買い」を実践する唯一にして最大のメリットは、ポートフォリオに占める米国株式の比率を、自分好みに微調整できる点です。

例えば、このように考える方もいるでしょう。

「世界全体に分散したいからオールカントリーを基本にしたい。でも、やっぱりアメリカの成長力は魅力的だから、もう少しだけアメリカの比率を高めたい…」

オールカントリー1本だと、米国への投資比率は約60%で固定されてしまいます。しかし、ここにS&P500を少し加えることで、この比率を70%、80%と、自分が望む割合に高めることが可能です。

「世界全体に分散しつつも、アメリカへの期待感を少し上乗せしたい」という、こだわりのポートフォリオを作れるのが「両方買い」の魅力です。

デメリット:手間が増えるだけで、分散効果は限定的

一方で、デメリットは主に2つあります。

一つは、管理の手間が2倍になることです。投資の基本は、シンプルで分かりやすいこと。

特に初心者のうちは、管理する銘柄は少ないに越したことはありません。2本の値動きをチェックしたり、資産のバランスを考えたりする手間が増えてしまいます。

もう一つは、「2本持っているからリスクが分散できている」というのが、錯覚に近いという点です。 

先ほどの表で見た通り、結局は同じ銘柄への投資比率を高めているに過ぎません。これを「分散」と呼ぶのは難しく、むしろアメリカの巨大ハイテク企業への「集中」を強めている、と理解しておく必要があります。

あなたはどれ?投資スタイルで考える3つの戦略とは

ここまで解説した「中身の重なり」や「メリット・デメリット」を踏まえた上で、最終的にどの戦略を選ぶべきか。それは、あなたの「投資に対する考え方」によって決まります。

唯一の正解はありません。

ここでは代表的な3つの投資スタイルに分けて、それぞれに最適な戦略を解説します。ご自身がどれに当てはまるか、考えながら読み進めてみてください。

①シンプル派:「手間をかけず、世界中に分散したい」
②米国集中派:「米国経済の成長を強く信じる」
③こだわり派:「米国中心は変えず、自分だけのポートフォリオを組みたい」

①シンプル派:「手間をかけず、世界中に分散したい」

→オールカントリー1本でOK

「投資に余計な時間をかけたくない」「難しいことは考えず、王道と言われる方法でコツコツ続けたい」という方には、オールカントリー1本に絞る戦略が最も適しています。

これ1本で、世界中の株式市場に自動的に分散投資してくれます。将来、もしアメリカ以外の国が大きく成長したとしても、その恩恵を逃すことはありません。

まさに「ほったらかし投資」の決定版であり、最もシンプルかつ間違いのない選択肢と言えるでしょう。

②米国集中派:「米国経済の成長を強く信じる」

→ S&P500 1本でOK

「今後も世界経済を引っ張っていくのは、間違いなくアメリカだ」「GAFAMに代表される巨大企業の成長は、まだまだ続くだろう」と強く信じるのであれば、SP500 1本に集中投資する戦略が最適です。

全世界に分散するよりもリスクは高まりますが、その分、アメリカ経済が好調な局面では、オールカントリーを上回る大きなリターンが期待できます。

自身の信念に基づき、より高いリターンを狙いたいという方に適した、力強い選択肢です。

③こだわり派:「米国中心は変えず、自分だけのポートフォリオを組みたい」

→ S&P500を主軸に、新興国ファンドなどを少量加える

「投資の基本はアメリカ中心でいい。でも、それだけだと物足りないから、自分なりのアレンジを加えたい」という、少しステップアップしたい方にはこの戦略がおすすめです。

ただし、その「アレンジ」としてオールカントリーを選ぶのは、これまで見てきた通り、結局アメリカ株の比率を少し変えるだけの効果しかありません。

より意味のある「分散」や「リターンの上乗せ」を狙うなら、S&P500を投資の核(コア)としつつ、全く違う値動きをするような投資信託を少量(サテライト)加えるのが良いでしょう。

例えば、「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」のような、これから大きく成長する可能性を秘めた新興国のファンドなどが候補になります。具体的なファンドの例として、以下のようなものが挙げられます。

投資先の種類 ファンド名の例 特徴
新興国の成長に期待 eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 中国やインドなど、今後の経済成長が期待される国々に分散投資
米国の中小型株にも分散 楽天・全米株式インデックス・ファンド SP500に含まれない中小型株まで含めた、米国市場全体に投資
配当金(分配金)を重視 SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド 米国の配当利回りが高い銘柄に絞って投資。分配金が期待できる

このように、SP500とは異なる特徴を持つファンドを組み合わせることで、より自分らしいポートフォリオを目指すことができます。

この戦略は、自分で投資について学び、ポートフォリオを管理する手間を惜しまない、中級者への第一歩と言えるでしょう。

オールカントリーとS&P500の組み合わせに関するQ&A

最後に、オールカントリーとS&P500の組み合わせについて、多くの人が抱く具体的な疑問にQ&A形式でお答えします。

Q. どうしても両方買う場合、おすすめの比率は?

「万人におすすめの黄金比率」というものは存在しません。

なぜなら、両方買う目的が「米国株式への投資比率を自分好みに調整すること」にあるからです。

まずは、「自分の資産全体のうち、何%をアメリカに投資したいか」というゴールを決めましょう。

例えば、「資産の8割をアメリカに投資したい」と考えたとします。オールカントリーの約6割が米国株だとすると、「オールカントリー50%:S&P500 50%」という比率にすれば、ポートフォリオ全体に占める米国株の比率は約80%(=60%×0.5 + 100%×0.5)となり、ゴールを達成できます。

比率から決めるのではなく、まずご自身の理想のポートフォリオを考えてから、逆算して比率を決めるのが正解です。

Q. 新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」での使い分けは?

まず大前提として、「オールカントリー」と「S&P500」は、どちらも「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の両方で購入が可能です。

最もシンプルなのは、どちらか1本に決めて、まずは「つみたて投資枠」から優先的に使い切る方法です。

年間120万円のつみたて投資枠を使い切っても、まだ投資資金に余裕があれば、「成長投資枠」で同じ商品を買い増していきましょう。

もし前述の「③こだわり派」の戦略を取るのであれば、安定成長が見込めるS&P500を「つみたて投資枠」でコア資産として積立し、新興国ファンドなどの少しリスクを取るサテライト資産を「成長投資枠」で買う、といった使い分けも有効な戦略です。

Q. 過去のリターン(利回り)はどちらが良かった?

過去10年ほどの実績を見ると、S&P500の方がオールカントリーを上回る高いリターンを出しています。

▼eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の基準価額の推移

▼eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の基準価額の推移

これは、GAFAMを中心としたアメリカの巨大ハイテク企業が、世界経済を力強く牽引してきた結果です。

ただし、「過去の実績は、将来の成果を保証するものではない」という投資の大原則は、絶対に忘れてはいけません。

「これからもアメリカ一強の時代が続くだろう」と考えるならS&P500が魅力的に見えますし、「これからは他の国が成長するかもしれない」と考えるなら、オールカントリーの方が安心できる選択肢となります。

過去のリターンはあくまで参考情報として、ご自身の未来予測を信じて選ぶことが大切です。

まとめ:自分だけの「正解」を見つけて、投資の第一歩を踏み出そう

今回は、「オールカントリーとSP500は両方買うべきか?」という、多くの投資初心者が抱く疑問について解説しました。

最も重要なポイントは、両者の中身(構成銘柄)が約6割も重なっているという事実です。

そのため、特別な目的がない限り、基本的にはどちらか1本に絞るのが、シンプルで分かりやすい最適な戦略と言えます。

どちらを選ぶべきか、最後にもう一度、投資スタイル別の戦略を振り返りましょう。

  • 世界中に手間なく分散したいなら → オールカントリー
  • 米国の成長を強く信じるなら → S&P500
  • 自分だけの戦略を加えたいなら → S&P500を主軸に、新興国ファンドなどを組み合わせる

どの選択肢が優れているか、という絶対的な正解はありません。大切なのは、あなたが納得できる投資方針を見つけ、そして「少額からでも始めてみること」です。

この記事が、あなたの資産形成の第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。